第47話 最後の冒険
タイガ達はテントで一晩寝た後、バーチャルアークを探す旅に出ることにした。
タイガ達はバーチャルアークを使って、現実の世界に帰ろうと考えた。
一晩が経った。
ヒロは夢精した。
「あっ」
ヒロは驚いた。
その物音でタカヒロが起きた。
「何?どうしたの?」
「ナニって言うな」
「ナニっていったら?」
「だから、そのナニって言うな」
「なんでナニって言ったらだめなの?」
「う、うるさい」
「なに~」
「ナニを~」
ヒロとタカヒロは訳の分からない事で何が何だか訳が分からず気が付くとにらみ合っていた。
そして、ツバサも起きた。
ツバサはヒロの美少女の絵が描かれた抱き枕を見てクスっと笑った。
「別に嫌いじゃないんだけど、そういうものを大声で言うのはちょっと」
「なんでもないよ、っていうか、そういうものってなんだよ?」
「いや、なんていうか、そのちょっと卑猥なやつはその」
「はぁっ、卑猥!?なに言ってんだよ」
「おい、いい加減にしろ!ナニって言うな」
「あぁ~、もう勘弁して」
その物音でタイガも起きてしまった。
「おい、お前ら!うるせぇぞ!朝っぱらから気持ちわりぃんだよ」
こうして、謎の喧嘩が始まり、タイガ達はすっきりと目が覚めた状態で朝食を食べた。
そして、タイガ達は再び冒険の旅を開始した。
タイガ達の目の前にはアマゾンのジャングルのような光景が広がっていた。
「なんかものすごく蒸し暑い」
すると、アマゾネスみたいな女性が現れ、次々と襲い掛かってきた。
アアアアアアアアア
激しい勢いでタイガ達に迫った。
荒れ狂う声が辺り一面に響いた。
荒れ狂う声でタイガ達は一瞬、身動きが取れなくなってしまった。
「な、なんだ!?」
「アマゾネス軍団です」
素早く物陰に隠れながら、電光石火の勢いで迫ってくるアマゾネス軍団にタイガ達は苦戦を強いられていた。
アマゾネス軍団の気迫に圧倒された。
さらに、タイガ達の周りを何かが素早く横切った。
そして、例のおぞましい声が聞こえた。
シャアアアアアアア、カァァァァァァァァァ
タイガ達はその声を聞いて思い出したとたん、とてつもなくゾッとした。
姿は見えなかった。
しかし、何かがそこにいた。
カサッ
バッ
ザッ
シャァァァァァァァァ、キィィィィィ、カァァァァァァァァ
「えっ、何であいつらがここに?」
「どこだ、どこにいるんだ?」
そして、虫唾が走る音は徐々に小さくなっていった。
ざわめきがなくなった。
うごめいていた草木は動きを止めた。
辺り一面は静かになった。
何事もなかったかのように辺り一面は静かになった。
タイガ達は何だ、気のせいかと思った。
ガッ
そいつは一瞬にして、タイガ達の目の前に現れ、襲い掛かってきた。
「あっ、あぁぁぁぁぁ!?」
「ラプトルの野郎、ただでさえやっかいなのに、何でこの状況で現われんだよ?」
タイガ達は必死で応戦するも、苦戦に次ぐ苦戦を強いられる。
覇気に溢れる目、ありとあらゆるものを切り刻む鋭い牙や爪、見るだけでとても嫌な気分になった。
全てを食らいつくすような気迫、獰猛な気迫、激しく威圧する目、勝気に溢れた威嚇、絶対に逃すまいと体中でゴールを目の前にして、少しだけ安堵していた冒険者を硬直させ、捕まえようとしていた。
目の前にいる敵は人間とそれほど変わらない大きさだが、翼を広げた巨大な怪鳥、とてつもなく恐ろしく、全てを圧倒するような獣に見えてしまった。
タイガ達はただならぬ圧に押され、身を守る事すらもままならなかった。
全ては獣達の思い通りだった。
タイガ達はラプトルにやられそうだった。
ラプトルは素早く迫った。
タイガ達はもう、ダメか!?と思い、身構えた。
しかし、ラプトルはそんな獲物を挑発するかのように横切った。
さらに、ラプトルは横切った。
獲物はハンターを見失って、オロオロとしていた。
「くそっ、なめやがって」
すると、突然、ハンターが現れ、素早く横切った。
ラプトルは一瞬のすきも見逃さず、常に相手の意表を突いて、素早く横切った。
獲物は何もできず、ハンターの動きを捉える事さえままならなかった。
