最終決戦前に初めての作戦会議

「いやぁ〜今回はさすがに死ぬかと思ったぜ」


「ああ、厳しい戦いだった」


「手応えのある敵……だったと認めるしかあるまい」


3人は、激闘を経て、休憩をしながらお互いと話し合っている。


「それにしても、先程のロードの覚醒。はっきりと見れなかったのが悔しいな」


「なんかドバァって翔の周りから光が溢れ出してたよな」


「あれが本来の俺の実力だ!」


「流石だ、ロードよ。して、一体どうやってロードは覚醒したんだ?」


「そうだよ!俺はまだ異世界に来たのに全然力に目覚めたなんて感覚はないぞ! 俺一人だけだ! イジメだ」


「…………怒り、かもな」


『怒り?』


「言い換えれば、あの巨人に対する激しい憎悪だな。想像の中であの巨人に殺されてきた人間たちのことを、壊してきた街のことを。……いや、それだけじゃない」


翔はさらに感情を込めるようにして話し続けた。


「全ての悪への反感が、俺を突き動かした。ここで負けてはいけない。諦めてはいけない…と。」



「ロード……君という奴は」


「そして誓った。この元凶たる魔王を必ずや打ち倒すことを!」


「なんか今のお前には説得力があるよ。その分憎たらしくもあるけどな」


「褒め言葉として受け取っておこう」


翔は眉ひとつ動かさずにそう答える。しかし、


(本当は理不尽に嘆いてただけだけど…………まぁいいさ。こっちの方がかっこいいし。)


実際は自分にもはっきりとしたことは分かっていないのであった。


「さて、そろそろ雑談は終わらせよう。先程ロードも言っていた魔王戦に向けて、今から作戦を立てておこうと思うんだ」


「魔王か〜きっとやべぇ奴なんだろうな」


「今までは何も作戦を練らずともどうにかなっていたが、先程の戦いを経て僕も感じた。このままではいけないと」


「我らの連携、絆を、より強固にせねばならないということか」


「その通り。僕らは選ばれし転移者。きっとここにこの3人が揃っているのには、何か意味があるはずだ! ならば、この3人だからできることをしよう!」


「おっ、いいこと言うじゃねぇーか!」


かくして、魔王戦に向けて、3人の最初で最後の作戦会議が始まったのであった。

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