第118話
勉強が一段落して、一度休憩をしようということになった。
ただ、イヴにはお姉さんも手を焼いているようで、勉強が得意じゃない上に反応も薄いため、理解してくれたのかどうかもよく分からないから。
「そう言えば、イヴのプロフィールってみたこと無かったよね」
「確かにそうね。ランクは低かったんでしょ?」
「そうだけど……あれ?」
どうやら彼女はE級らしい。僕よりひとつ上だったんだね。
「あれ、プロフィールを隠せるのってA級以上じゃなかったっけ?」
「そうだけど……隠れてるわね」
見てみれば、彼女のステータス値は余すことなく全て隠されている。イヴ自身には隠すことは出来ないはずだし、僕と同じく学園長が隠したのかな。
「やっぱり不思議な子だわ」
「分からないことが多いからね」
お姉さんの膝の上でモグモグとクッキーを食べているイヴを眺めながら、僕らは揃って首を傾げるのだった。
=======================
翌日、僕らはまた集まって勉強をすることに。場所はイヴの家に決まった。
今日はお姉さんも用事があるらしく、3人だけの勉強になるはずだったのだけれど―――――――。
「あれ?イヴのお友達かな?いらっしゃい♪」
キラキラと光を反射する金髪少女、ノエルも家にいたのだ。
イヴが言うには、と言うか反応から察するには、今日はノエルも他の人と勉強するために出かけていたはず。
しかし、その用事が直前で無くなってしまい、急遽暇ができてしまったんだとか。
「私驚いちゃった!イヴにいつの間にかお友達ができてるんだから!」
「……」コク
「まさか男の子のお友達もいるなんてね〜♪」
ニヤニヤとしながら僕を見てくるから、「
「あ、私は――――――――」
「
「S級……そうよね、アイドルだもの」
僕が「紅葉も知名度あったんだね」と脇腹を小突いたら、無言で5倍返しされてしまった。これ、結構痛いよ。
「あ、お茶も出さずに失礼だったよね!すぐに持ってくるよ!」
「僕も手伝う」
「お客さんにそんなことさせられないし……」
「いいから、任せて」
「あ、ありがとう……」
ノエルと一緒にキッチンへ向かい、「りんごジュースはある?」「あるよ♪」なんてやり取りをしながら人数分のコップを用意した。
ノエルがりんごジュースをついでくれているのを眺めていると、ふと以前からの疑問が浮かんでくる。今こそ聞けるチャンスかもしれない。
「ノエル、さん?」
「ノエルでいいよ。イヴのお友達だし!」
「じゃあノエル、ひとつ聞いてもいい?」
「何かな?」
「イヴって昔から無口なの?」
「っ……」
僕が質問を投げかけた瞬間、それまで笑顔だった彼女の表情が無へと変わった。
髪色こそ違えど、同じく色白の肌に青い瞳。イヴと見間違えそうなほどそっくりだ。
「聞いちゃいけない事だった?」
「……あ、いやいや!ちょっと考え事しちゃってただけだよ♪」
ノエルはブンブンと首を横に振ると、ニコッと笑って「昔はイヴもよく笑ってたよ」と教えてくれる。
「イヴはね、私との差を気にしてるんだと思う。見た目は変わらないのに、自分の方が不器用だから」
「やっぱりそうだったんだね」
「でも、瑛斗くんが友達でいてくれたら、あの子もまた笑えると思うの」
彼女が「よろしく頼むね?」と不安そうに聞いてくるから、僕は「もちろん」と答えてジュースの入ったコップを持った。
「あ、頼むってそれのことじゃないからね?」
「わかってるよ、イヴのことは僕が笑顔にする」
「ふふっ、なんだかプロポーズみたい♪」
「それもいいかもね」
「えっ?!」
「冗談だよ」
よほど驚かせてしまったのか、「もぉ、意地悪だな〜!」と肩をペシペシと叩かれた。イヴと同じで撫でるくらいの力だったけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます