黄金の聖剣、選ばれたのは…………○でした。
「この近くから感じる」
徒歩で40分程。俺たちは一の感覚を頼りに、聖剣を手に入れるべく動き始めていた。
「頼む頼む頼む! 見つかってくれ〜」
「おい、小声だけど聞こえてるぞ!」
(しまった。)
「ふん。今に見ていろ、この俺が聖剣を抜き、モンスターを屠る様を、お前達はまだ知らない」
「2人とも、見つかったぞ!」
『本当か?』
薄暗く緑が生い茂った森の中に、あたりの空気が静まり返っている場所。そこに剣が1本突き刺さっていた。
「…………聖剣だ」
翔は興奮した様子を見せる。
「さて、これを誰が抜くかだが……」
「俺だ」
「即答だな。だが、確かに君が適任だろう」
「ちょっと待てよ。俺だって聖剣が欲しいよ」
「ダメだ! お前は論外、これは俺のものだ」
「…………わ、分かったよ」
(こいつ、どんだけ焦ってんだよ。なんだか申し訳なく思っちまったじゃねぇーか)
「よし。ではロード、」
「ああ」
翔は聖剣に両手をかける。
「うりゃああああああああぁぁぁ!」
……………………
「どぅりゃあぁぁぁぁぁーー!」
「どうした? さっさと抜いてしまえ」
「………………抜けない」
「なんだと?」
翔は本気で落ち込んだ様子を見せる。
(どぅしてだよおおぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜)
「じゃあ今度は俺な」
次は拓斗が聖剣を抜こうとする。
「うりゃああー!…………ダメだ。俺も無理」
拓斗にも、聖剣を抜くことは出来なかった。
「おい
「俺か? まぁいいが、ロードにも抜けないものが俺に抜けるだろうか? 俺にはそこまで筋肉はないぞ?」
そう言って、最後に
「よっと。…………抜けたぞ? それに全然重くない」
「すげぇぇ! これがチートって奴だな!」
「…………………………俺の聖剣」
「まぁ落ち込むなロード。実際筋肉や運動神経はお前の方が遥かに上なんだ。たまたまだ。気にする事はない」
「いゃ〜これゃほんとに戦闘は
「………………」
「まぁロードは聖剣などなくても最強だ。むしろこの聖剣に見る目がないだけだ」
(ハッ!)
ここで、ようやく今までの自分が自分らしくない振る舞いをしていたことに気づいた翔は、
「ああ、その通りだ。こんなものに頼っているようでは、最強などと言ってられん」
いまだ心にくすぶりがあるものの、そこは10年以上このスタイルを続けてきた翔。落ち込んだ様子などおくびにも出さずいつも通りのように振る舞う。
(こいつのメンタル大丈夫か?)
そんな中1人翔を心配する拓斗であった。
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