厨二病は四天王達と対峙する
「よく来たな転移者達よ」
「これは。随分豪華な歓迎の仕方じゃないか」
「どういうつもりか知らないが、僕とロードの前に立ったことを後悔することになるよ」
「人間風情が」
「でも可愛いじゃない? 特にあそこで白目むいてる子…………私ペットにしたいわ」
「ムシャムシャベロンベロン」
「まあまあ落ち着け皆の者。私は交渉したいだけだ」
「交渉だと? 俺たちとか?」
「その通りだ。はじめまして、私の名はザイガス。四天王の1人だ。見れば君たちも少々疲れているようだ。その状態で僕達4人と戦うのは無謀といわざるおえないよ」
「なんだと?」
「落ち着けロード。挑発だ」
「ああ。ありがとうファウスト。ついつい血が上ってしまったよ」
(やべぇぇぇ〜本当はめっちゃくちゃ怖いんだが! この4人、俺でも分かる。だってこいつら物語終盤の敵のテンプレまんまじゃん!危ないヤツだ! 特にさっきペットがどうとか言ってたやつと、何故か幹部に一人はいる何も喋らないパワ−系。大体棍棒を舐め続けてる奴にはろくな奴がいないんだよ)
しかしそれを表情に出すことは無い。いつものように内心は怯えつつも、強者風のスタンスを取り続ける。
「それで。交渉とはなんだ」
「それは交渉に応じてくれるということかな?」
「内容による。ただ聞いてやると言っているだけだ」
「おい。いつまでも俺たちが手を出さないと思わないことだな。お前たちなど、本来3秒で全滅させられるのだからな」
「ハッ。言ってろ!」
(すいませんすいませんすいません本心じゃないんですすいませんすいません)
「グレイ! 君も落ち着き給え。すまなかったね。じゃあ話を進めるよ…………」
「なるほど。つまり、今後君たちに手を出さないと誓う代わりに俺達も君達には手を出さないと誓うということだな」
「その通り。さらに言えば、もしこれを承諾してくれれば、君達には領地をやろう。勿論人間もいる。悪い話じゃあるまい」
「貴様! そんなこと
「まぁまてファウスト。最後まで話を聞こうじゃないか」
(今反対したら絶対ここで戦闘になる。そうなれば………… )
「話を続けましょうか。確かにあなたの言う通り人間の貴方たちには受け入れずらい話だと思います」
「なら何故そんなことを私達の前で言ったのだ」
「お互いに利がないと思ったからですよ」
「利がない?」
「だってそうじゃありませんか。貴方たちは転移者。この世界の人間たちとは違う世界の住人。わざわざ命を賭けて守る価値などないでしょう」
「…………確かにその通りではあるな」
「でしょう。だからこその提案です! 別に人間たちを滅ぼすことに協力してくれとは申しますまい。ただ静観して頂けるだけで良いのです。そうすれば、貴方たちも、そして私たちにも利が生まれるというわけです」
「どうするのだロード?」
「そうだな…………」
ここで翔に天使と悪魔が囁きかける。
( 貴方は選ばれし転移者! このような提案は受けず、堂々と戦いましょう)
(ハッ? そんなの馬鹿がすることだろ。わざわざ死にに行くようなもんだぜ。なぁ俺。とりあえず受けた方がいいって! じゃないと最悪死んじまうぞ)
(…………どうすれば)
「その提案は受けかねるぜ! なぜなら俺たちは選ばれし転移者だからな!」
(はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 何言ってくれてんだこのクソコンビニがぁぁぁぁぁぁぁぁ)
1番この事態に危機を覚えているであろうはずの拓斗が、何故か一丁前な主人公ムーブをかましたことで、翔の脳内はめっちゃくちゃになっていた。
(今まで何とかなったんだ。この危機も
拓斗は初めから
(そうだろ? ) とでも言いたそうに翔にアイコンタクトをとる。
「フン。
コンビニエンサー《唯々パシられし者》にしてはいいことを言うじゃないか。」
「あぁ……って今の言い方は、なんかよく分からんが、もう舐めてるのを隠す気ねぇみたいな言い方だった気がするぞ!」
「何を訳のわからんことを。それよりも……」
「…………どうやら交渉決裂のようですね」
ザイガスは薄気味悪く微笑んでいる。
「あらあら……じゃあこの子達を私達のペットにしちゃってもいいのね!」
「その前に私が粉微塵にしてくれよう」
「ゴゴゴゴゴゴォ」
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ殺される殺される殺される殺される殺される)
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