獲物は徐々に弱っていった。
獲物の肉体は疲れ切り、そして、獲物の精神は少しずつ削り取られていった。
獲物は沼にハマりつつあった。
エネルギーに満ちた顔つきも疲れ果てた。
スリルを好む冒険者が減っていった。
しかし、タイガは必死でみんなを勇めた。
「いいか、落ち着け!大丈夫だ!突破口はある!必ず突破できる!」
「あっ、あぁ!」
タイガの励ましが功を奏し、どうにかラプトルの魔の手から逃れた。
が、しかし、そこに血の気に溢れる戦士達が空から次々と現れ、行く手を阻んだ。
アマゾネス軍団だ。
タイガ達はどうにかしてアマゾネス軍団の追撃から逃れた。
すると、そこに獣の集団が迫ってきた。
ラプトルはバッと目を見開き、挑発するかのようにクワッと口を大きく開けた。
タイガ達はどのような手を使ったとしても逃げる事はできないと悟った。
この状況は絶望的だと思われがちだが、逆にそれが冒険者の心のエンジンをフルに回してくれた。
タイガ達は必死に応戦し、善戦するも徐々に追い詰められていった。
ラプトルは上手い具合にタイガ達を追い詰め、そこにすかさずアマゾネス軍団が容赦なく攻撃を行った。
「なんなんだ、こいつら、ラプトルより強いじゃねえか!」
屈強な戦士達の猛攻に押されていたが、ツバサは自分より圧倒的に大きいおっぱいを持つ美女達にムッとして、果敢に応戦した。
「ツバサのやつ、すげぇな」
「うん」
さすがのタイガ軍団やアマゾネス軍団もほんの少し、少女の気迫に押されてしまった。
そんな中、ヒロとタカヒロはアマゾネス軍団に捕らえられてしまった。
2人を捕まえた女達は一瞬のうちに消えてしまった。
「あっ!?」
「どうした?」
「ヒロとタカヒロが連れ去られた」
「くそっ」
アマゾネス軍団は動揺するタイガ達に一気に攻撃を仕掛けた。
タイガ達は総崩れになり、急いで逃げた。
「おっ、おい!バラバラになるな!」
「ご、ごめん」
そんなタイガ達に対して、ラプトルは容赦なく次から次へと襲い掛かってきた。
シャア、キィィィィィ、カァァァァァ、コォォォォォ
「な、なんか、アマゾネスとラプトルって、めっちゃ動きが合ってるっていうか、なーんかタイミングよく追い詰めてるっていうか、なんていうか、僕らのピンチを上手く見計らってお互いに襲い掛かってる感じするけど」
タイガは何かに気付いた。
「そうか、もしかしたらアマゾネスのやつら、ラプトルを手なずけてるかもしれねぇぞ」
タイガは真剣に、そして、深刻な表情で言った。
「えっ、うそっ!?」
タケシとツバサは愕然とした。
次々といろんな恐竜がやってきた。
しかも野生と融合した女性を乗せて。
「あっ、ダイナゾーンの方からやってきてる」
タイガ達は知った。
「あの恐竜はアマゾネスのペットみたいなものか」
ヒロとタカヒロはアマゾネス軍団に捕らえられ、木に縛り付けられていた。
「ど、どうすればいいんだ?(心の声)」
2人はとてつもなく不安な気持ちになり、無表情だった。
アマゾネス軍団は木で作った楽器から出てくる何とも言えない不思議なリズムに合わせて、奇声を上げた。
ラプトルはそのリズムに合わせて首を振ったり、手を動かしたり、腰を揺らしていた。
ダイナミックに体を動かし、ノリノリで楽器を力強くたたく、その動作は大地が震えるかのような迫力に満ち溢れていた。
2人の心にはシュールさと恐ろしさという2つのものが入り混じっていた。
さらに、2人は戦士達のたくましい肉体、迫力にあふれる肉付き、体中を流れる清き液体に見惚れていた。
これが生命の魅力、生命のありとあらゆる魅力が詰まったものなのかもしれない。
「うわぁ、とても良い肉付きだなぁ(心の声)」
「あのはつらつとした顔、見ているだけでスカッとする(心の声)」
しかし、2人の心は再び寒気に覆われてしまった。
2人の目線の先には美女達がエサをあげる光景が広がっていた。
大きな口がありとあらゆる肉を覆いつくし、その口は赤く染まっていき、辺り一面にも赤い絵の具が飛び散っていき、目を覆いたくなるような絵が出来上がった。
その頃、タイガ達は襲撃してくるラプトルに対し、苦戦していた。
