第266話

【猟師と獲物】

 舞台は森の中。猟師が獲物のウサギを追いかけていると、1匹のオオカミが目の前に現れた。

 猟師はウサギを仕留めたいが、オオカミがウサギを追いかけて行ってしまう。その方向には猟師の住んでいる村が……オオカミを止めなくては!


 このゲームでは、各プレイヤーが動かすコマを10歩進め、ゴールまで辿り着かせられればポイントを獲得できるというルールになる。

 所持するコマは以下の三種類。


 ・猟師

 ・ウサギ

 ・オオカミ


 ただし、コマとするカードは支援者の中から3つ選び、裏面に貼るゲーム台が読み取るためのQRコードによって役割を与える。

 故に、相手からはどのコマがどの役割を担っているのかは分からない。

 また、1ターンに進められる歩数は次の通り。


 猟師    2歩以下

 ウサギ   1歩以下

 オオカミ  3歩以下


 各ターン必ずコマをひとつ動かす必要があり、複数歩進めるコマは最大数よりも少ない歩数でも良い。

 それぞれのコマが10歩移動し、ゴールである村に辿り着いた際に得られるポイントは以下のようになる。


 猟師    2ポイント

 ウサギ   2ポイント

 オオカミ  3ポイント


 ※注意点

 『ウサギ』が『オオカミ』よりも後に村へ着いてしまった場合、『オオカミ』が『ウサギ』を食べてしまいポイントは獲得できない。

 『オオカミ』が『猟師』よりも早く村に到着した場合、村が襲われて敗北が決定する。

 逆に『猟師』が『オオカミ』より先に村に到着した場合、『オオカミ』は狩られてポイントが獲得できる。


 さらに、『猟師』がゴール済みが否かに関わらず、ゲームに残っているのなら各ターンの間に挟まれるにおいて、プレイヤーはゲーム中一度だけ『発砲』することが出来る。

 その際、選択した相手プレイヤーのコマの種類を開示して対象をゲームから除外する。また、撃たれたコマの種類によって以下の効果が発生する。


 『ウサギ』の場合

 被発砲者が1ポイントを獲得


 『オオカミ』の場合

 発砲者が3ポイントを獲得


 『猟師』の場合

 被発砲者が3ポイントを獲得

 発砲した猟師は逮捕される(除外)


 『発砲』によって選択可能なのは未ゴールのコマのみ。この能力を使用しなかったからと言って、ポイントが変化することは無い。

 また、残り5枚の支援者は『ブーストカード』として扱う。このカードは選択したコマの歩数を使用した枚数分だけ1ターンの間増加させる。

 コマを制限歩数以上動かすと自動で消費していくため、動きではお互いにいつ、何枚使用したのかは分からない。

 この『ブーストカード』も、使用しなかったからと言ってポイントが増減することは無い。



紗枝さえ、確認してもいい?」

「いいぞ」

「このゲームは、相手にオオカミがどれかを知られないようにするゲームなんだよね?」

「そういうことだ」


 つまり、オオカミを猟師に、猟師をオオカミに見せかけるように動かす必要がある。

 何故なら、猟師のゴールポイントは2ポイントであるにも関わらず、発砲されれば3ポイントを獲得できる上に、相手の猟師を除外できるからだ。

 ただし、その場合はこちらが発砲を使えなくなるため、撃たれる前に撃っておく必要があるのが難しいところ。


「『ブースト』が重要になるね」

「ふふ、どう使ってアタイを欺くか楽しみだ!」

「期待されても困るよ。こう見えて結構緊張してるんだから」

「そうは見えないけどな」

「ほら、心臓がドクドクいってる」

「っ……?!」


 瑛斗えいとが証拠を示すために手を取って自分の胸に当てると、紗枝は顔を真っ赤にして腕を振り払う。


「な、何すんだよ!」

「だって紗枝が疑うから」

「わかった、ゲーム前から精神攻撃しようとしてるんだろ。そんなのが効くと思ったら大間違いだ」


 その言葉に瑛斗が「そういうつもりじゃないのになぁ」と呟くと、彼女は「悪気がないところがタチ悪りぃな……」と不満そうにそっぽを向いてしまった。

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