第41話 爽やかな夜

 タイガは眠れないので外の空気を吸うことにした。



タケシも物音を聞いて起きた。



「どうしたの?」


「タケシ、お前も起きたのか?」


「うん、ガサガサ音がしたから」


「僕も外の空気、吸って良い?」


「おう、別にいいけど」


タイガとタケシは2人で散歩した。


「タケシ、さっきはいろいろとひどいこと言ったりして、なんかごめんな」


「いいよ」



タイガとタケシは2人で思い出や青春を語り合った。


「小さい頃はいろいろと楽しかったのに今はそんなに楽しくないっていうか、青春してないって感じだな」


「なことねぇよ、お前もお前なりに青春してると思うぜ」


「でも、友達とかもあまりいないし、それに彼女とかもいないし」


「恋愛とか友達でわいわいやるのは大人になってからでもできるだろ」


「まあ、そうだね」


「恋愛とか友情だけが青春とは限らないぜ」


「なるほど、いいこと言うね」


「まあ、大人になってからでも大人ならではの青春があると思うし、とにかくくよくよするなってことだよ」


タイガはとても堂々とした口調で喋った。


「思ったけど、青春って何なのかな?」


「青春ってのは何かに必死で向き合う事じゃないのかな?まあ、俺はよく分かんないけど、勉強とかスポーツとか恋愛とか友情とか何かに打ち込めば子供だろうと大人だろうとじいさん、ばあさんだろうとそれは青春になると思うぜ」


タイガはじっくりと考えながら喋った。


「今、僕はこうしてしっかり悩んだりしてるから一応、青春してるってことだね」


タケシは納得した。


「ああ、そうだな。どんなやつも必ず青春してるぜ。青春ってのは人それぞれいろんな形があって、人それぞれで青春は違うんだよ」


タケシはタイガがものすごく大人っぽく見えた。



2人は夜空を静かに見ていた。



「何かこうして夜空を見ているとうっとりするね」


「もしかして、お前、ロマンチストなのか?」


「うん」


「俺はそういうのけっこう好きだぜ」


夜空には2人を優しく包み込むような暗さが広がっていた。


「タケシ、高校卒業したらいく大学とか決まってる?」


「県外の大学に行こうと思ってるんだ」


「そうか、じゃあ、こうして一緒にいられるのはずっと続かないってことか、高校での青春は二度と戻ってこないのか。それなのに俺は戻ってこないからこそそれだけ価値のある青春を無駄に過ごしてたってことか」


「そんなに思いつめなくても」


「タケシ、お前の前だと素直になれるけど、でも、みんなの前だと何か素直になれなくて、ほんとわがままでごめんな」


タイガは申し訳なさそうに言った。


「いいよ、ちゃんと分かってるよ」


「タケシ、お前のそういうとこや何事にも全力で向き合い、何事も一生懸命頑張る所が俺、とても好きなんだ」


「ありがとう、な、何か照れるな」


こうして夜が明けた。




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