第366話
結局、
「萌乃花、今日だけで3回目だよ?」
「す、すみません……」
「すぐに頭下げるのもやめて。友達なんだからもっと軽い感じでいいの」
「軽い感じ……ですか?」
「もっと対等な相手にする感じってこと」
同じ班の女の子にそう言われた彼女は、何かを納得した風に頷いて「ちーっす、はぐれて悪かったな!」と言って見せる。
もちろん「対等な相手のイメージ、どうなってんの……」と呆れられてしまっていたけれど、何だかんだ面倒見のいい人らしい。
「わざわざ手間かけてごめんね。ちゃんと萌乃花のことは見張っておくから」
女の子はそう言って僕たちに頭を下げると、萌乃花の手を握って他のみんなの所へと戻って行った。
ああして優しさで繋ぎ止めてくれていれば、今度こそ迷子になることも無くなるだろうね。
「修学旅行って、僕の知らなかったみんなの交友関係が知れるね」
「確かにそうね。ノエルちゃんの友達のことって、何も知らなかったもの」
「すーちんと
「いい人たちだね」
「うん♪」
ノエルは「イヴちゃんとも仲良くしてくれるし!」と嬉しそうに微笑んだ後、僕たち3人を順番に見てから少し意地悪な表情を見せた。
「心配しなくても、みんなも友達だよ? こんな私を受け入れてくれた大事な人たちだもん」
「そうやって言葉にしてもらえると嬉しいね」
「えへへ、
「ちょっと、抜け駆けは許さないわよ!」
「特別だと思っているのは私たちもですから!」
ノエルの照れながらの言葉にこめかみをピクっとさせた
それからは柱の影に連れ込まれてしまって、何が行われたのかはわからなかった。
「……」ジー
「どうしたの?」
「……」チラチラ
「あそこのカフェが気になる?」
「……」コクコク
「長くなりそうだし、4人で入っちゃおうか」
「……」グッ
無表情のまま親指を立てて見せるイヴ。楽しみで仕方ないのかぴょんぴょんと飛び跳ねている彼女を落ち着かせてから、僕は少し離れた場所でイチャついている
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「勝負の結果、私が瑛斗くんとデート気分を味わえることになったよ♪」
カフェで注文した『ちゅらティー』なる飲み物が届いた頃、胸を張りながら戻ってきたノエルが自慢げにそう宣言する。
一体どんな勝負をしたのかと聞いてみれば、ジャンケンで負ける度にスカートを1cmずつ短くし、下着が見えたら負けというゲームだと教えられた。
「ということは、2人とも見えたんだ」
「「……」」
「ノエル、こっそりどんな柄だったか――――――」
「「ちょっと?!」」
「冗談だよ」
「瑛斗、あなたねぇ……」
「瑛斗さんでも容認できないことはありますよ?」
「ごめんって。もうしないから」
「聞くなら直接聞きなさいよ!」
「人を通じてなんて許しません!」
「……あれ、僕がおかしいの?」
どうやら彼女たちとズレている部分があるらしい。僕は直接なら教えてくれるんだと思いつつ、聞くことは無いだろうなと適当に受け流しておく。
それから躊躇うことなく隣に腰掛けたノエルの方へと目を向けると、気になっていたことを聞いてみることにした。
「ところで、デート気分を味わえるって具体的に僕は何をすればいいの?」
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