第18話 アニマルゾーン
タイガ達の目の前には動物がたくさんいた。
「ここはアニマルゾーンです」
タイガ達は様々な猛獣に出くわした。
「あっ、ライオンだ」
「うわっ、チーターもいる」
「あっ、こっちに向かってくる」
タイガ達はどうにか逃げ、物陰から猛獣達の様子をじっと観察した。
「ねぇ、見て。あのライオンの子、親から暴力受けてる」
「ほんとだ!なんでだろう?」
「何か悪いことでもしたのかな?」
すると、ワンダーバードがヒントを出した。
「皆さんは自立と言うのをご存じですか?」
「自立?あっ、もしかして、自立させるためにわざときつく接してるってこと?」
「正解!さすがです」
「動物はある程度成長すると親から冷たく突き放されるんです」
「動物も動物で大変だね」
「僕達人間も同じだな」
「そうですよ。タイガさん、あなたも親から自立して、もっと親の事を大事にしないと」
ワンダーバードは少し嫌味っぽい口調で言った。
「ちっ!俺は自立してるよ」
「ほんとですか~?宿題はちゃんと自分でやってますか~?机の後片付けは自分でやってますか~?」
ワンダーバードはさらに嫌味な感じで迫った。
タイガはとても痛い所をつかれた。
「るせぇな!俺はなマザコンとかとは違うんだよ!」
タイガは怒鳴り散らすような感じで言った。
「そうそう、この光景をツメオにも見せたいよな」
「ああ~、不良少年のスネークと一緒にタケシにちょっかいだしてたやつのことか」
小学生の頃のタケシは太っていて、そのことが原因でスネークとツメオにいじめられていた。
ツバサはそんなタケシを親身になって励まし、一生懸命応援した。
タイガもタケシを一生懸命応援したが、すぐカッとなる性格があだとなって、タケシがいじめられたらすぐに手を出して喧嘩ばかり起こしていた。
そのため、タイガはしょっちゅう先生に叱られていた。
ツメオはそんなタイガをニタニタと笑いながら見ていた。
「あのマザコンのくそ眼鏡、マジでむかつくよな。いつもニタニタ笑いやがって、気持ちわりぃ!親に見捨てられて乞食にでもなればいいのによ!」
「ちょっと、ツメオのことはあまり好きじゃないけど、そんな風に悪く言うのは良くないよ」
ツバサはタイガのことを気遣いながら言った。
「うっせぇ!あんなやつは一回、親に捨てられた方がいいに決まってんだ!そうしないと親のありがたみってやつが分からねぇよ」
ワンダーバードはお前も人の事は言えないだろ?と思い、何か言いたそうな目でタイガを見つめていた。
「なんだよ?」
タイガはワンダーバードをにらみつけた。
「別に」
ワンダーバードはそっぽを向いた。
タイガ達はサルの群れを見に行った。
「あっ、あのサルいじめられてない?」
「ほんとだ、いじめられてる」
「サルの世界にもいじめって言うのがあるんだ」
いじめられてるサルもいれば、上手い具合にボスザルに取り入り、いじめに加担しているものもいた。
「サルは人間に近いからいじめなんてないと思ってたのに」
「サルの世界にも厳しいルールがある所があって、若い雄はなかなか群れになじめない事が多いんだ。」
「サルの世界もけっこう残酷なんだ」
「それだけじゃなくて、サル同士で戦う事もあって、親とはぐれた子供はかっこうの獲物になってしまう事が多いんだ」
「サルの世界にも弱肉強食があるんだ」
「弱いものを徹底的にいじめる所や弱肉強食で生きている所はある意味人間と同じだね」
「ちっ!嫌なものを見てしまったぜ」
「それじゃあリカオンやハダカデバネズミを紹介しましょう」
タイガ達はリカオンやハダカデバネズミを観察することにした。
「あのリカオンはゴロゴロしてるな」
「怠け者ってことか」
タイガは馬鹿にしたように言った。
「疲れてるのかな?」
「ああやって体力を温存しているんですよ。暑い日中はああやってゴロゴロして無駄なエネルギーを使わないようにしてるんだ」
ワンダーバードはにこやかに言った。
「なるほど!」
「しっかりと工夫して生きてるんだ」
「見て見て!あのリカオン、子供を産んでる」
ツバサは嬉しそうに言った。
「ほんとだ」
「何か感動的だね」
「これが生命の神秘か」
「あのメスをしっかり見た方が良いよ。実は子供を産めるのはあのメスだけなんだ」
「えっ、なんで?他のメスも子供を産むと思うけど」
タケシは不思議そうに思った。
「だよな」
「なんでだろう?」
タイガ達は不思議そうに思い、さらにジッと観察した。
「子供を産めるのは群れの中で一番強いメスだけなんだ」
「なるほど!」
「他のリカオンには別の役割があって、リカオンはお互いに役割を分担してるってこと?」
「その通り!リカオンの中で一番強いメスが子供を産んで、その子供を守り、姉妹や兄弟は繁殖に関わらないけれど、その代わり子供の世話をするんだ」
「お互いに助け合って生きているんだ」
「そうです。群れの中では繁殖する個体とそうでない個体とでお互いに利他行動をとって、他者のために行動してるんだ」
「何かとっても素敵だね」
「助け合うっていうのは何か心温まるよな」
「ハダカデバネズミも特定のメスしか子供を産めないのか」
「ハダカデバネズミは女王ネズミしか子供を産めないんだ」
「あっ、穴を掘ってるのもいる」
「あれは兵士ネズミだね」
「ハダカデバネズミもお互いに役割を分担して生きてるんだ」
「生き抜くためにお互いに助け合うのか。俺ら人間も見習わないといけないな」
タイガ達は他の動物も見て、生き抜くために環境に適応し、生き抜くために工夫していくことの大切さを学んだ。
タイガ達は生命を見た。
タイガ達は感動を味わった。
タイガ達はカモノハシ、カンガルー、コアラも観察してみた。
「哺乳類でもそれぞれ違うんだ」
「あっ、カモノハシの皮膚から何か変な液体がでてる」
「あれは母乳だよ」
「あれが母乳なの?」
ヒロはとてつもなく驚いていた。
「カモノハシは哺乳類の中で最も原始的だから皮膚から母乳がしみでてくるんだ」
「へぇ~、初めて知った」
「何かすげ~な」
「カンガルーのお腹の中に赤ちゃんがいる」
「おっ、ほんとだ!けっこうかわいいじゃん!」
「カンガルーやコアラと言った有袋類は人間などの真獣類とは違って赤ちゃんが少し大きくなったらすぐにお腹の外にだすんだ」
「けっこう厳しいね」
「その代わり赤ちゃんはお腹に入ったり、出たりすることができるんだ」
「便利なお腹だね」
タイガ達は一度に多く早く産む動物と少なく遅く産む動物を観察して、産み方の違いでどのように育てるのかと言うのを学んだ。
「一度に多く産むやつは子供をほったらかしにするのか」
「たくさん生まれるけどその代わり生存率が低いんだ」
「少なく産むやつは生存率が上がるように考えて親がしっかり面倒を見るのか」
「産み方で生存率はどうするのかって言うのを考えて育ててるんだ」
「何か生きるのってものすごく難しいことなんだね」
タイガ達は生きることがどれだけ過酷なのかというのを実感した。
タイガ達は生命という名のドラマを見た。
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