第23話 サムライランド

 タイガ達の前に江戸の町並みが広がっていた。


風情に溢れる町並みは自然と見る者を癒してくれた。


「あっ、ここは昔の江戸を体験できるんだ」


「ちょっと惜しいですね」


「違うのかよ」


タイガは少し残念そうだった。


「ここはありとあらゆる時代のサムライの暮らしを体験できるサムライランドです」


「へぇ~、何か時代を実感できる的な所が良いな」


「サムライって最初っから偉かったわけじゃないんだ」


「最初は貴族のボディーガードみたいなものか」


タイガ達はサムライがどういった歴史を歩んできたか、サムライの地位や暮らしはどのように変わっていったのか、サムライはどのような気分を味わったのか、サムライの考え方や楽しみ、趣味と言ったものはどのように変わっていったのかと言うのを実感した。


「とてもきらびやかだね」


「風情があって良いね」


ヒロは平清盛が信仰した厳島神社や足利義満が建てた金閣寺をモデルにした建物を見て、優雅な時を過ごしたサムライの気分に浸っていた。


タイガ達はサムライがつけていた鎧や兜をつけてみた。


「おぉ、めっちゃかっこいい!これぞ男って感じだな」


「でも、めちゃくちゃ重い」


「これほど重いとは」


「昔の人ってすごいなぁ」


「ちげーよ!お前らがだらしないだけだ」


「何かこれつけてるとサムライの気分になれる」


「あっ、めっちゃ似合ってるね」


「だろ?至る所にカッコよさや男のロマンが詰まってるぜ」


「ツバサもけっこう似合ってるんじゃない?」


「ほんとだ」


「あっ、ありがと」


ツバサはちょっと照れた。



「サムライとしての威厳にあふれているし、何ていうかサムライとして生きることに対してどれだけ誇りや気概、自信を持って生きていたかって言うのが伝わってくるな」


特にタイガは一番嬉しそうだった。


「何から何まで勇ましい感じだね」


「つけているだけで勇気が出てくる」


「これがサムライが戦いに出る時の気分か」


タイガは戦に出陣する時のサムライの気分を堪能していた。



 サムライとしての魂、プライド、覚悟、気合、サムライが様々な時代で何をはぐくんできたか、サムライは日本に対してどのような影響を与えたのか、サムライの日本における地位はどのように変わっていったのか、サムライや朝廷、庶民との間の関係はどのように変わっていったのか、サムライがどのように暮らしていたか、時代によってその暮らしはどう変わっていったのか、それぞれの時代のサムライの気持ち、サムライが見た世界はどのようなものだったのか、様々な時代においてサムライは何を味わったのかと言うのをタイガ達は実感した。



「俺らが生まれるずっと前に何物にも代えがたい誇りをもって生きてきた男達がいたって言うのをこうして実感できるってすごく良いよな」


「サムライがどんな気持ちで過ごしたのかって言うのが味わえたね」


「サムライになった気分を味わえたし、サムライは何を考え、何を思ったかが分かったような気がする」


タイガ達は五稜郭の戦いを元にしたかなり大きいジオラマも見に行った。


「これが五稜郭の戦いか」


「何か虚しいね」


「五稜郭の戦いで活躍した榎本武揚が最後のサムライってことか」


「江戸幕府最後の戦い、これでサムライは滅んだのか」


「いえいえ、サムライはその後も士族と言う身分で生き残っているし、榎本武揚は新政府に登用されたんだ」


「へぇ~、そうなんだ」


「今の時代にサムライはいないけど、サムライとしての魂は時代を超えて生き続けてるのかもしれないな」


「サムライは滅んだんじゃなくて、姿かたちを変えて生き続けてる」


「サムライの魂を忘れないようにしないとだめってことか」



 別の時代の人の気持ちになり、別の時代がどういうものかと言うのを味わえるのはとても素晴らしいことである。




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