第33話 果てしなき迷路
突然、辺り一面が揺れ始めた。
辺り一面が真っ白になり、気がつくと記憶の中のタイガ、スネーク、ツメオは消えていた。
「じ、地震か!?」
「多分、記憶とは異なる結果になったから闘いの記憶を元にしてるこの場所が崩壊してるんだ」
すると、目の前に扉が現れた。
その扉は鍵を使わなくてもすぐに開ける事ができた。
「これは神秘の記憶ってとこにつながってる扉じゃないのか?」
扉を開けるとそこには迷路があった。
「また迷路か」
タイガはとてもダルそうだった。
迷路を進んでいくとそこには誰も見た事もない摩訶不思議な光景が広がっていた。
タイガ達は摩訶不思議な光景を気にしつつ、出口を探して進んで行った。
「何か変な感じ」
「でも、こういうのってけっこう良いかも」
ツバサは妙な光景を気に入っていた。
ツバサが出口を見つけ、嬉しそうに走っていくと何かにぶつかってしまった。
それは透明の壁だった。
美しき乙女の顔は見る影も無く崩れ去った。
ツバサは鼻血を出しながら苦笑いした。
「大丈夫か?」
「大丈夫?」
「うん、一応、大丈夫!」
「でも、顔の方が」
「ま、まぁ、気にしないで」
その時、ツバサにだけ笑い声が聞こえた。
「ハッ、ハハハハハ」
「この笑い声は何?どこから聞こえてるの?(心の声)」
「どうしたの?」
「ううん、何でもない。大丈夫!」
「ツバサ、何かあったら言えよ」
「分かった」
タイガ達は透明の壁をレーザー銃で壊し、進んで行った。
「よし!これで出られるぞ!」
扉を開けた。
その時、扉からヒロの好きなアニメのキャラクターが出てきた。
ヒロは一瞬、嬉しそうになったが、それは急に豹変した。
身の毛もよだつような風貌に変わった。
そいつはヒロに襲いかかってきた。
「うっ、うわぁ!」
タイガが素早くレーザー銃で撃ち、どうにかやっつける事ができた。
「大丈夫か?しっかりしろ!」
「あ、ありがとう」
「礼なんていいよ。こんなの当然だろ」
ヒロは恐怖と自分の好きなキャラクターを否定されたようなモヤモヤした気持ちが混ざり合った。
「なんでヒロの好きなキャラクターがゾンビみたいになって襲いかかってきたんだろう?」
「にしてもヒロの好きなキャラクターを侮辱するなんてこの世界とやらを創ってるコンピューターめ!覚えとけよな!」
その後もそれぞれの苦手なものが出てきた。
ツメオはマザコンである事を馬鹿にするスネークやその他の女子に出くわし、精神的に追い詰められていた。
「ツメオ、お前ほんとはマザコンなんだろ?」
「ママがいないとなんもできないんだろ?」
「ツメオ、しっかりしろよ!こんなのお前の記憶が創り出してる幻覚だろ。それにお前にもお前なりの強さってのがあるだろ?自信持てよ!」
「う、うん」
「元気だせよ!ツメオにも他人を思いやる気持ちだったり、ユーモアがあったり、良いとこがあるってこと、ちゃんと分かってるよ」
タケシもツメオを励ました。
「ありがとう!」
ツメオは自信満々になった。
ツバサはそんなやり取りをみて、とても良い気分になった。
タカヒロには嫌な陽キャ、不良、冷たい眼差しを向ける生徒達と言った自分自身を不登校に追い込んだ人達が現れた。
「今はうちらがいるから、何も不安にならなくて良い!」
ツバサは動揺するタカヒロを優しく励ました。
「てめぇら、どんな理由かはしらねぇけどよ、人を不登校になるまで追い詰める事ねぇじゃねえか!くたばれ!」
すると、彼らは徐々に体が薄くなり、消えていった。
タケシには太ってる事を馬鹿にする人達や太りすぎて動けなくなった想像上の将来の自分自身が現れた。
タケシは一瞬、動揺し、目を背けたが、心を落ち着かせた。
「今まで頑張ってきた。仲間や友人と一緒に頑張っていろんな試練や困難を乗り越えてきた。だから大丈夫だ(心の声)」
気がつくとタケシの恐怖の対象は消えていた。
「やるじゃん!」
「すげー!」
ツバサにはとてつもなく気持ち悪い昆虫やナメクジが襲いかかってきた。
「見た目はどうあれ、こいつらも生きてる事に変わらないから何も怖くない。大丈夫(心の声)」
ツバサは心を落ち着かせようとしたが、恐怖を完全に抑える事はできなかった。
ツバサが目を開けるとそこには何体もの不気味な生物がツバサを取り囲んでいた。
一瞬、涙目になったが、どうにか落ち着きを取り戻した。
「こいつらは見た目は悪いかも知れないけど、何も悪い事はしてない。それなのに化け物だって思ったらいじめっ子と同じだ(心の声)」
「ごめんね。何も悪い事してないのに怖がったりしちゃって」
彼らは嬉しくなり、ツバサの方に近寄っていった。
「気持ちは嬉しいけど、20センチぐらい離れて!」
ツバサは清々しそうに生き物達に手を振った。
ヒロ、タカヒロ、ツメオはどんなものにでくわすか不安だった。
「だらしねぇな!お前ら、少しはツバサを見習えよ!堂々と行けば大丈夫だよ!」
「怖いものとかないの?」
「へっ、俺に怖いものとかあるわけねぇだろ?」
すると、物陰からカッターナイフを持った女が襲いかかってきた。
タイガの母親だ。
タイガは身がすくんでしまった。
タイガはあの時の忌まわしい出来事を思い出した。
それはとある夏休みの事だった。
タイガの母親が部屋に入り、夏休みの宿題をやるように言った。
「お〜け〜」
タイガはやる気がなさそうな返事をした。
すると、突然、タイガの母親はカッターナイフを突きつけた。
そして、母親の目は吊り上がり、顔中の筋肉が盛り上がっていた。
この時、少年は鬼は本当にいるのだと確信した。
少年はこれが恐怖であると感じ、死とは何なのかと言うのを実感した。
タイガは我に返った。
「ご、ごめんなさい」
そんなタイガを見て、みんなは少し笑ってた。
「うっ、うるせぇ!」
タイガは大声で怒鳴った。
タイガ達には様々な恐怖が襲いかかってきた。
さらに、上下がどうなってるのか分からなくなる気持ち悪さも襲ってきた。
「あれ、上と下が逆になってない?」
「回転でもしてるのか?」
「重力の向きが少しずつ変わってる感じがする。何かめっちゃ気持ち悪い。早くここをでようよ」
タイガ達は試行錯誤で出口を探した。
「もしかして、あれじゃねえか?」
「行ってみよう」
扉を開けるとそこには美しい海と砂浜が広がっていた。
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