第14話 ガイコツランド
薄気味悪そうな墓地が広がっていた。
周りには霧が立ち込めていた。
「何かお化けとかでそうだけど」
タイガ達が立ち去ろうとするとどこからか音が聞こえたような気がした。
タイガ達は確認してみるが誰もいない。
しかし、何かがうごめいているような感じがした。
明らかに何らかの気配を感じていた。
気のせいかと思ったその時。
「ワッ!」
墓の影から謎の人物が驚かしてきた。
そいつの全身はガイコツだった。
「な、何だ!?」
タイガ達はとても驚いて、警戒した。
ガイコツ人間はタイガ達に危害を加えないと言うことを伝え、フレンドリーに明るく接した。
タイガ達はホッとした。
「なんかとっても不思議だね」
ツバサは個性的な感じや魅力あふれるガイコツ人間をけっこう気に入っていた。
タイガ達が奥へ進んでいくとそこは大勢のガイコツ人間達で賑わっていた。
ガイコツ人間達は陽気にドンドコドンドコと太鼓を鳴らし、ノリノリでダンスを踊っていた。
「ここはガイコツランドだ」
「けっこう賑わってるね」
「おぉ!ここでも祭りやってんのか!」
「でも、何でみんなガイコツの姿なのかな?」
ヒロは気になったので聞いてみた。
「良い質問だね!」
タイガ達を案内するガイコツ人間は嬉しそうに答えた。
「実は俺達は人種の違いや愛に対する考え方の違い、文化の違い、見た目の違いでいがみ合っていたんだ。そこでこの世界を創っている夢魔(ムーマ)のコンピューターがそれならばいっそのことみんなガイコツになってしまえば争わずに済むのではないかと言うことで俺達をガイコツに変えたんだ。すると、見た目がみんな同じになったら違和感がなくなってお互いに認め合えるようになったんだ」
「何か良い話だな」
「ガイコツがわんさかいたからちょっと怖そうな感じがしたけど、めっちゃ温かいなぁ」
タイガ達はガイコツ人間の話を聞いてとても感心していた。
タイガ達の顔がおだやかになった。
地球上の人間の見た目もみんな同じにしてしまえばお互いに相手の行動や考え方を素直に認め合えるだろうにとタイガ達は強く感じた。
「そういえば名前を聞いてなかったな」
タイガ達はガイコツ人間に名乗って、名前を聞いた。
「俺はジョー!ジョーって呼べよ!」
ジョーは元気よく答えた。
タイガ達も祭りに参加した。
周りの光景も祭りの賑わいと共に明るくなっていった。
盆踊りをするガイコツ、ラーメンを食べるガイコツ、キムチを食べるガイコツ、歌を歌うガイコツなどいろいろなガイコツがいた。
タイガのノリは絶好調に達し、裸であることを気にせずに裸踊りをやるガイコツ達と一緒にノリノリで裸踊りをした。
ツバサは風呂に入ろうとすると彼女の裸体にガイコツ達は動揺した。
ツバサはあわてて股間の方を隠し、照れ笑いした。
ガイコツ達は風呂に入っても男女関係なく賑わっていた。
そんなガイコツ達の中にはふざけてセクシーポーズをとっている者もいた。
タカヒロは向こうをみて、何かに気づいた。
それは向こうもガイコツ達がたくさんいるが、みんなで打ち解けあって、仲良くやっているガイコツランドとは違い、ガイコツ同士で剣を振り回して戦っていた。
「ねぇ、あれ見てよ」
タカヒロが指を指す方には赤々とした風景が広がっていて、業火の中でガイコツ達が戦い、疲れ切ったガイコツは首を吊って寝ると言うこの世の終わりのような光景が広がっていた。
「もしかして、あのガイコツ達の気持ちが周りの光景に表れてるのかな」
「えぇ、そうですよ」
「もしかして、この世界はあの世の世界を再現してるんじゃないの?」
あいつらもけっこう鋭いとこがあるなとムーマの構成員は感じた。
ムーマの構成員はモニターを通してタイガ達をジッと見つめていた。
彼らは無機質な四角いパネルに囲まれてタイガ達を隅から隅まで観察していた。
タイガ達はこのことを知るよしもなかった。
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