第258話

【エイリア魔女リティとは】

 『天才と呼ばれた魔女』という物語には、エイリアとリティという2人の見習い魔女が登場する。

 その序盤に描かれる魔女試験では、彼女らのどちらかのみが合格して正式な魔女になれることが決まっていた。

 これはその最終試験で2人が戦った競技をそのままゲームにしたものである。


【ルール】

 エイリアチームとリティチームに別れ、1対1で行う陣取りゲーム。フィールドは4×4、16個の正方形の描かれたオセロ状のボードを用いる。

 それぞれの正方形には1~16までの数字が割り当てらており、開始時はその全てがどちらの陣地でもない状態を表す白色になっている。



 |―――|―――|―――|―――|

 |1  |2  |3  |4  |

 |―――|―――|―――|―――|

 |5  |6  |7  |8  |

 |―――|―――|―――|―――|

 |9  |10 |11 |12 |

 |―――|―――|―――|―――|

 |13 |14 |15 |16 |

 |―――|―――|―――|―――|


 プレイヤーは毎ターン交互に1つの数字を宣言して、該当するマスを自分の陣地とする。

 ただし、『罠魔法カード』となるデュエルで勝利して獲得した4枚の支援者カードの効果が付与されたマスを選んだ場合、陣地の獲得に失敗する上にしばらくの間そのプレイヤーにデバフが付与される。

 『罠魔法カード』の効果を付与するマスは、お互いのプレイヤーが分からない状態で、ゲーム開始前にそれぞれ選択する。

 なお、この能力は1度のみ有効。効果を発動したマスは次のターンから通常マスと同じ扱いとなる。


 初期の支援者、つまり『ランクマッチゲーム』の際にトモダチ登録をした支援者のカードは『魔力幻影』となる。

 『魔力幻影』が行えることは以下の2つ。


 ・自分の保有しているマスに設置して、『侵攻』による陣地の強奪を邪魔する。

 ・敵の『魔力幻影』の設置されたマスへ『侵攻』して、幻影同士を戦わせる。敗北した方はゲームから除外される。


 また、『侵攻』は自分の保有しているマスと面している敵陣地にのみ行う事が可能。

 全てのマスに色が付いた状態で、どちらか一方の『魔力幻影』が全滅した際の保有しているマスの数の多いほうを勝者とする。

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「以上が説明だけど、理解出来たか?」

「そうですね、一つ質問をしてもいいですか?」

「いいぞ」

「白マスは選択するだけで、『侵攻』の必要は無いんですよね?」

「そうだな」


 質問の答えに頷いた魅音みおんは、「ありがとうございます」と会釈をしてから階段を上って舞台の上へと移動する。


「準備は?」

「タロットも吉だと」

「そうか、なら始めよう」


 2人はそんな会話をして、互いに席に座った。そして新たに用意された【エイリア魔女リティ】専用の支援者カードを受け取ると、4枚ずつに分けてそれぞれセットする。


「ちなみに、このゲームに限らずアタイは挑戦者と同じ支援者カードを使う。つまり、脳みそ以外は全部同じってわけだ」

「なるほど、本当に実力での勝負ですね」

「ああ。未来が見える能力はないけどな?」

「……ふふ、こので見透かして差し上げます」


 魅音は怪しげな笑い声を漏らすと、ゲーム台の下にあるタッチパネルを操作して4つの罠を仕掛ける。

 その手の動きに迷いはなく、僅か5秒ほどで作業を完了してしまった。紗枝さえも同じく。


「じゃあ、最初に獲得する白マスを選ぶか」

「こちらはもう決まっていますよ」

「奇遇だな、アタイもだ」


 彼女たちは互いに口元をニヤリとさせると、共にボード中央を指差しながら数字を宣言する。


「6です」

「11だ」


 その瞬間、2枚のパネルが赤と青に色を変えた。

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