ファンタジー葉桜反省会(3)あらすじをきちんと読みましょう

 担任の読みかえに良心の呵責を覚えつつ(で、でも、まあなんとか……すれすれの作品もあるよね、という言い訳に胸の痛みを感じつつ)、いかに書きたい放題書くためにレギュレーションを切り抜けるか、第二弾。


「桜子は昔の恋人に似ている」


 桜子=昔の恋人、の大枠は譲れません。

 しかし、桜子と葉太をすでに相思相愛にしておいてあげることはできないのです。人生には酸い甘いというものがありまして、そんなに甘くはないんだよ桜子(結果はね、あれなんですけど、あくまで桜子は「知らない」状態で。知っちゃうとさらに苦しいですからね。ここがミソなのです)


「恋人」の定義とは。


「こい‐びと〔こひ‐〕【恋人】 の解説

 恋しく思う相手。普通、相思相愛の間柄にいう。「恋人にあう」「恋人ができる」


[用法]恋人・[用法]愛人――「恋人」は恋しいと思っている相手で、多く相思相愛の間柄についていうが、片思いの場合にも使うことがある。「スクリーンの恋人」◇「愛人」は、かつては「恋人」の漢語的表現として同義に用いたが、現在では多く配偶者以外の恋愛関係にある相手をいい、一般に肉体関係があることを意味する。「情婦」「情夫」の婉曲的な言葉として使われる傾向もある。」


 デジタル大辞泉より。


 クリアクリア。「恋しい」と思っている相手ならいい! 


 というわけで葉太の台詞より抜粋。


「「え、えーっと……その子と会ってたのはほんの短い間だけなんだけど。ちょうど去年の今頃かな? 僕が桜を見にくるといつもここにいてほんと他愛もない話しかしてないんだけど」

 中略

「いや、うん。えと、気になってて。そうだな、惹かれてて、ってそうか。一応、恋してる相手って意味だと『恋人』になるのか。うん。正直、好きだったんだけど」


 葉太は一年前の桜子=今の桜子、とは気がついていない設定です。ちなみに桜子を桜の花にしなかったのは、一度落ちちゃったら終わりになってしまうという理由もあったため、花そのものにするのはやめました。


 はい、広義の「恋人」の意味でクリアです。



 レギュレーション、「桜が見ものの公園で桜子と会って話をする」ことで「初めて葉太と桜子が打ち解ける」


 グレーです。灰色です。どす黒い灰色です。

 これ、改稿の前に限りなく黒になってしまったのですね。実は。葉太は桜子(現在)が編入してきて逐一話しかけてくれることにしてしまっていました。

 あらすじを読み直して、焦る。


 最終稿は以下。

「なのに葉太は違った。担当官になるよりも前から、私に話しかけてくれて。そうしたら他の学生も普通に接してくれるようになった。そうなるように、葉太が他のみんなともさりげなく引き合わせてくれたから。


 私の中の気持ちが昂らないように、なるべく葉太と深い話はしないように、注意したつもりだった。

 でも葉太の言葉は、たとえ短い会話でも嬉しかった。」


 頻繁に話しかける的な文章をカットし、桜子が避ける様子をプラス(第二話あたりにもプラス)。改稿前をひた隠しにし、なかったことに……。これでもって、とりあえずそれまでここまで話したことはなかったかもしれない」要素で切り抜けることに……。


 ゆあんさんごめんなさいすいません許してください……!!!



 そしてツッコミを入れ続けながら書いていた作者。

 お読みになるとがっくりくるかもしれないので、それを覚悟で続きをどうぞ。








「桜子、どうして授業を受けて葉太にバレるリスクを高めるんだ」

「いやいや、そうは思っても一緒にいたい乙女心に違いない」

 こうして桜子の乙女度合いがどんどん上がっていきます。


「葉太、そういうことを好きな人の前で言うのはどうなんだ」

「そういうこと言っちゃう男性でいいのか、桜子」

 葉太のダメっぷりが上がっていきます。


ウェネと葉太は仲良しさんだと面白い。

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