第260話
【6ターン目開始時】
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|9🟥 |10 |11🟦 |12🟥 |
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4ターン目で魅音が3番、紗枝が9番を選択し、9番のマスの占領が拒否された。
つまり、ここで初めて罠を踏んだということ。そして同時に魅音側のカードが1枚ひっくり返され、紗枝にデバフが付与されてしまう。
『次のターン侵攻不可』
「これならまだ傷は浅いな」
「そうですか? 現段階で侵攻は必要だと思いますけど?」
「侵攻は無理でも防衛はできる、それで十分だ」
続く5ターン目では、魅音が白マスとなった9番、紗枝が15番を獲得してそれぞれの陣地が1個差のまま6ターン目に突入した。
単純に罠マスが8個あったと考えれば、残っている7マスには全て罠が敷かれている。魅音もそんな計算をしたのだろう。
「ここからが難しいですね」
「そうか? むしろ面白いと思うけどな」
「劣勢の割に余裕そうですね」
「全てのマスが埋まった時、少なくとも自陣が1枚でもあれば勝機はある」
初めの白マスの取り合いでどれだけマスを確保できたかは、このゲームにおいてそれほど大きな問題ではない。
侵攻と防衛のタイミングこそ、真に大切なことなのだ。
「ちなみに侵攻は1ターン消費するが、防衛はターンを消費しない。ターンを使うのはあくまで、マスを獲得できるチャンスがある時だけだからな」
「なるほど、無闇に侵攻するのも良くないということですね」
そろそろ相手のマスに侵攻して差を広げよつかと思っていた魅音は、そのアドバイスで魔力幻影のカードを机に置く。
「……いや、やっぱり怪しい。私を騙して侵攻させないつもりですか?」
「お前の直感がそう言ってるのか?」
「そうです」
「なら従うしかないな」
意外にもあっさりと引き下がる紗枝をおかしいと思いながらも、侵攻して勝つことが出来れば罠のリスクなくマスが増やせるのだ。
そんな良い手があると言うのに他を勧めるなんて、どう考えても誘導しているとしか思えない。
「では、2番に『侵攻』します」
「さすがに騙されないか」
「当たり前です」
2人が同じ魔力幻影を持っているということは、ゲーム開始前に告げられていた。
つまり、魅音が持っている『A級・C級・D級・E級』の4体が紗枝側にもいるということ。
負ければゲームから除外されることを考えれば、最高ランクをぶつけるのが妥当だろう。負ける可能性がないのだから。
「私はこの幻影を使います」
「アタイはこれだな」
互いに幻影を出し合うと、同時に開示して戦い合わせる。結果は紗枝の領地が奪われて彼女の幻影も倒されてしまった。
しかし、勝ったはずの魅音は首を傾げる。てっきり、『いきなりA級は出さないだろう』と考えたなら、C級を出してくると思っていたから。
なのに場に出されたのはD級。こんなものを出せば負けるに決まっている。
「んで、アタイが選んだのは1番だ」
「……え、罠?」
「そうだな、自分の罠だ」
幻影の敗北に加え、わざと自分の罠を踏んでデバフを受ける。
その効果は『次に幻影を使用する際、1ターンの間その幻影のランクをひとつ下げる』というもの。現状はかなり辛いもののはず。
「敵の罠を踏むより、効果の分かっている自分のを踏む方が安全だろ?」
「それはそうですけど、ランクを下げられたらA級同士でぶつけても負けに……」
「ならないために仕向けたんだよ、お前がA級を使うようにな」
「……どういうことですか?」
何を言っているのか分からないという顔の魅音に、紗枝は机の左手側にある幻影の効果が表示された部分を指差す。
そこに視線を落とした彼女は、思わず「えっ」という声を漏らした。なぜなら、A級が3ターン使用不可になっていたから。
「……クールタイム?」
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