第28話 タイガのお化け
タイガ達が決闘の地を探していると落書きみたいなお化けが次から次へと現れた。
「なんだあれ?」
みんなはプッと笑った。
「あっ、そうだ!思い出した。あれは俺がめっちゃ小さい頃に描いてたお化けのキャラクターだ!」
現れたお化けは幼い頃のタイガが考えたキャラクターだった。
「久しぶりだな!」
「おやおや、僕達の産みの親じゃないか」
お化けはニヤニヤしながら近づいてきた。
「懐かしいなぁ」
タイガは回想に入っていた。
幼少期のタイガはよく紙に自分で考えたお化けの絵本や漫画を描いていた。
「何描いてるの?」
タイガの母は夢中で紙に何かを描いているタイガを興味深そうに見ていた。
「こいつらはマヌケなお化けたちなんだ!すごく面白いぜ!」
「ちょっと見て良い?」
「良いよ!」
内容はあまり分からなかったけど、どこかとても面白かったのでゲラゲラと笑っていた。
「えっ、そんなに面白い?」
タイガはとても嬉しそうだった。
そこにタイガの兄がやってきた。
「何やってんだよ?」
「ちょっと、みてみて!タイガが漫画描いてるの!」
「俺にも見せろよ」
「へっ、やだよ!」
二人は喧嘩し出しそうになったが、母の無言の圧力でタイガは素直に見せる事にした。
「はぁ、くっだらね」
「なんだと!」
「絵がぐちゃぐちゃで何描いてるかわかんねーよ!」
「ちょっと絵が上手いからって調子乗ってんじゃねーよ!お前の絵なんて世界のいろんな芸術家に比べりゃザコなんだよ!」
そんなこんなで二人は喧嘩し出して叱られた。
そして、ある時は紙に落書きするだけでは飽き足らず、家の壁に落書きしてしまった。
当然、タイガはこっぴどく叱られ、壁を掃除する事になったがタイガの兄も連帯責任みたいな感じで掃除するはめになってしまった。
「こいつマジでいらんけど」
タイガの兄はとてもダルそうな感じでつぶやいた。
「あぁ!?なんだ、お前!?」
タイガは突っ掛かった。
「これ全部お前がやったんだから自分でやれよな!つーか、年下の分際でいちいち突っかかってくんじゃねぇよ」
「体だけデカくてなんも役立たないくせによ、デカい面すんな!」
結局、殴り合いの喧嘩になってしまい、父と母のドスの聞いた声や無言の圧力で二人は喧嘩を止め、二人そろって叱られるはめになった。
タイガはお化けの落書きに関する良い思い出と苦い思い出を思い出した。
「へへ、タイガ!お前は相変わらずマヌケそうだな」
お化けは意地悪そうに言った。
「何!?誰に向かって言ってんだ!?」
タイガはお化けに怒鳴りつけた。
「さあね」
お化けはすましたように言った。
「ムカつくな。ごちゃごちゃでブサイクでへんちくりんなくせによ」
タイガは自分自身に向かって悪口を言ってるような感じになり、変な気分だった。
「あっ、そうだ!お前ら決闘の地に行きたいんだろ?」
「もしかして決闘の地がどこにあるか知ってるの?」
「知ってるよ。ほら、決闘の地がどこにあるかが書かれてる地図だ」
お化けは決闘の地がどこにあるかを示している地図を見せた。
お化けは地図を渡すフリをしてタイガ達をもてあそんだ。
「ホォレ、ここだ、ここだ」
「クソ、いい加減にしろよ!原作者をなめんじゃねぇ!」
タイガ達はお化けから地図を手に入れた。
しかし、お化けは地図の一部を切り取って逃げていった。
その部分は決闘の地を知る上で重要だった。
「これじゃあ、決闘の地がどこにあるか分かんないよ」
「マジかよ」
タイガ達は落胆した。
「ハハハハハハハハ、ここまでおいで〜」
タイガ達はお化けを追いかけて迷路のように入り組んだ道を進み、その途中で様々な記憶に関するものがタイガ達の目の前に現れた。
タイガ達は迷路のようなものから抜け出たと思ったらジャングルのような光景が広がっていた。
すると、激しく流れる川の所でお化けがタイガ達を挑発した。
カッとなった獣は一心不乱で追いかけた。
カヌーでお化けを追いかけた。
追いかけていった先には再び迷路のような空間が待ち受けていた。
タイガ達はお化けを追い詰めたが、お化けは反撃に出て、形勢が逆転してしまった。
あの手この手でタイガ達を攻撃してきた。
「雷だったり、水攻めだったり、キツいやつで攻めやがって、これじゃあ勝てねぇよ」
「うゎ、周りがめっちゃ歪んでる」
「ま〜て〜、捕まえちゃうぞ〜」
お化けは嫌らしそうな声で追いかけていった。
「チッ、ムカつくな」
すると、別のお化けが現れた。
「どうしよう、挟み撃ちだ」
「いや、ちょっと待って!このお化け達は助けを求めてるみたい。もしかしたら仲間にできるかも」
