第2期 交友格付け制度 編
学園認定S級の美少女たちと仲良くなるには学徒ポイントとやらを貯めなければいけないらしい
第0話 ようこそ、格差の学園へ
「ここが
校門の前に立った
春愁学園高校。ここはまさにこの国の格差の象徴とも言える『交友格付け制度』を取り入れた、政府の管轄にある数少ない教育機関だ。
この制度は努力をした人間が少しでも報わうるシステムではあるが、才能のある人間が上に立つことが多い故に国民の意見は賛否両論。
ただ、高いクラスの認定を受けて卒業した者は、その時点で人生が成功したと言っても過言では無いほどの影響力がある。
そんな吐き気のするような欲に塗れた場所に彼がやってきたのは、果たさなければならない目的があるからだ。
「狭間瑛斗さんですね。学園長がお待ちです」
秘書と名乗るいかにも仕事が出来そうな女性に案内され、瑛斗は学園の敷地内へと踏み込んでいく。
この瞬間、これまで止まっていた歯車が彼の中で回り始めた。全ては自らの想いのため、そして愛する妹のために。
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「これで手続きは終わりだよ」
学園長がサインをした資料を机に片付けながらそう口にする。
今は五月の初め頃。こんな中途半端な時期に、高校二年というまたまた中途半端な学年で転入が出来たのは全てこの人のおかげだ。
「ありがとうございます、
「よそよそしいのはよしてくれ。昔のように叔父さんと呼んでくれればいい」
本人の言葉の通り、火ヶ森学園長は瑛斗の叔父にあたる。両親共に長期の出張で近くに居ない彼が、妹のことを相談したところ転入を提案してくれたのだ。
国の格付け制度に従って学園を作り替えたことは納得出来ないが、昔から良くしてくれている人なので嫌いでは無い。
相変わらず、手の内の読めない人であることに変わりは無いけれど。
「本当に良かったんですか。僕を入学させるのは、叔父さんにとってリスクでしかないはずなのに」
「国が運営に関わってる教育機関だからね。転入の規定である『志願者全員の中から成績が最も高い者を選ぶ』という工程をすっ飛ばしたと知られたら怒られるだろう」
「それなのにどうして協力してくれたんですか」
「可愛い甥っ子の頼みを聞けなくて何が叔父さんだ。まあ、君の成すことに興味があるというのも嘘では無いけれどね」
学園長はそう言ってニヤリと笑うと、椅子を回転させてこちらに背中を向けた。
「規定通り、君は最低ランクのF級からスタートすることになる。ここばかりはワタシにも誤魔化しが効かなくてね」
「構いませんよ、むしろ都合がいいです」
「ほう、面白い。そろそろ一限が始まる、必要なものは外で
「分かりました」
瑛斗は椅子の背面に一礼すると、学園長室から出て目の前に立っていた秘書さんの前で足を止める。おそらくこの人が希子さんだろう。
彼女は胸ポケットから薄っぺらい手のひらサイズの端末のようなものを取り出すと、それを彼に手渡した。
「学園デバイスです。生徒手帳や電子決済用の端末の役割があります。失くすとペナルティがありますのでご注意下さい」
「はい、ありがとうございます」
「校則も確認出来ますが、分かりづらい箇所は他の生徒に聞くなどしてくださいね」
「分かりました」
希子さんは淡々と事務的に伝えると、ぺこりとお辞儀をしてから学園長へと入って行く。
確かに美人でスタイルのいい女性だ。叔父さんがお付きの秘書にした気持ちも分かる。
もう少し美人の余韻に浸っていたい気分ではあるが、今はそんなことをしている時ではない。
瑛斗は学園デバイスで時間を確認すると、それをポケットに入れて走り出した。
授業開始まであと三分。事前説明の時に遅刻もペナルティがあると言われた記憶がある。
今後、どう動くか分からない今、余計な罰は受けない方がいい。彼は心の中でそう呟きながら、階段を駆け上がるのであった。
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