第29話 決闘
タイガとスネークはこの世のありとあらゆるものを威圧しているようだった。
それぐらい2人はいがみ合い、すさまじくぶつかり合っていった。
2人は人の姿をした獣だった。
殺意に溢れた血走った目つき、容赦のない動き、荒れ狂う動き、辺り一面を威圧するほど覇気に満ち溢れた声が全てを凍りつかせた。
スネークの猛攻撃を押しのけて、力いっぱいに思い切り、拳を当てた。
スネークは体勢を崩し、倒れ込みそうになった。
スネークは体勢を立て直そうとするが、タイガはスネークに隙を与える事なく、反撃できないように殴る、蹴る、押さえつけると言った攻撃を徹底的に行い、動けなくした。
「クソッ、動けねぇ」
「あぁ、俺がしっかり押さえてるからな」
タイガは苦しそうにもがくスネークを見て、笑いながら言った。
「俺はお前なんかにぜってぇ負けねぇかんな」
スネークは自信満々に言った。
「その自信はどこからくるんだよ?」
タイガはあざ笑いながら言った。
「なぜなら、俺が正義だからだ!」
「正義!?はぁっ、馬鹿じゃねえの?」
「ここでは俺が正義でお前が悪!悪はどんな手を使ったとしても絶対に正義に勝てない!よって、お前は絶対に俺に勝てない!」
「プッ、ハハハハハハハハハハ、少なくともお前が正義なわけねえだろ、冗談ならもっと面白い事を言えよな!」
昔のタイガは思わず吹き出してしまった。
それを観客のような感じで見ていたタイガも思わず吹き出してしまった。
昔のタイガと今のタイガが同じ状況で笑ってると言う奇妙な有り様は他のみんなも妙な気分にさせた。
「スネークのやつ、小学校でガチの中2病だったもんな。やっぱマジでヤバイやつって感じ」
「やっぱ、過去と現在が1つになってる空間ってすごく不思議な感じ、って言うかタイガは昔とほとんど変わってないな、変わってないって言うか全然進歩してないって感じ(心の声)」
ツバサはほんの少しだけニヤけてた。
「おい、何がおかしいんだよ?」
「な、なんでもない」
一方、昔のツメオはスネークをホローした。
「そうだ、スネークが正義でタイガは悪だ!」
「うっせぇな、お前は黙ってろよ!」
「タイガが先にスネークに手を出したんだ。先に手を出した時点で悪者確定なんだよ!」
昔のツメオは自信満々に言った。
顔つき、目つき、口、口調がとてつもなくウザかった。
ありとあらゆるものをイラつかせるようなウザさだった。
「フッ、その通りだ。謝れよ」
「そうだ、そうだ!いさぎよく謝れよ!」
2人は嫌らしくタイガに迫った。
「黙れ、タケシを散々にいじめやがって、許さんからな」
「な〜に、正義ヅラしてんだよ?俺らはお前のダチにちょっといろいろやりすぎたかもしれねぇけどよ、だからって殴ったり、蹴ったりしちゃあ、ダメだろ?」
「そ〜だよ〜、喧嘩しちゃダメってお母さんから習わなかったの〜?」
スネークとツメオはタイガをめちゃくちゃ嫌らしい口調で煽ってきた。
「ちっ、ふざけやがって!マジで殺してやる!」
タイガは鬼の形相で睨んだ。
「おいおい、そんな熱くなってんじゃねえよ。ほんと暑苦しい所はタケシとそっくりだな」
スネークはそんなタイガを鼻で笑った。
「お〜い、タイガく〜ん。汗くさいですよ〜」
「チッ!」
タイガがツメオを睨んだ途端、ツメオはビビって少しの間、固まってしまった。
タイガはスネークに勢いよく殴りかかったら、スネークはタイガの拳をガッチリと手で受け止めた。
「へっ、ば〜か。その手にのらねぇよ」
「やるな」
「るせぇ、くたばっちまえよ!」
スネークはタイガを地面に投げ倒そうとしたと同時にタイガは足を曲げて勢いよくスネークを蹴飛ばした。
