第5話 朝ご飯
俺は今朝ごはんを作っている。
部屋にはバターの匂いや、ご飯の焼ける音が鳴っている。
すると、横から時雨がちょこんと顔を出してフライパンを覗き込んでいる
「春馬さん何を作っているんですか?」
「今日の朝ごはんのオムライスだよ...」
時雨は首を傾げた
「オムライスとは何ですか?」
そりゃ分からないか...
「まぁ、美味しい物だ...」
すると、時雨はぱぁーと笑顔になる
「それは楽しみですね!オムライス...」
そして、オムライスが完成して俺は机にオムライスを並べていく
俺と時雨は向かい合わせになるように椅子に座った
俺が手を合わせて頂きます...と言うと時雨も手を合わせて戸惑ったように頂きます?と疑問そうに真似をしていた。
時雨はスプーンを使いオムライスをすくう
そしてそれを小さな口へ運んだ
すると、時雨の目はまたもやキラキラと輝いていた
「春馬さん...」
「ん?どうした?」
「オムライス...すっごく美味しいですね!」
料理を褒められて嫌な気持ちになるやつはいないと思うだから俺は褒められて嬉しくなった
「そりゃよかった」
時雨はパクパクとオムライスを美味しそうに食べ続けてすぐに無くなってしまった
時雨はゆっくりとスプーンをお皿の上に置いた
「美味しかったです!」
俺は椅子から立ち上がり自分の分と時雨の分の食器を持って水の中に浸した
そして、学校に行くための準備を始めた
バッグの中に教材などを詰めていると不思議そうな顔で後ろから俺の準備を覗き込んでいた
「何してるんですか?」
俺はバッグに目を向けてせっせと詰めながら答えた
「今から学校なんだ...だから家で待っていてくれ」
すると左肩を強く離さないように掴まれた
時雨の方を向くと時雨が少し心配そうな顔をしながらこちらを見ていた
「大丈夫だからすぐ帰ってくる!」
そう言うと時雨は少し戸惑いながらもゆっくりと俺の肩から手を離して自分の膝の上に手を置いた
「わかりました...ちゃんと帰って来るんですね?」
「ああ、夕方くらいには...」
俺は教材を詰めたバッグを持って立ち上がり玄関に向かった
玄関のドアを開けて外に出ようとすると時雨に呼び止められた
時雨は玄関に立って満面の笑顔でこちらを向いた
「いってらっしゃい!春馬さん!」
結婚とかしたらこんな感じなのだろうか...と勝手な妄想をしながら俺は小さく手を上げて扉から外に出た。
そして俺は時雨を家に置いて一人で学校に向かった。
異世界からこちら側へ... 桜水 奏 @mipl
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