第4話 楽園 part 1

 異世界の正体を知ったタイガ達は宝探しに出かけようとしていた。


「さっき、宝の地図は近くにあるって言ってたけど、本当にこの近くにあるってことなのかもしくは宝を探す上でこの世界の正体を知っていた方が良いって言うのも言ってたからもしかして頭の中にある記憶が宝を探す上でのカギになるってことかな」


ツバサは深く考察した。


「宝探しに行くぞ!」


タイガ達は張り切って出発した。


「タカヒロ、本当にここがコンピューターが集めた記憶のデータで出来てるなんて信じられないよな」


「うん」


「何から何まで僕らがいた世界の物とそっくりに再現されてるね」


「何か僕らがいた世界が仮想世界でもしかしたらこの世界が本物の世界だったりして」


「まさか、それはありえないって」


「でも、コンピューターでここまで正確に再現できるなんて本当にすごいよな」


「なんていうか、あまり、CGっぽい感じしないっていうか」


「確かに最近のコンピューターはとてもすごいけどここまで正確に再現できるものなのかな?」


「確かに記憶のデータを集めて、それをまとめるのは出来そうだけど、ここまで正確に再現するにはものすごい計算が必要だよな」


「今のコンピューターにここまでできる能力はないような」


「おい、焼き鳥!お前、嘘言ったんじゃねぇのか?」


タイガ達はこの世界がコンピューターで出来てる事に半信半疑だった。


タイガはワンダーバードに疑いの視線を向けた。


「ねぇ、フレンドリ!この世界って本当にコンピューターが創ってるの?」


タカヒロもワンダーバードに聞いた。


「ちょっと、皆さん!僕を疑うなんてひどいですね!」


「この世界は本当にコンピューターが創ってるんですよ!」


「っていうか、さっきから秘密にしてること多いけど本当は何か企んでるんじゃねえの?」


タイガはワンダーバードに聞いた。


「別にそんなことありませんよ」


ワンダーバードはすましたように言った。


「へっ、怪しいな!」


タイガはニヤニヤした。


「僕はみんなと仲良くしたいと思ってるのに疑うなんてひどいな!」


ワンダーバードはムッとした表情になった。


「だったら、この世界を創ってるコンピューターが何でここまで正確に再現できるか説明してよ!」


タカヒロがワンダーバードに聞いた。


「ズバリ、それは夢魔(ムーマ)が開発した超最新のコンピューターがこの世界を創ってるからだ!」


「君達がいた世界にいる夢魔(ムーマ)がコンピューターを通じてこの世界を操作してるんだ」


ワンダーバードは自信満々に言った。


「もしかして、今、テレビで宣伝してる最新のコンピューターを使ってやってるってこと?」


ヒロがワンダーバードに聞いた。


「実はこの世界を創ってるコンピューターはまだ市場に出回ってないんだ。この世界を創ってるコンピューターはまだ試作段階なんだよ」


「でも、試作段階でここまで正確にできるなんてとてもすごいね!」


ヒロが目をキラキラと輝かせた。


「それだけじゃないぞ!重力、光の反射、ありとあらゆる粒子の運動なども正確に再現されてるんだ!」


ワンダーバードは嬉しそうに言った。


「ってことはありとあらゆる物理の運動や状態変化も正確に再現できるってことだよね?」


ツバサは目を丸くしてワンダーバードに聞いた。


「その通り!」


ワンダーバードは自信満々に言った。


「す、すごい!」


「コンピューターでここまで再現できるんだ」


タイガ達は驚きを隠せなかった。


「何か、お腹すいてきたなぁ」


「タケシ、待ってろ!俺が食べ物取ってくるよ!」


タイガは駆け出した。


「っていうか、この仮想世界に食べ物ってあるのかな?」


タイガは食べ物を探すがなかなか見つからない。


「ちょっと、こっち来て!」


タカヒロがタイガを呼び出す。


「おう!どうした?」


タイガが急いで戻るとタケシの目の前に食べ物があった。


「えっ、お前いつのまに」


タイガはすごく驚いた。


「何かタケシが食べ物もってる」


ヒロも何が何だかわけがわからず、呆然としていた。


「でもタケシは食べ物なんてもってなかったような気がするけど」


ツバサは不思議そうにタケシのもってる食べ物を見つめた。


「それが食べたいものを思い浮かべたら急に出てきたんだ。あっ、またでてきた!」


「そうか!思い浮かんだものを実体化できるんだ!」


ツバサは指を鳴らして言った。


「その通り!ある程度、はっきりと思い浮かべたら、コンピューターが正確に再現してくれるよ。何を隠そうこの私もコンピューターが集めたありとあらゆる記憶を元にして創られたバーチャル上の存在ですし」


ワンダーバードは説明した。


「この世界を創ってるコンピューターって本当にすごいよな!」


「ワンダーバードは意思を持ってるからこの世界を創ってるコンピューターは生き物が持ってる意思も創り出せるってことか」


タイガ達はこの世界を創ってるコンピューターの性能に改めて驚愕した。


「本当に食べ物の味がするのかなあ」


タケシは食べれるかどうか気になった。


「食べてみなよ!」


ワンダーバードは張り切って食べるように促した。


タケシは一口食べてみた。


「あっ、おいしい!」


「食べることも疑似体験できるってことか。それにこの世界を創ってるコンピューターは味覚も正確に再現できるんだな。ほんと、すごいや!」


タカヒロは絶賛した。


「でしょ?」


ワンダーバードは嬉しそうだった。


「好きな時に好きなだけ食べれるのか?」


タイガはワンダーバードに聞いた。


ワンダーバードはうなづいた。


「好きな時に好きなものを好きなだけ食べれるのか。なんていうか、ここは楽園みたいな場所だな。みんな、腹一杯食べるぞ!」


タイガは嬉しそうにみんなに言った。


タイガ達は食べたいものを好きなだけだして、腹一杯に食べた。


「あー、お腹いっぱい」


「食った、食った」


「それじゃあ、探検を再開するか!」


「でも、その前にこの辺りがどうなってるか調べた方が良いんじゃない?」


ツバサはタイガに助言した。


「そうだな!俺とタケシとツバサはこっち調べるからお前らは向こうの方を調べてこいよ!」


タイガが指をさした方は猛獣がでそうな場所だった。


「えっ、でも」


ヒロとタカヒロは動揺した。


「何だ?何か文句あんのか?」


タイガは二人を睨みつけた。


「わかった。向こうを調べるよ」


ヒロとタカヒロはしぶしぶ承諾した。


「まあ、お前ら二人だったら大丈夫だよ!じゃあな!ここで合流しようぜ!」


タイガは張り切って探索に行った。


「僕らも探索に行くか」


「そうだね」


「あっ、そうだ!良いこと思いついた」


ヒロがニヤニヤして何かを企んだ。


「何を企んでるの?」


タカヒロがヒロに聞いた。


すると、ヒロがクラスで目立ってる女子を思い浮かべ、目の前にだした。


「あっ、うちのクラスの」


タカヒロは驚いた。


「そうさ!いつもいつも僕のことを見下したような目でみやがって積年の恨みだ!さあ、脱げ!」


「もうしょうがないわね」


ヒロは言わせたいセリフやさせたい動作を頭の中で思い浮かべた。


すると、目の前にいるその女子はヒロが頭に思い浮かんだ通りの言動をした。


「うおー、おっぱいだ!」


ヒロはますます興奮した。


ヒロはその女子がヒロの手を握り、胸の突き出た所に持って行かせると言う動作を思い浮かべた。


ヒロの指先は禁断の場所に触れてしまった。


ヒロはますますにやけてしまった。


「これで済むと思うなよ!」


ヒロはもっと過激なことを頭の中で想像した。


それはその女子が漏れそうになると言うことだった。


「も、漏れる!が、我慢できない!ここでしちゃえ!」


すると、二人の目の前は温かい湯気とほんのりとした香りに包まれた。


「うおー、たまらねぇ!」


ヒロの興奮は最高潮に達した。


「やばい」


タカヒロはヒロのやることをじっと見ていた。


タカヒロは呆れつつも色欲魔に誘惑されていた。


「おしっこも我慢できないような悪い子はこうしてやる!」


ヒロは赤ん坊がつける下着を目の前にだした。


「あっ、やだ!やめて!」