「クソッ、やりやがったな!」
「はっ、クソはお前だろうがよ!」
「スネーク、そんなやつに負けんな!」
「良いぞ、タイガ!その調子だ!」
昔のツメオはスネークを応援し、今のツメオはタイガを応援してる奇妙な状況に決闘を観ているみんなはプッと思わず吹き出してしまった。
「何か、めっちゃ変な感じ」
「気が変になりそうだぜ」
一方、昔のツメオは調子に乗って実況したり、妙なダンスをやっていた。
「うるせぇな!静かにしろ!」
「ツメオ、うぜぇんだよ!ジッとしてろ!お前、ちょっとでも動いたら殺すからな!後、喋るのもダメだ!」
スネークはツメオの所に詰め寄り、ドスの聞いた声でツメオを威圧した。
ツメオはあまりの恐怖と溢れ出る殺意や圧力に圧倒され、抜け殻のようになってしまった。
すると、タイガが素早くスネークの背後に回り込み、ものすごく強烈な拳を放った。
「てめぇ、卑怯だぞ!そんなやつだったとはな!」
「へっ、喧嘩にルールでもあんのかよ?」
「ハハハハハハ、面白い事言うじゃねえか!」
こうして、タイガとスネークの決闘はさらにヒートアップしていった。
タイガの攻撃でスネークは一瞬、よろけて倒れそうになったが、手を振り回して力強くタイガに当てた。
「クソが、死ね!」
スネークはタイガがよろけて倒れそうになったと同時に全力でタックルを仕掛けてきた。
しかし、タイガは倒れずに持ち堪え、スネークに全力でタックルを仕掛けた。
スネークも倒れずに持ち堪え、全力でタックルを仕掛けた。
それでも、タイガはなかなか倒れなかった。
スネークはタックルするフリをして、タイガがタックルで向かってきたと同時に足の方を力強く蹴り、バランスを崩し、よろけた所で思いっきりタックルを仕掛けた。
そして、タイガは地面に倒れてしまった。
「ハハハハハハハハ、フッ、ハハハハ」
スネークは嬉しさのあまりにとてつもない笑い声を上げた。
スネークは満面の笑顔でタイガをジッと見ていた。
スネークはタイガが動けないように押さえつけた。
タイガはスネークの死角を狙って、攻撃しようとするが、攻撃できないようにスネークは徹底的に足で踏みつけた。
「ハハハハハ、不意打ちもできないとはな」
「チッ」
さらにスネークはタイガの顔面を徹底的に足で踏みつけた。
血走った目で体中の至る所から血を流しながら顔面を踏み続けると言うあまりにもおぞましい光景が広がっていた。
タイガは必死で足を振り払い、立ち上がると同時に素早くスネークの背後に回り込み、殴ろうとする。
スネークはタイガが背後から攻撃しようとしている事に気づき、素早く後ろを向いて殴ろうとする。
タイガはとっさに後ろ向きにジャンプし、ギリギリでかわす。
「やっぱ、お前は面白いな。俺が会ったやつの中で一番面白いぜ!」
「まあな」
「だが、もうそろそろギブアップした方が良いんじゃないか?」
スネークはニヤッと笑った。
タイガはかなり汗だくになり、息切れもひどく、足元もかなりふらついていた。
「それはこっちのセリフだ」
「けっ、楽しませてくれるな」
不意をついて相手の死角や隙を狙い、攻撃し、一瞬にして獲物を捕らえる虎と狡猾に獲物を仕留める蛇が睨み合い、目の前の獲物を狩る事だけを考え、荒れ狂う。
その姿はまさに血に飢えた獣だった。
「どっちも必死って感じ」
「魂と魂がぶつかり合ってるってとこかな」
闘いでは両者の生き様、戦法、実力の全てが表れる。
闘いは魂と魂のぶつかり合いと言えるのかもしれない。
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