ラプトルはタイガ達の体の動き、攻撃の時に生じるスキ、それぞれのクセをしっかりと覚え、一瞬の間で計算し、的確かつ狡猾に攻めていった。
タイガ達は集団で襲い掛かってくるラプトルが1つの大きな怪獣に見え、怪獣の中にいるような感じになった。
「くそっ、こいつらほんと厄介だ」
ツメオはへとへとになっていた。
「おい、しっかりしろ!」
タイガが間一髪の所でツメオを助けた。
「あっ、ありがとう」
ヒロとタカヒロがさらわれた方向を頼りに探していった。
「あっ、もしかしてあれじゃないか?」
ショウが指をさした。
「行ってみよう!」
2人の所に勇敢な救出者が突撃した。
「サンキュー、スネーク!マジで助かったぜ」
すかさず、アマゾネス軍団が飛び掛かってきて、ピンチに陥ったが、ツバサの反撃のおかげでどうにか助かった。
素早い攻撃を繰り出すアマゾネス軍団に対して、勇猛果敢に立ち向かっていくツバサにみんなは目を奪われてしまった。
「かっけぇ」
タイガ達は健闘し、無事に2人を助け出した。
「ありがとう」
「いや、ツバサの活躍があったからだよ」
「そ、そんなこと」
「何言ってんだよ、こいつけっこう活躍したんだぜ。まぁ、ツバサの活躍やみんなの頑張りのおかげだ」
アマゾネス軍団がタイガ達に詰め寄ってきた。
一瞬、ギスギスしてしまったが、仲間である恐竜を傷つけてしまった事への謝罪、アマゾネス軍団の敵ではない、アマゾネス軍団を襲ったり、侵略したりはしないというのを身振り手振りを使う等して、一生懸命伝えた。
アマゾネス軍団は敵意がない事を一生懸命伝え、分かり合おうとした勇気を汲み取った。
タイガ軍団とアマゾネス軍団は力強い握手を交わした。
両者の笑顔は言葉では言い表せないほど爽やかだった。
「これが分かり合える喜びかぁ、にしてもほんと力強いなぁ(心の声)」
タイガ軍団はお互いに通じ合えることへの嬉しさを感じていたが、それと同時に美女達の凄まじい握力も細胞全体を通して、痛覚に染み渡っていくのも感じた。
タイガ達は無事に解放された。
「本当に良かったね」
「あぁ、そうだな」
「にしてもラプトルがめちゃくちゃやばかったね」
「そうそう、常に指示を出し合ったり、コミュニケーションを取って、仲間がピンチになったら、素早く助けたりして、みんなで一丸となって襲い掛かってきたから余計に厄介だったね」
「ラプトルも人間みたいな感じにとらえてるのか」
「勇気もあって、優しい心もあるなんて、とてつもなくすごい」
助け合って生きていく所は見習わないといけないとタイガ達は強く感じた。
ドン、ドン
「なんだ、このデカい音は!?」
物凄く大きな音が辺り一面に響いた。
周りの恐竜は一斉に逃げていった。
ウウウウウウウウウウ
大地そのものを震え上がらせるような唸り声が響き渡った。
「おっ、おぉい!何だよ、あれ!」
「ギガノトサウルスだ」
タイガ達は一目散に逃げた。
ギガノトサウルスはタイガ達を追ったが、すぐに見失ってしまった。
ギガノトサウルスはどこかに行ってしまった。
「あー、良かった」
タイガ達は一息ついた。
すると、不気味な異形の存在が現れた。
「うっ、うわぁ!キモ」
そいつはツバサを謎の空間にさらっていった。
不快な何かがツバサの目の前にいた。
そいつはゆっくりと近づいてきた。
目玉の模様、うねうねと挑発するような動きをする気色の悪い腕、今にも襲い掛かってきそうな顔、不気味な口、ゴロゴロとした目が迫ってきた。
そいつは首をうねらせて、ツバサの方に顔を近づけた。
純粋な少女は一瞬、頭が真っ白になった。
気が付くと、恐怖のあまり体だけでなく顔もこわばっていた。
そいつはとてつもなく醜悪な姿をしていた。
そいつは不快な動きで迫ってきた。
ヌメヌメした生臭い肌、ニョロニョロとした見た目と動きは気持ち悪いという言葉では言い表せないものだった。
「ぐへへへへ、私は性魔(セーマ)だ。ツバサ、君は私のおかずとなるがいい」
ツバサは服をバッと脱いだ。
性魔(セーマ)は突然の出来事、純粋なかわいらしさや生命の体が持つ美に対してこれまでで一度も感じたことのない興奮に襲われ、興奮のあまり体が溶けてしまった。
