第23話
この気温の中、外にいるの辛い。ターゲットの靖友と並んで歩く謎の女性は大型ショッピングモールに入っていった。
「綺麗な人」
稲海の口から言葉がこぼれた。
日傘を閉じたことによって彼女の顔が確認できた。スラッと尖った顎に大きな瞳。
前情報で確認したヒロキの顔の特徴は見られない。
「でも女は化粧で化けるからな。作品といって過言じゃない。本当、顔面アートだよ。羅地助手も好みの顔だと思って付き合ってスッピン見たら幻滅した、なんてこともあるから注意しろよ」
「人を外見で判断するなんて最低ですよ」
「俺の体験談じゃないからな。それに俺ほどの慧眼があると化粧の下の素顔がわかるからそんな失敗しない。初めから美人にいく」
「結局最低じゃないですか。羅地君はこういう汚い大人にならないようにね。相手の中身で判断する男の人になるんだよ」
「うん」
酷い言われようだ。羅地助手も頷いちゃってるし。
「アホか。私外見で判断しません、っていうやつほど信用できないんだよ。人間ってな第一印象で8割は決まるんだ。そして初対面での印象をもとにその人のイメージを固め、こういう人だと決めつけて、その人と接するもんなんだよ。どんなに言い繕っても結局外見で判断するんだ」
他人の内面なんてどう頑張ったて見れやしない。体を解剖してもわかるもんじゃない。想像して分かった気になってるだけ。それで自分の想像と内面が違ったら勝手に失望するのだ。本当、人間って身勝手だ。
「それに俺ぐらいの炯眼になれば、視覚だけの情報でも内面を推測できる。羅地助手ほどの目になれば俺より見るだけで判断することができる。……それで羅地助手あの女性はどれほど化粧している?」
離れているためどのように化粧しているか判別できない。
「……ナチュラルだと思う」
「そうか」
ヒロキが女装していた可能性も考えていたが、女装ではないらしい。
ターゲットの二人が入ったのを確認した後、俺たちもターゲットたちを見逃さないように人の流れに乗り、ショッピングモールに入った。
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