第10話 Raptors in the forest
タイガ達はテントで寝ていた。
ヒロは悪夢を見ていた。
ヒロは体をバラバラにされていた。
人間のような姿をしたラプトルの家族はうまそうにヒロをジッと見ていた。
ラプトルの子供はフォークとナイフをカンカンと鳴らして興奮していた。
そいつは無邪気そうにヒロを食べようとしていた。
ヒロは恐怖のあまり顔が引きつった。
そして、ヒロはラプトルのおぞましい口の中に入っていった。
その時、ヒロは目を覚ました。
ヒロは夢か、夢で良かったと思った。
ヒロは気分を落ち着かせるためにテントの外へでた。
ヒロは外の空気を吸っていた。
カサッ
草むらで音がした。
ヒロは音のする方に懐中電灯を向けた。
何者かが獲物を食べていた。
それは体を起こし、ヒロをジッと見た。
ヒロはうごめくものに懐中電灯を照らした。
そこには言葉では言い表せないほど血なまぐさい光景が広がっていた。
そして、正体がわかった。
やつらはガッ、ガッと肉を切り刻む音、暗闇に鋭く光る牙、睨むような眼、至る所が血に覆われている口で辺り一面を恐怖で包み込んだ。
ラプトルだ。
ラプトルはかがんで、かぎ爪で獲物を漁っていた。
ヒロは驚きのあまり、懐中電灯を振り回した。
ラプトルは一体だけではなく、三体いた。
ヒロはあまりの恐ろしさに懐中電灯を落として、逃げていった。
ヒロはラプトルに見つかったことをみんなに知らせた。
みんなは急いでテントから逃げ、森に避難した。
タイガ達が寝ていたテントは静寂に包まれた。
しかし、その静寂にとても小さな音が忍び寄ってきた。
ラプトルはタイガ達が入っていたテントを集団で血眼になって調べた。
ラプトルはテントの周りを囲んだ。
鋭いかぎ爪が飛び出してきた。
そのかぎ爪は下の方に下がっていった。
切り裂くような音が辺り一面に響き渡った。
ラプトルはかぎ爪でテントに穴を開けた。
その穴から恐ろしい形相が飛び出してきた。
ラプトルはテントの中を調べるが何もなかった。
ラプトルはテントの上に飛び乗り、テントを壊した。
ラプトルはさらに血眼になって探した。
ラプトルはニヤッと笑った。
とてつもなく不気味な形相だ。
ラプトルはタイガ達の足跡を見つけた。
その頃、タイガ達はもう大丈夫だろうと思い、安心しきっていた。
すると、懐中電灯を持っているタイガの手が小刻みに震えだした。
みんなはどうしたんだと思い、タイガの方を見るとタイガの懐中電灯の光が照らしている方を見ると何かがガサガサとうごめいていた。
そのうごめいているものの正体が分かるとみんなの顔が引きつった。
ラプトルだ。
その時、ラプトルもタイガ達の存在に気づいた。
タイガ達は後ろの方から何かが凄まじい勢いで迫ってくるのを感じた。
ラプトルだ。
暗闇の中で陰から襲ってくるラプトルに対し、日中の時と比べ、さらに苦戦を強いられてあたふたしていた。
次から次へと素早く襲いかかってくるラプトルに対し、音だけを頼りにどうにか応戦した。
ラプトルはタイガ達の周りから姿を消した。
しかし、タイガ達はいつ襲われるかわからないととてつもない不安と恐怖を感じ、ビクビクしながら歩いていた。
タイガ達は集団というものがいかに恐ろしいか、集団というものはとてつもなく大きな力を生み出す、人間が集団で行動するのは何かに支配されているからではなく、古来から培われた生き物としての本能であると悟った。
すると、鳴き声が聞こえた。
タイガ達はとっさに声がする方に懐中電灯を向けた。
タイガ達はあまりの不安と恐怖でどんなにささいなことでも過敏に反応するようになってしまった。
それは鳥の鳴き声だった。
タイガ達はホッとした。
その鳥はけっこう可愛かった。
タイガ達はさらに先へ進んだ。
すると、さっきの鳥に似た鳴き声が聞こえてきた。
タイガ達はさっきの鳥と同じやつだと思い、声がした方に行ってみた。
声がする方を見てみたが、鳥はいなかった。
しかし、どこからかガサガサと音がした。
闇の中で何かが静かにうごめいていた。
タイガ達は何だろうと思い、辺りをキョロキョロしているとそれは姿を現した。
ラプトルだ。
ラプトルはタイガ達が見惚れていた鳥の鳴き声をまねて彼らをおびき寄せていた。
ラプトルはすかさず、タイガ達に飛びかかった。
タイガ達は必死に応戦した。
ラプトルはタイガ達に対して徹底的に攻撃することなく、遠くに向かって鳴き声をあげてどこかに消えていった。
タイガ達はなんでだろうと思ったが、ツバサは口に手を当てて深刻そうな表情で言った。
「もしかして、仲間を呼んでるんじゃない?」
「だったら、早くここをでないと!」
タイガ達は急いで森をでようとした。
ガサガサ
どこからか音が聞こえてきた。
タイガ達は音が聞こえた方に行ってみたが、何もいなかった。
ツバサはこれまでのラプトルの戦法だと音がする方におびき寄せて、反対側から襲ってくるかもしれないと考えて、音が聞こえた方とその反対側を銃で撃ってと指示を出した。
すると、辺り一面、不気味なほどし〜んとしていた。
「ラプトルを倒したのかな?」
「まだ倒してないんじゃない?」
「多分、それはないと思うよ。だってどこからも襲ってこないし」
「じゃ、行こうか」
タイガ達が行こうとしたその時、俊敏に動く影が現れ、行く手を阻んだ。
「あっ、ラプトルだ!」
死角からラプトルが現れた。
タイガ達は逃げようとすると次から次へとラプトルが現れ、彼らの行く手を阻んだ。
果敢に立ち向かう勇者に対し、ハンターは容赦なく、追い詰めていった。
タイガ達はどうすれば良いんだと思った。
その時、ドシンドシンと地鳴りのような音がした。
それは徐々に大きな影へと姿を変え、タイガ達の前に現れた。
ティラノサウルスだ。
ティラノサウルスは待ち伏せしていた。
ラプトルはとっさにティラノサウルスから逃げていった。
猛獣はパワフルな動きで周りを震え上がらせた。
獲物は容赦なく、食べられてしまった。
タイガ達はその隙に逃げた。
「ありがとな!」
タイガは大きな声でティラノサウルスにお礼を言った。
ラプトルの阿鼻叫喚と共に、徐々に暗闇は薄くなり、少しずつ辺りが明るくなっていった。
こうしてタイガ達は無事に森を抜け出た。
悪夢は終わった。
恐竜は恐ろしい存在なのかもしれない。
しかし、弱肉強食の世界で生きていると言う所とお互いが争わないようにお互いのテリトリーに干渉しないようにする所、群れをなして群れの秩序を守り、行動すること、群れの秩序を乱したり、迷惑をかけたものを追い出し、徹底的に制裁を加える所、身を守り、生きていくために群れをなす所は人間と共通している。
恐竜は恐ろしい存在かもしれないが、人間のように地球環境を破壊し、母なる星である地球を傷つけるようなことはせず、地球に対して迷惑をかけなかった。
それは鳥に進化した今でも同じである。
人間の方が恐竜より恐ろしく、害悪な存在なのかもしれない。
滅ぶべき存在は恐竜ではなく、人間だったのかもしれない。
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