アフターストーリー

 あれから5年後、僕と紅葉くれははお互いに大学を卒業したのを機に結婚した。

 元々目立つのが好きじゃない同士で意見が合い、テレビでよく見る盛大な式はやめて規模の小さな結婚式を選んだ。

 そこには高校を卒業してからもずっと親交のあった麗華れいか、ノエル、紗枝さえたちも来てくれたんだよね。

 さすがに結婚をきっかけに僕を浮気させたら勝ちのゲームは終了。僕は誰にも揺らぐことなく、紅葉に一途でいることに成功したってこと。

 ちなみに、ブーケトスをキャッチしたのは麗華だった。その翌年に晋助しんすけさんが用意したお見合いの席で出会った相手と結婚したよ。

 そして僕は紫波崎しばさきさんの紹介でノエルの所属する事務所で働くことになり、今は新しいグループのマネージャーとして忙しくしている。

 そんな紫波崎さんも結婚したのだけれど、その奥さんは―――――――――言わなくてもいいかな。


「っていうのが僕とお母さんの出会いだよ」


 ノエルも宣言通りトップアイドルに登り詰め、引退した後もタレントとして引っ張りだこだ。

 紗枝も無事にS級で卒業したことで会社の人たちに認められ、ちゃんとお父さんの跡継ぎとして頑張っているらしい。

 そして僕も幸せの真っ只中だ。だって、高校生になる自分の娘がいい子に育ってくれているから。


「へえ、お父さんって意外とモテてたんだ」

「意外って、それは傷つくなぁ……」

「前から思ってたけど、お母さんよくその背丈で私を産めたよね」

「自分でもそう思うわ」


 ハッキリとものを言うところは紅葉に似たのだろう。頭が良くて運動が出来るところも。

 僕に似たところはお菓子作りが好きなところくらいかな。あと、りんごが好きなところもそうだ。


「もみじもいい人に出会えるといいね」

「お父さん、まだ気が早いって。私、まだ高校生なんだけど?」

「お母さんだってもみじがいい人に出会えることを願ってるわよ。そのためにはまず、春愁しゅんしゅう学園高校を卒業しなきゃよね」

「わかってるわかってる。叔母さんが学園長なんだし、優遇してもらえるでしょ」

「こら、ずるしたらダメだよ」


 言い忘れていたけれど、奈々ななは大学を卒業してから文科省の結衣ゆいさんと入れ替わりで学園長になった。

 今はいい学園作りに励んでいて、あの頃の殺伐とした空気は見る影もないんだとか。

 これは言わなくてもいいと思ったけれど、奈々とカナの結婚式では大泣きしたね。幸せになってくれてよかったよ。


「冗談冗談♪ 実力でお父さんとお母さんを超えてみせるから!」

「それは楽しみだね」

「ふふ、そうね」


 これが今の僕たち。なんだかんだみんな丸く納まってくれたようで、いい人生を歩めていると胸を張れる。

 こんな幸せを与えてくれたみんな、そして紅葉には感謝してもし切れないね。

 その気持ちを大切に抱えながら、これからも家族仲良く暮らして行ったことは言うまでもない。


 ~完~

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