第11話

 稲海と羅地助手見習いと千晶さんが食堂を出たのを茜さんと見届けた。

 さて、三人は犯人見つけられるのか。

 今回も頭をほとんど使わない簡単な依頼だし、羅地助手見習いの目と教えた知識があれば十分見つけられるだろう。

 それにしても5時までって長いな、あと7時間30分もある。暇になりそうだ。

「そうだ、茜さん。お願いがあるのですが」

「何ですか?」

「時間が許す限り、大学を案内してくれませんか?俺、高校の時の大学見学でしか大学に入ったことないので」

「案内は全然構いませんが……。え、丹波さんは高卒なのですか?」

「はい、実はそうなんですよ」

本当は高校にも行かず探偵になろうとしたが、家族の反発を受け高校に入ったのだ。

 大抵の人は肩書きで判断する、お前みたいに観察して人を把握することはできん。

 探偵だって客ありきの職だ。しかも知的さを求められるはず。せめて高校は卒業しない。と父に言われ俺も納得した。

「やっぱり高卒だと心配ですか?」

「あっ、すいません。別にそういうつもりで言ったわけではなくて……。稲海がよく丹波さんはすっごく頭がいいと言っていたから、てっきり大学にも行っていたのかと思ってました」

「なるほど、稲海がねぇ」

事務所では口うるさいし、容赦なく殴ってくるし……まぁ俺の失言が悪いのだろうけど。少し意外だった。

「あいつのことだから、デリカシーが無いとか足くさいとか言ってるとばかり思ってました」

「あ、そのことも言ってました」

やっぱり言ってたのか……。全然意外じゃなかったわ。咳払いして話題を変えよ。

「ん、んっ!じゃあ今日は講義ない時間帯は茜さんの邪魔にならいよ程度でいいので案内してもらっていいですか?」

「はい、わかりました。じゃあ早速行きましょう。この大学結構広いので」

 俺たちは立ち上がり食堂を後にする。


「あっそうそう、聞きたいことがあるのですがいいですか?」

 

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