第7話 モンスターの巣窟

「ここから先はモンスターの巣窟です」


ワンダーバードがバスガイドっぽく喋った。


「何かワクワクするな!」


タイガはとても張り切っていた。


他のみんなはドキドキしていた。


「ちなみにやられてしまうとどうなると思います?」


ワンダーバードがいたずらっぽく聞いた。


「フッ!どうなるんだよ?」


タイガがニヤッと笑って返した。


タイガはいたずらっ子のような目をしていた。


「やられちゃうと僕達は現実の世界に戻ってしまうとか?ゲームオーバーみたいな感じで」


タカヒロは何となく答えた。


「ブッ、ブッー!」


ワンダーバードは馬鹿にするような感じで言った。


「実はやられてしまうと皆様はこの世界を構成するデータとして組み込まれてしまいます。つまり、皆様はこの世界の一部となってしまい、永遠に現実の世界には戻れないと言うことですね」


ワンダーバードはふざけた感じで言った。


ワンダーバードはニヤニヤしているような目つきだった。


ヒロだけ動揺していた。


「へっ、面白そうじゃん!楽勝だぜ!なあ、ヒロ!」


タイガは望むところだと言わんばかりに張り切っていた。


「う、うん!あっ、そうか!怪物の上からどんどん石を落とせば良いんだ」


ヒロは一瞬、戸惑ったが、タイガと同様に楽観的になった。


「残念ですが、ここからは石を思い浮かべて空中に石をだすと言うことは出来ません」


ワンダーバードは嫌らしく言った。


「チッ」


タイガはダルそうに舌打ちした。


「なっ、なんで?」


タケシは焦って聞いた。


「だって、そんなやり方でクリアされちゃあつまらないじゃん!」


ワンダーバードはさらにふざけた口調で言った。


「Dead or aliveってわけか!ますます冒険したくなってきたぜ!行くぞ!」


他のみんなは不安でかなり動揺していたが、タイガだけノリノリだった。


タイガ達は森の中を進んでいった。


しかし、森の中は鳥の鳴き声があちこちから聞こえるだけで怪物が出る気配はなかった。


「あれっ、怪物ってでてくるの?」


「楽勝じゃない?」


「馬鹿!こういうとても静かな時こそ危険なんだ!多分、怪物達は一瞬の隙ってやつをうかがってるんだ!」


タイガは珍しく冷静だった。


「なるほど!」


タケシは感心していた。


「あっ!」


ツバサが叫んだ。


「どうした!?」


「もしかして怪物?」


みんな焦った。


「いや、ただのヒルが足に吸い付いているだけ」


「なんだ」


「びっくりさせんなよ」


「一応、みんなの足にもついてる」


ツバサがみんなの足に指をさした。


「うわっ!ほんとだ!」


みんなは慌ててヒルを振り払った。


「くそっ!調子狂うな!」


タイガ達が探検を再開しようとしたその時、後ろからザザッと音がした。


すると、タイガ達がこの前出くわした怪物がタイガ達の背後に飛びかかってきた。


「クソッ!」


タイガはヤリでどうにか倒した。


しかし、タイガ達が前の方を向くとものすごい勢いで怪物達がすばやく行く手を阻んだ。


タイガ達は怪物の攻撃を交わすなどして耐え、応戦したが、敵わなかった。


「チッ!多勢に無勢だ!逃げるぞ!」


タイガ達は茂みの中に逃げ込んだ。


「どうすれば良いんだ」


タイガは怪獣にどう立ち向かえば良いか考えた。


「あぁ!そうそう!この世界ではビームも完全に再現できるからビーム兵器も使えるよ!」


ワンダーバードが得意げに言った。


「それを先に言えよ!」


タイガはレーザー銃をだした。


「おおっ!カッコ良い」


ヒロが見惚れていた。


すると、奥で何かの陰がうごめいたような感じがした。


タイガは危機を察知した。


「みんな!逃げろ!」


タイガの思った通り、それは怪物だった。


怪物は猛スピードで茂みの中を駆け抜けた。


タイガは音を頼りにして怪物を銃で打った。


すると、辺りは静かになった。


「やった」


タイガ達はホッと胸をなでおろした。


すると、銃を撃った所から怪物が猛烈な勢いで飛びかかった。


「あっ、ああ!」


タイガはとっさに銃を撃った。


怪物は地面に倒れ、動かなくなった。


タイガ達が今度こそ大丈夫だとホッと胸をなでおろすとタイガ達の横から怪物が襲いかかってきた。


「う、うわっ!」


「に、逃げろ!」


「お前らも撃て!」


タイガ達は逃げながら必死に応戦した。


タイガ達は再び茂みの中に逃げ込んだ。


しかし、茂みの中では怪物達が待ち構えていた。


