第25話 パルクール

 タイガ達はオタクランドを後にして先に進むとそこには廃墟があった。


いかにもお化けが出そうって感じだった。


「変なとこに来ちゃった」


「ここはパルクールゾーンです。ここではいろんな人がパルクールをやっているとても楽しい場所です」


「パルクールか。一回やってみたかったんだよな」


「めっちゃワクワクする」


タイガ達は張り切っていった。


ワンダーバードはそんなタイガ達をニヤニヤと笑いながら見つめていた。



タイガ達が廃墟の中に入ろうとすると声をかけられた。


「もしかして君達、パルクールをしに来たの?」


「あぁ、そうだよ」


「実は俺もパルクールをしに来たんだ」


「マジか!もし良かったら俺らと一緒にやらない?」


「いいね!一緒にやろうよ!」


その人はとてもノリの良い感じだった。


すると、その人はニヤニヤしながら話した。


「なんだよ。急にニヤニヤして」


「実はここには幽霊が出るみたいなんだけど知ってた?」


「マジかよ!面白そうじゃん!」


「ちょっと、止めた方がいいんじゃない?」


ツバサは少し小さい声でタイガを気遣いながら言った。


「いいじゃんか!こういうのがけっこう面白いんだよ!」


「いや、でも危ないって。絶対止めといた方が良いと思う」


「分かったよ。俺、一人で入るからお前らはそこで待っとけよ」


「ええ~、そういうわけにはいかないよ」


「俺、パルクールするついでに肝試しに行くんだ。俺の旧友がここでは幽霊が出て、けっこう面白そうだからここでパルクールも兼ねて肝試しやろうぜって誘ったんだ」


「ってことはお前の他にもここに来るやつがいるのか。めっちゃ面白くなってきたじゃん!うし、行こうぜ!」


「マジか」


他のみんなはしぶしぶついていく事にした。


「心配すんなって!何かあったら俺が守ってやるよ!」


ノリノリのタイガにみんな呆れていた。


「何だよ?もしかしたらここにバーチャルアークの謎を解くカギが隠されているかもしれないぜ」


「でもさぁ、さすがにここを調べるのはちょっと」


「いや、意外とこういう所に隠されてるかもしれないじゃん」


虎穴に入らずんば虎子を得ずとは言うが限度ってものがあるだろとみんなは心の中で思った。



 すると、何者かが現れた。


「わっ!」


「あぁっ!」


「ひっ!」


タイガ達はちょっと驚いた。


「おぉ、久しぶりじゃん!」


「あんだよ、おめーおせーよ」


「わりぃ、ちょっと遅れちゃった」


「元気そうじゃん」


旧友達だった。


「お前の友達もめっちゃノリよさそうじゃん」


「だろ?こいつら、ノリの良さだけが取り柄なんだ」


「るせぇな。それを言うなよ」


お互いにちょっかいを出しながら、はしゃいだ。


「うぇーい!ますますきまってんじゃん!」



タイガ達はノリの良い人達と一緒に廃墟の中を探検した。


「えっ、今、肩触った?」


タケシは何かを感じた。


それは肩にチョンと優しく触れたような感じだった。


振り返るとみんなは知らん顔をしていた。


「お前ら、心霊スポットでそんなことしたらバチがあたるぜ」


ノリの良い人達はいたずらっぽく言ってきた。


「別に平気だって」


「いやいや、もしかしたらいるかもしれないぜ、お前らのすぐ近くに、いや、お前らの目の前に」


「え~、そのギャグあまり面白くねぇよ」


タイガが突っ込んだ。


「そうそう、お前のギャグってほんと面白くないよな」


「おい、止めろよ。せっかく明るい空気にしようと思ったのによ」


「お前の場合、かえって周りの空気を冷たくするぜ」


「ほら、ただでさえ肌寒いのにお前のせいで余計に寒くなっちまったじゃねえか」


「そうだよ、どう責任とってくれんだよ?」


「しょうがねぇな、じゃあ一発ギャグやりま~す!」


「よし!いいぞ!」


一発ギャグを披露し合ったりしながらふざけて進んでいった。


「や、やめろ!ボソボソと話しかけるなよ」


「えっ、俺じゃないけど」


「やったのはヒロだよ」


「違う、やってないって」



 タイガ達は最初は肝試しに行く感じで進んでいったが、途中からパリピ達のノリに乗せられてお祭りに行くようなムードで探検した。


みんなではしゃぎあい、じゃれあった。


屋上に行くとパリピ達はパルクールをしだした。


「おし!それじゃあ、久々にやろうぜ!」


「おっしゃあ!」


「すげぇ!めっちゃうめぇじゃねえか」


タイガ達はスピード感やリズム感、迫力あふれる動きに見惚れていた。


「っていうかさぁ、結局なんもでてこなかったな」


パリピ達の中の一人が帰ろうとした。


すると、他のパリピ達は語り掛けるように喋った。


「そういえばさぁ、あの時もノリノリでパルクールやったよな」


「あの時って?」


不思議そうに聞いた。


「覚えてないのか?」


妙な空気の変化にタイガ達は戸惑った。


「俺らがパルクールで事故ったときだよ」


パリピの一人が動揺しだした。


「でも、痛みを感じたのは一瞬だけだったような」


「あぁ、だって俺ら死んでるからな」


タイガ達は逃げようとした。


「お、おい!こいつらやばいぜ」


「うん。早く逃げよ」


幽霊達はタイガ達を取り囲もうとした。


タイガ達は必死に逃げた。


しかし、追いつかれそうになった。


「チッ!」


タイガは銃を撃ったが、光線は幽霊の体をすり抜けていった。


幽霊は無表情で迫ってくる。


「クソ!全然きかねぇ!」


「そうそう、ちなみにここは今の科学では説明できない異形なものも出てくるので気を付けてくださ~い」


「つーか、あいつら以外でパルクールやってるのいなかったじゃねえか!てめぇ、だましたな」


タイガはワンダーバードに怒鳴りつけた。


「ごめんなさ~い。最初に心霊的なものもでるって言うのを言い忘れてました」


「てめぇ、後で覚えとけよな」


「あれ、なんか周りが歪んでるような」


「あっ、空間が歪んできてる」


タイガ達はブロック状の壁を作り、幽霊達が迫ってくるのを防ごうとしたが、無駄だった。


ツバサは戸惑って動けないヒロとタカヒロを引っ張って逃げた。


タイガ達はどうにか廃墟から逃げた。










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