第30話 スネークのセイギ

 タイガはスネークの腹にパンチを入れると同時に顔面を殴ろうとしたが、スネークはその両方をしっかりと手で受け止めた。


「へっ、見え見えなんだよ。って言うかスピードが遅くなってな〜い?」


スネークはとてつもなく嫌らしい口調で追い詰めた。


そして、スネークは足を曲げて勢いよく蹴り上げて、タイガの胸ぐらをつかみ、顔面を何発も殴ったり、腹に蹴りを入れた。


「チッ、クソ!」


タイガがスネークを睨むとスネークはニヤッと笑い、さらに力強く顔面を殴った。


すると、タイガはスネークの顔に唾を吐いた。


「うっ、きたね!」


「ハッ、ハハハハハ!」


タイガはケラケラと笑い出した。


「すげぇ、不屈の精神じゃん」


ツバサは興奮していた。


「あっ、そう言えば、鍵の欠けてる部分のありかはどこだっけ?」


ヒロが思い出した。


「おっ、そうだな」


「でも、この場所のどこに隠されてるんだろう?」


一方、スネークはタイガを激しく罵倒していた。


「消毒してやったんだ。感謝しろよな」


「はっ、馬鹿にしてんのか?お前、ウザいんだよ」


「お前こそタケシをあんなにいたぶりやがって。ぜってぇ、許さねぇからな」


「はぁ、あんなやつどうでもいいだろ?」


「へっ、な~に言ってるか分かんねぇよぉぉぉぉぉぉ!」


タイガは激情し、スネークに向かって突進した。


タイガはスネークを殴ろうとしたらスネークはタイガの手をギッシリと掴んだ。


そして、タイガの腹に力強く拳を入れた。


さらに、タイガを勢いよく蹴り上げた。


しかし、タイガはどうにか持ち堪え、戦闘の姿勢を崩さなかった。


「お前、そんなにまでしてあいつを守りたいのかよ?」


「あぁ、そうだよ」


タイガの声は徐々にかすれていった。


タイガはスネークを殴ろうとするが、スネークはタイガの手を素早く振り払い、タイガを殴った。


スネークの拳はタイガの顔面にクリーンヒットした。


タイガはさらにフラフラになっていた。


それでもタイガは諦めなかった。


「タイガ、お前は本当にひどいやつだな!」


「はぁっ、お前日本語も分からなくなったのか?」


「いいか、あんな太った醜い姿を晒しながら生き続けるなんてあまりにもかわいそうだとは思わないのか?」


「あっ!?」


「殺した方が幸せだと俺は思うぜ」


「お前、ふざけてんのか?」


タイガはとてつもなくただならない気迫を放った。


その様子を見ていたツバサは激しく動揺した。


「タイガ、止めた方が良いんじゃない?」


「何だよ、面白くなりそうじゃねえかよ」


ツバサはこれ以上喧嘩が続いたらかなりヤバそうな感じがしたが、シブシブうなづいた。


「ふざけてるのはお前じゃないのか?」


スネークは得意げに言った。


タイガは無言でスネークを冷徹な目でジッと見つめた。


「惨めな状態で生かされ続けるなんてあまりにも酷いと俺は思うがな」


「へっ、お前バカじゃねえの?厨二病でも気取ってんのか?」


「俺は本気だ。俺はこの世の全ての惨めな生き物に死を与え、生と言う苦しみから解放させる」


「何言ってんだ、お前。大丈夫か?」


タイガは冷たそうに言った。


「まぁ、手始めにお前の親友とかいうクソデブのタケシから殺そうかな」


「ハッ、お前の冗談はほんと面白くないよな」


「冗談だと思うか?俺は何の知性もなく無意味に生き続ける憐れな数々の小動物を殺してやった。本当だからな」


スネークは真顔でタイガに言い放った。


その時のスネークの目には生気がなかった。


「ますます許せないな」


「へっ、所詮、貴様も神の手先ってわけか!劣って惨めな生き物をずっと生かせる、そんな神の手先になるなんて本当に最低だな」


「やっぱ、頭おかしいんじゃねえの?」


タイガは馬鹿にしたように言った。


「さあな。まあ、よく考えてみろ!この世には優れているやつと劣っているやつがいる。劣っているやつはただ生きていくだけでつら~く惨めな思いをする。だが、優れているやつは劣っているやつでは味わえない楽しみ、幸福を容易に得る事ができる。なのに劣っているやつはな、劣っていると言う理由だけで優れたものが味わえる快感も味わえず、惨めに惨めに一生を生きなければならない。俺はそんな劣っているものを救ってあげたい。ただそれだけだ」


「うっせえ!」


タイガはスネークに勢い良く殴りかかったが、スネークはひょいと避けた。


「タイガ、世の中には見下されながら生きてるやつ、貧しさのあまりろくに食べ物も食えないやつ、難病で生身の体では生きていけず、体のありとあらゆる部分を機械で補って生きてるやつがいる。そんなやつらは生きていても何も良い事なんてないと思うのになぁ。それでもお前は生きてほしいと思うのか?」


「思う」


「へっ、俺は醜いブリキみたいな恰好で生きていくなんて嫌だな。とてもじゃないけど考えられないね」


「機械の体で生きてるやつの事を言ってんのか?」


「そうだよ」


「機械だろうと肉体だろうと生きてる事に変わりはないんだ。ミミズだってオケラだってナメクジだってカタツムリだって、後、クソ兄貴も生きてるんだ。みんな生きてんだよ!」


スネークは嘲笑った。


タイガは我を忘れそうなほどとてつもなく恐ろしい何かに乗っ取られていた。


まるで獲物を食らう時の獣のようだ。


それを見ていたツバサは喧嘩を止めようとした。


「これ以上見てられないからあいつらを止める」


「あぁ、何かスネークのやつを見てるとこっちまで頭がおかしくなりそうだ。後、ここめちゃくちゃ暑苦しいから早いとこ鍵の残りの部分見つけて、さっさ行こうぜ」


決闘に闘志を燃やす2人の心が暑苦しさと言う形で表された。


「でも、過去の出来事を変える事ってできるのかな。僕らが見ている景色はタイガの記憶を元にしたものだからそれを変えるっていうのは出来なさそうだけど(心の声)」


過ぎ去った出来事に干渉する事にタイガ達はどこか妙なものを感じていた。





















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