空に走る と企画についてのこぼれ話。
自作についてちろっと。
旅に出たいんですよ! 先日、本屋さんの旅行本コーナーに行きましたら、「読んで旅する」コーナーが。今旅に出られないから、旅行ガイドブックのシリーズでも色々と「世界の豆知識」的な本が出ていたり、「日本の絶景」「世界の絶景」という本が並んでいたり。「日本の絶景」は私も一冊持っています。これ見て角島大橋に行きました。ええ。自分の誕生日に家族も目覚めぬうちから。「明日の黒板」の二作目をかき上げた次の日、早朝に羽田から山口宇部空港に飛びました。空港に降り立っていたらレビューいただいていてびっくり驚き嬉しいプレゼントでした。
まぁそれは置いておいて。
目下、問題となっている疫病の蔓延を物語に取り込むかは迷いました。やはり、まだ目の前のものですし……でも、入れてしまいました。
いま、リモートでもいろいろなメッセージを届けようという努力があります。ピアニストの真船さんもそう。伝える、という手段は沢山ありますね。
一応、お断りをしておきたいなあというのは、葵のラストシーンは、現状が改善された後の設定です。危険ですからね。真船さんの言葉も、いますぐ遠出、ということではなくて「近場から」という意味合いのつもり。
(真船さんの名前は欧州のピアニストから。ああ演奏生で聞きたい)
今日が企画最終日。いつもだったら必ず二作目を書いています。
自分の筆致企画のルーティーンとしては、「第一作目をゆあんさんのお題にストレートに、また第一作を書き上げるまで絶対に他のを見ない」です。
しかし今回、二作目の案はかなり早くからあったのですけれど、時間切れでした。
まぁ第一作も超直球はできず、運動(走る)ではなくて「写真」(ゆあんさんは精神的なもので良いって仰ってましたが、なんとなく「走る」が最も直球かな、と)でしたし。
一作目は、緊張度合いが恐ろしく高くて。いつも泣き言を言ってしまうので、エッセイなどの読者様たちから今回も励ましをいただきました。ありがとうございます。
公開して、皆様のご感想をいただいていつも安心し、「ああ良かった、なら他の皆さんにももっと読んでいただきたい」となれるのです。
こんな状態なので二作目は割と遊ぶのです。リラックスするのでしょうね。
その中で、これまで書いていて一番楽しかったのは、多分「葉桜の君に」第二作目。
魔法界のお話、ファンタジー。結局ファンタジー好きなのだな、わたし。とはいえ、自作の中でファンタジーを書いていながら、魔法も出てきて、戦闘もあって、悪魔っぽいのも出てきて、みたいなここまでこてこてのファンタジーは無かったような?
***
『空に走る』は、自分基準では描写は控えめだったと思います。
写真の話なので画像は写真に任せたことになったところが多くなりました。
今回のお話で、書きながら課題になっていたのは『聴覚』。
『雪を溶く熱』に引き続き、葵の一人視点に致しました。葵の視界は限られてきます。だからかもしれません。
葵に聞こえている音はどんな音か。
お客様を相手にするスタジオは、撮影場所でもあるので窓は閉め切っています。物も少ない、という場所は後もそれなりに響く。そこまで広くないでしょうから限界がありますけれどね。
では、静かなスタジオの中。音楽もかかっていない。シャッターの音をはじめ、何が聞こえるか。
外に出たら?
網戸にした休憩室は? ゲリラ豪雨、窓を閉めた瞬間は?
無我夢中で走る葵の耳には?
神経が張り詰めた時って聴覚が研ぎ澄まされる場合があるな、と思います。
読者の方が私が意識したほどに聴覚表現に注目していただいたかはわかりません。注目していただけて、耳に音が聞こえる感じだったら、まずまず成功かもしれません。
しかし、情景がありありと浮かぶだけでは物語として価値はあるのでしょうか。
以前ご指摘いただいたこととも関連がありますが、映像が浮かぶように、だけでは映像を見れば良い。
そして描写するなら徹底的に、ですが私の描写はそこまでではない。
ありがたいことに描写に関して、勿体ない御評価を頂くことしばしばです。ありがとうございます。それを褒め言葉と見ない、というわけでは決してないのです。
ただ、物語なので。それに甘えず、描写が内容を引き立てますように。
筆致企画に限らず、自作の筋や登場人物の言葉、私自身が込めたもの、そういう内容が、読者の方に少しでも響いたら、一つずつ、作品が生まれてよかったよ、に繋がるな、と思っています。
今後も頑張るぞー。
ゆあんさんの企画ノートも、数話未読ですが作品数も五十話超えたとか! すごい! 皆さまお疲れ様でした、力作揃いなんだろうなぁ。
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