どう仕上げようか。シンプルに、真摯に。
さて、前回に書きそびれましたが、なぜ「ゆあんさんらしい」かといえば、ただ音楽でもなくただジャズでもなく、「ブルーノート」。
やりとりさせていただく中で、ゆあんさんは音楽を専門に学び、プロ活動のご経験がある方、と私は認識しております(企画エッセイの中でも触れていらっしゃいましたね)。さらにジャンルというと、幅広そうですがジャズやフュージョン系はお好きなのではないかな、と思っておりました。
そこで「ブルーノート」。
偏見だったらとても上から目線な感じで恥ずかしいのですけれど、「音楽が好き」という方は多くいらしても「ブルーノート」がすぐに出てくる方はそう多くないと思います(違ったらほんっとうにごめんなさい!)。そこでこのタイトル。ゆあんさんらしいな、と僭越ながら思いました。
そして、実にシンプルなレギュレーションです。
そもそも音楽畑にいらしたゆあんさんなのに、今までの筆致企画で音楽がないのですよ。
だからかな。他にも自分の中で理由があるのでしょうが、お題を読み、タイトルを読み、「極力ここに足さない」と思ったわけです。
ですから、「カフェに入る」→「音楽が流れて思い出す」→「智昭」(中)→カフェを出る。
この一連の場面以外に足したくない、と考えました。
一つ目の「カフェに入る」は、ゆあんさんご自身が「カフェに入る時って?」と問題提起をしてくださいましたので、考えました。私の場合は持ち出し仕事をするのにカフェに入ります。集中できるから。ここで「仕事」に決まり。
仕事といっても事務的な作業です。主人公は音楽に造詣のある明子。ただ音楽演奏が生業ではない。
彼女の仕事には、音楽雑誌に携わる人を。着想は「ぶらあぼ」という情報誌です。ご存知の方もいらっしゃるのでは。クラシック音楽中心の情報誌でして、演奏会や新譜の情報のほか、アーティスト・インタビューも載っています。
今は仕事も多くがメールやクラウド共有で済む時代です。しかしそうではなく、仕事だけれど珈琲が飲みたくなってカフェに入るってどんな時かな? と考えると、「外仕事」の前後に打ち合わせ内容を考える作業。アーティスト(および事務局)とのインタビュー記事なら、メールでのやりとりより実際に会って話した方が断然効率がいいですし。これはアーティストインタビューに限らず、社外の人と何かプロジェクトやイベントをやる際にはメールではなくリアルで話し合うように。
さらに、今回のレギュレーションの問題は「中」をどう埋めるかが大きいものと思います。でもエピソードを増やしたくはない。そこで、「智昭が聞かせてくれた」という音楽そのものにスポットを当てた状態に、純粋に。
ただ「聞かせてくれた」だけでは話が進まない。しかし音楽だけで「中」を作りたい。そう思ったんじゃないかな、と後から推測です。書いた後だと思考がない混ぜになるんです。許して。
そして「ブルーノート」という要素。いってみればメジャー/マイナーに「色」が加わった音階だな、ということです(と理解)。
ここからゆあんさんが狙ったのはこういうことかもしれない! と勝手に考えて、今回の自分のお題が決まりました。描写で重視するものの一つは、「色(=視覚)」の変化と同一。だってブルーノート、色がつくんでしょう! という妄想から、明子の心の中で、ジャズのブルーノートという色の経験と記憶を通して、彼女の感覚を通る世界の色を変えようと。
読了の方に、一話目と三話目のお店を比べてどう映ったか、ここが勝負どころの一つでした。
もう一つは「五感」です。聴覚はもとより、触覚と味です。現実と記憶の移行を密着させたいと思いました。そのまま現実から過去へ入っていくように、シンクロナイズするみたいに。
音に溢れた生活をしていて、音だけで思い出す力は如何程か。人それぞれでしょうが、特に毎日音楽が周りにある人間には少し弱くて、この話だと単純かなと思います。しかしそこに味と艶かしいグロスの感触が加わったら?
結構、保湿力の高いグロスってネトっとして慣れないと違和感が残る……と思うのは私だけでしょうか……。
あと、全部は言いませんが、私の偏見でジャズってなんとなく、ちょっとセクシィな感じがするんですよ。平たくいうとちょっとえろい感じがね、してしまったんです。すいません偏見ですごめんなさい。
でも、ね。うん。ごめんなさい。
考えたことが多くて長くなってますねー。これ悪い癖かな。
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