ツバサは助けを求めてるお化けを仲間に入れようとした。
話を聞いてみるとタイガ達を追いかけてるお化けにいじめられていると言う事だった。
「よし、話は分かったぜ!俺達で力を合わせてやっつけよう!」
「ありがとう!」
「あっ、そうか!お前らはイジワルお化けだな!」
タイガは指をさして言った。
「さすがは、原作者。よく気付いたな」
「俺はお前らの事全部知ってるんだよ。だからなお前らの弱点が炎の剣だって事も知ってんだよ!」
「くっ、クソ!」
タイガは炎の剣でイジワルお化けの攻撃を全て跳ね返した。
そして、イジワルお化けを倒した。
すると、地図の欠けている部分が落ちてきた。
タイガ達は決闘の地がどこにあるかと言うのが示されている地図を完成させた。
タイガ達は愉快でマヌケなお化けと一緒に決闘の地に行く事にした。
「今、俺らがいるのがこの夢幻の間だから決闘の地はあっちか」
地図の通りに進んでいくとなぜか小学校に来てしまった。
「えっ、ここ、俺とタケシとツバサとスネークとツメオが通ってた小学校じゃねえか」
「決闘の地ってここであってるのかな?」
「さっきは周りにあるものや地面の中に謎を解く鍵が隠されてたからな(心の声)」
「とりあえず調べてみる?」
「周りにあるものや木の下とか目立つ所の下を探せ」
「分かった」
タイガ達は辺りを調べてみたが何も見つからなかった。
すると、2人の男子がやって来た。
1人の男子はニタニタと気持ち悪そうな笑みを浮かべ、もう一方の男子は不敵な笑みを浮かべていた。
タイガは2人を見て、気付いた。
小学生の頃のツメオとスネークだ。
「見ろよ、ガキの頃のツメオとスネークだ」
タイガは2人の方に指をさした。
「ほんとだ」
「にしてもツメオのやつ、マジでキモかったよな」
タイガはツメオの方を見た。
ツメオはどこか複雑な表情をしていた。
「あっ、ごめんな。でも、あれが昔のお前なんだよ」
タイガは同一人物である2人のツメオを見て、妙な気分になった。
ツメオは昔の無様でとてつもなくカッコ悪い自分自身の姿を見て、嫌な気分になった。
そして、もう1人の男子が猛烈な勢いで走ってきた。
「あっ、タイガだ!」
「ほんとだ、俺だ!」
タイガ、タケシ、ツバサ、ツメオの4人はとてつもなく大きな声を出した。
4人は同じ仮想空間に同一人物である2人のタイガがいる事で面白そうな感じで興奮していた。
「そっか、分かったぞ!決闘の地はここだ!ここで俺とスネークが決闘するんだ!」
「なんだろう、この不思議な感じ。この後、どうなるかめっちゃ楽しみ」
ツバサは改めてこの仮想空間が生み出す不思議な状況に惹かれていった。
タイガ達は興味津々に眺めていた。
ヒロはタイガとスネークのどちらが勝つのかと言うのが気になっていた。
「どっちが勝つの?」
「へっ、なもん聞くまでもねぇだろ?」
タイガはとても強気な口調で言った。
「どっちも怖そう」
お化けはタイガとスネークを見て、かなりビビってた。
「ばーか、お化けのくせにビビってどーすんだよ?」
こうして、思い出の決闘が始まった。
「たまには昔を振り返るのも良いな」
「あっ、なにか始まりそう」
タイガとスネークはお互いにニヤッと笑った後、無表情で沈黙した。
沈黙が辺り一面を覆いつくした。
沈黙が空間そのものを支配した。
その沈黙は周りを凍り付かせるほど不気味で恐ろしいものだった。
スネークとの決闘を覚えているタイガでさえ徐々に震え上がっていった。
他のみんなも2人の間にある憎しみ、殺気に押されていた。
「サルの分際でよ、威勢だけは良いんだな」
スネークは嫌らしくタイガを挑発した。
「へっ、吠える犬ほど弱いってのが改めて分かったぜ」
タイガも負けじとスネークを挑発した。
「吠える犬ほどよく吠えるか、何かものすごく深みのありそうな言葉だね」
お化けが突っ込んだ。
「ちげーよ、吠える犬ほど弱いが正解だよ。吠える犬ほどよく吠えるって、お前らほんとにマヌケだな」
「タイガもあまり人の事言えないだろ(心の声)」
みんなは苦笑いした。
お化けはこれからものすごい事が起きそうだと怖いもの見たさでタイガとスネークをジッと見ていた。
徐々に怪物のようになっていく2人から恐怖を感じていた、そして、それと同時にこれからきっとものすごい事が起こる、一体、何が起こるんだ、どんな興奮を提供してくれるんだ?と言う好奇心を2人は湧き上がらせてくれた。
こうして、タイガとスネークの決闘は幕を開けた。
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