「あっ、あぁ。体が溶けるぅぅ。たっ、助けて。あっ、あぁぁぁぁぁ」
体が溶け、顔面や肉体が崩壊し、下に落ちていく様はこの世の全ての気持ち悪さを絵に描いたようなものだった。
ツバサはもう、これで大丈夫だと確信し、急いで服を着た。
ツバサは気が付くとタイガ達のいる所に戻った。
「よ、良かった」
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
こうして、タイガ達はアマゾンのジャングルみたいな所を後にした。
そんなタイガ達をガイコツの姿をした不気味な何かがジッと見ていた。
辺りが徐々に寒くなっていった。
「あれっ、さっきまで暑かったのに急に寒くなってる」
気が付くと辺り一面が雪に覆われていた。
物音がしたかと思うとそれは襲い掛かってきた。
シロクマだ。
タイガ達は猛スピードで迫ってくるシロクマから逃げたが、その先には湖があった。
「どうする?」
「よし、こうしよう」
ツバサはイチかバチかで湖に石を投げた。
すると、湖はたちまち凍っていった。
「何が起こってんの?」
「これは過冷却水」
「カレイ客水?」
「ゆっくりと冷えていったから水分子が冷えてないって勘違いしてるんだ。それで石を投げて気づかせてあげたんだ」
「なんか生き物みたいだね」
「水も生きているんだよ」
タイガ達は無事に逃げる事ができた。
「おっ、さっきと違って何か暖かくなってきたな」
「雪もないし、草や木がいっぱいある」
「ちょうど良い気温」
「みなさん、よく頑張りましたね!目的の場所まではかなりあるので僕が送りましょう」
「いや、いいよ」
「いえいえ、遠慮なさらずに」
「ありがとな」
タイガ達はワンダーバードの背中に乗った。
「きれい」
「なんか心が大きくなるっつうか、なんていうか、めっちゃすがすがしいな」
タイガ達は緑あふれる木々に癒された。
「見て!あの山の頂上が光ってる」
「ほんとだ」
「もしかしてあそこにバーチャルアークがあるんじゃねえの?」
「さあね」
タイガ達は目的の場所の近くで降りた。
突然、何かが光った。
凄まじい稲妻が迫ってきた。
それは全てを燃やし尽くすような勢いで迫ってきた。
光は消え、辺り一面は轟音に包まれた。
タイガ達は稲妻の凄まじさや迫力にとてつもなく驚いた。
タイガ達は驚きのあまり、言葉も出なかった。
しばらくすると、辺りが煙で立ち込めた。
煙の中を進むと急に何かが現れた。
そいつは睨みつけるような目でタイガ達をジッと見た。
すると、電魔(デンマ)と名乗る異形の存在はタイガ達に襲い掛かってきた。
カッ
ありとあらゆる光を体に集め、それを一気に放つ姿、恐るべき閃光を放つ姿、それはタイガ達を震え上がらせた。
タイガ達は驚きのあまり、声も出なかった。
電魔(デンマ)はタイガ達に電撃を仕掛けてきた。
俊敏な動き、圧倒的な攻撃力、タイガ達はただただ追いやられていくだけだった。
「うっ、うわぁ」
「ハハハ、とどめだ!くらえ!電気玉だ!」
電魔(デンマ)は球電を作り、それで一気にタイガ達を倒そうとした。
その瞬間、ツバサが攻撃を行った。
手にプラズマボールを出し、それを電魔(デンマ)にぶつけた。
「うわっ、何だ、この光は!?」
「あああああああ、めっちゃまぶしい!」
目をつぶって、手で強く覆っても閃光の威力を防げなかった。
その直後、鋭い音が至る所を駆け巡った。
ものすごい爆発が起き、電魔(デンマ)を倒した。
「す、すごい」
「かっこいい」
「やるじゃねえか」
それをモニターで見ていた夢魔(ムーマ)の構成員達は動揺した。
「くっ、くそ!」
「まさか、電魔(デンマ)が倒されるなんて」
夢魔(ムーマ)はニヤッと笑った。
「フッ、面白くなってきたな」
しかし、その表情はどこか複雑だった。
タイガ達は先へ進み、辺りを探索した。
そこにはドーム状の建物があった。
「なんだ、あの建物は?」
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