そして、目の前にいる女子は最も恥ずべき姿になってしまった。


「グフフフフフフフ、いっただきまーす!」


ヒロは万歳のポーズでその女子に飛びかかり、上半身にある突き出てる部分を激しく舐めた。


「はーい、ご主人さまが舐めてあげましゅからね〜」


ヒロは赤ちゃん言葉で喋った。


「トイレトレーニングしましょ〜ね。はーい、じゃあ、し〜しましょ〜ね〜」


「あ〜、気持ち良い〜最高〜!あっ、何か気持ち悪いよ〜」


「そうでしゅか〜、じゃあ、替えましょうね〜」


タカヒロは見ないようにしていた。


タカヒロの背後にいる色欲魔の狂った行為に耐えられなくなった。


しかし、それでもタカヒロは誘惑にかられ、チラチラと見ていた。


タカヒロも徐々に色欲魔に覆い尽くされようとしていた。


ヒロとタカヒロの主砲は発射寸前だった。


その時、ヒロの頭上から金だらいが落ちた。


「いてっ!」


ヒロは叫んだ。


「み〜ちゃった〜、み〜ちゃった〜」


犯人はワンダーバードだった。


「あっ!」


「ご、ごめんなさい!みんなには言わないで」


ヒロとタカヒロは焦った。


「へっへっ〜!みんなに言いふらそう〜と」


「お願いします。このことは言いふらさないで下さい!」


「お願いします!」


二人はみんなに言いふらさないように頼んだ。


「へっ、やだね〜。ここまでおいで〜」


ワンダーバードは二人をからかった。


「まて〜」


二人はワンダーバードを追いかけるが、その途中で猛獣に出くわしてしまう。


その猛獣の目はギャロっとしていて、腕はとてもがっしりとしていて、この世のものとは思えない姿をしていた。


「ああああああああ」


二人は絶叫し、慌てて逃げた。


二人は逃げるのに夢中で崖があることに気づかず、崖の下に落ちてしまった。


「えっ、あっ!ああああああああ」


バシャンと音がしたと同時に二人はホッとした。


二人が落ちた所は湖の中だった。


「ハハハハハハハハ、間抜けなやつらだ!」


「この楽園を汚すような下品なものを見せやがって、ざまぁみろ!」


ワンダーバードは二人を嘲笑った。


「まぁ、今日のところは黙っておきましょう!その代わり、次見たら、フフフフフフフフ!」


「あ、ありがとうございます」


「ありがとうございます。最高です」


二人は嬉しそうにワンダーバードに礼を言った。


「この湖きれいだね」


「よし、遊ぶか」


二人は探索のことはすっかり忘れ、水遊びに夢中になった。


その湖には無邪気な少年の姿があった。


「これこそ楽園だなぁ」


ワンダーバードはそんな二人を見て心を洗っていた。



 その夜、ツバサは一人で近くの池でお風呂に入ってると何か鋭い視線を感じたような気がした。


「この池、すごくきれい!」


しかし、ツバサは気にせずに入浴を堪能した。


ワンダーバードはそんなツバサをじっと見ていた。


「美しい!これこそ芸術だ!」


ワンダーバードは心の中で喜びを噛み締めた。


タイガとタケシは食べたいものをだして、腹一杯食べたり、想像したキャラクターを目の前にだして、バーチャル上の対戦ゲームをして遊んだ。


「最高だな!」


「うん!」


タイガ達は楽園を楽しんだ。



 しかし、この世界を創っているコンピューターに隠された驚くべき真実がある。



そのことをタイガ達は知るよしもない。












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