第14話

「で、結局二人とも見つけられなかったわけか」

「……はい」

「そうです……」

 俺が成果を聞くと稲海と千晶は意気消沈していた。

 二人はあれから奮闘するも結果は出なかったようだ。

 羅地助手見習いは、ずっと沈黙している。

 午後5時、外にいるだけで汗が出るのは変わらず。夏の太陽が沈むのはもう少し時間がかかりそうだ。

「時間内に見つけられないなら、勝負は引き分け。遊びはここまでだな。すいませんね、茜さん。悩みを勝負ごとにしてしまって。まぁ安心してください。しっかり犯人見つけますから」

「そう丹波さんに言ってもらえると心強いです」

 茜さんは心が広いな。

 普通、自分の物を盗む奴がいたら怒ったりするか怖がったりする人が大抵の反応だが。

「今日一日大学を案内してもらったお礼として夜ご飯、奢るんで食べに行きませんか?ああ、もちろんみんなで」

「あかねや羅地君はわかるけど、なんで千晶まで呼ぶんですか」

「私も協力したのですから当然の権利です!」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「よし。羅地助手見習いはもうすぐ門限だけど……。親に連絡して一緒に来れないか許可もらえないかな?」

 これからが見とくべきところだから、見といて欲しいのだけど……。しまったな門限のこと忘れてた。

「行く。両親は今日、遅いらしいから言わなくても大丈夫」

「よし決定。あっ、でも俺が奢るのは茜さんと羅地助手見習いだけな。稲海と千晶さんは自腹な」

「いいじゃないですか私達にも奢ってくださいよ」

「ここは男の甲斐性を見せるところですよ」

あらら、息ぴったり。さっきまでとはえらい違いだ。

 てか千晶さんとは初対面だけど結構言ってくるのね。

「じゃあブラブラしながらどっか行こっか?ここら辺で美味しい所って何かある?」

 


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