ザザッ、ザザッと茂みのあちこちから怪物達がタイガ達を襲おうとしていた。


タイガ達は音を頼りに銃で怪物達を撃った。


怪物達の動きはしぶとく、苦戦を強いられていた。


怪物達は攻撃を素早い動きでかわし、茂みの中から飛び出して、タイガ達に襲いかかってきた。


「後ろ!」


「わぁっ!」


「あっ、ああ!」


タイガ達は命からがら茂みを抜け出した。


タイガ達は怪物に警戒しながら、進むと怪物がタイガ達の死角を狙って襲ってきた。


タイガは攻撃を間一髪でかわし、その怪物を倒した。


すると、次々と怪物が現れた。


タイガ達は怪物達の攻撃を避けながら応戦し、怪物達の隙をつき、レーザー銃を撃ち、怪物達を倒していった。


怪物達は逃げていった。


「よっしゃ!これで絶対大丈夫だ!」


タイガ達がホッとするとガシンガシンと大きな音が辺りに響いた。


「な、なんだ?」


みんなが驚いて見てみると目をまん丸くし、口が少しだけ開いた。


「何?あの変てこりんなロボットみたいなやつ?」


「何か映画で見たような感じだけど」


そのロボットは四本足で歩き、胴体は揚げパンを太くしたような感じだった。


「あれはモンスターを保護するためのロボットですね」


「やばい!隠れろ!」


タイガ達は危険を察知した。


しかし、タイガ達の方にビームが飛んできた。


「遅かったか」


そのロボットの前後左右に取り付けられてある主砲がタイガ達に向かって吠えた。


ところが、そのロボットの動きは遅く、タイガ達は攻撃をやすやすとかわすことができた。


ロボット軍団はタイガ達を狙って攻撃するもなかなか命中せず、ロボット軍団がタイガ達を捉えた瞬間、タイガが猛烈な勢いでロボット軍団を攻撃し、次々と倒していった。


「おっしゃぁぁぁぁ!」


「すごい!」


タイガ達は爽快感をたっぷり味わった。



 タイガ達が敵に出くわすことなく進んでいくと目の前に洞窟があった。


洞窟に入る前にタイガ達は保健室にありそうな道具を思い浮かべ、それらをだして傷の手当てをした。


タイガ達はこれまでの戦闘で多少の傷を負っていた。


「いてて。にしてもしつこいやつらだったなぁ」


傷の手当てが済むとタイガ達は洞窟の中に入っていった。


洞窟には怪物らしき姿は見当たらなかった。


洞窟の中には綺麗な鍾乳洞が並んでいた。


「おぉ、きれい!」


みんなは見惚れていた。


「ああっ!」


ヒロが何かに驚いた。


「何!?」


「どうしたの?」


みんなは焦って駆けつけるとコウモリの群れだった。


「何だ、コウモリか」


さらに、奥へ進むとツバサが何かを見つけた。


それは動物の死骸だった。


ツバサはこの洞窟が何なのかと言うことを察した。


「ねぇ、見て」


ツバサは動物の死骸に指をさした。


ツバサの手は小刻みに震えていた。


「ここにもあの怪物が出てくるのか」


タイガ達は警戒しながら洞窟の中を進んでいった。


「ねぇ、あれ、何か動いてない?」


ツバサは指をさして恐る恐る言った。


「あれはただの鍾乳洞じゃないの?」


タケシがポカンとした感じで言った。


すると、ツバサが指をさした方から何かが飛びかかってきた。


そう、例の怪物だ。


タイガ達は間一髪で攻撃をかわすと怪物達が次々と襲ってきた。


タイガ達は必死で応戦した。


タイガ達はこここそがモンスターの巣窟であると悟った。


タイガ達はさらに傷だらけになってしまった。


どうにかこうにか怪物達の攻撃に耐え、洞窟の奥へと進んでいった。


とうとう、洞窟の行き止まりに来た。


「これでやっと、終わりか!でも、もうちょい刺激が欲しかったな」


タイガが物足りなさを感じてると洞窟の壁に文字が現れた。


洞窟を出た先に洋館がある。


そこには想像を絶するような恐怖とスリリング、エキサイティングな出来事の数々が君達を襲うだろう。


そして、これまで味わったことのない面白さやドキドキを体感するだろう。


「よし!行ってみようぜ!」


「何か面白そう!」



 人は怖いと察知していてもなぜかその怖いものと接しようとする。



自分自身に害を及ぼすかもしれないと分かっていながらも近づこうとする。



本能では危険と分かっていながらもなぜか挑戦したがる。



それは人の心に潜む好奇心と言うものがそうさせるのかもしれない。



それとも別の何かがそうさせるのかもしれない。



答えは神様だけが知っているだろう。



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