第501話
結局、何の参考にもならなかったノエルと
まあ、何だかんだ明日には仲直りしている可能性もあるし、
家に到着してから
翌日の昼、再度紅葉と共に訪問した
「そこのメイド、塩を取りなさい」
「誰かさんの命令は聞かないと決めましたので」
「そう。
「は、はい! こちらになります!」
「ありがとう。どこぞのメイドと違って偉いわね」
「……では、お嬢様の主任メイドは
「え、わ、私ですか?!」
明らかに嫌味として放たれた言葉に、麗華は「そうさせてもらうわ」と頷く。
そして「私には副メイド長の仕事が……」と不安げな
「
「いや、それより大丈夫なの?」
「メイドの役職交代はよくあることです。瑠海には元々別の仕事がありますし、それで一番楽な私の世話係を任せていただけですから」
「そうじゃないわよ。仲直り、する気は無いの?」
「……向こうが謝るまではありません」
「はぁ、そんなこと言ってたら絶縁しちゃうわよ」
やれやれと呆れる紅葉は、何だかんだ心配してくれているらしい。けれど、僕には麗華が意地を貼ってしまう気持ちも理解出来る。
そうは言っても、本当にこのまま二度と仲直り出来ないなんてことになれば、こちらとしてもすごく悲しい。
どちらか一方でも柔らかくなってくれれば、ぶつかっても壊れずに済むんだけどなぁ。
そんなことを思いながら首を捻っていると、僕はふと開きっぱなしの扉から顔を覗かせている人物たちの存在に気が付いた。
「ちょっと御手洗借りるね」
「あ、私も!」
そう言って退室すると、廊下にいた2人……
2人はメイド機動隊に所属するメイドさんだから、瑠海さんとも一緒に仕事をする機会は少なくないはずだ。
おそらく仲間としての意識もあるのだろう。僕たちを連れ出した理由からも、そういう裏の事情的なものを察せた。
「
「早く仲直りしないと、さすがに旦那様の耳にも入っちゃうよ!」
「そうなったらどうなるんですか?」
「最悪の場合、屋敷から追い出されるわね」
「闇の仕事専門になるってだけなら、まだ笑い話かも。私たちが始末するなんてことになったら……」
「考えただけでも恐ろしいわ」
「あの子、素手の戦闘なら2人がかりでも勝てないくらい強いもんね」
顔を見合わせてブルッと身体を震わせた2人は、「そういうわけだから、ね?」「仲直り、させるよ!」と僕たちをじっと見つめてくる。
しかし、本人たちが反発する磁石のように寄り添おうとしないところを見るに、僕たちが手出しをする隙もないんじゃないだろうか。
何かしら大きな出来事でも無い限り、そもそも突破口すら見えてこないし。
「仲直りって、どうやってやるのよ」
「お嬢ちゃん、それを今から説明してあげるわ」
「2人は気付いてないと思うけど、
「常にって……今も?」
「もちろん。昨日は仕事に真面目なだけかと思ってたけど、役目を降ろされても続けてるってことは、よほどお嬢様のことを心配してるのね」
「じゃあ、瑠海さんは……」
僕が途中で止めた言葉に、彼女たちは確信を持った目で頷いてくれる。
そして、闇に包まれていた仲直りへの道を照らしてくれる一言を口にしてくれるのだった。
「あの子、今でもお嬢様のことが大好きよ」
「喧嘩なんて微塵も影響してないくらいにね」
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