第3話  美少女と再会!!

 俺は家に帰り電気もつけずに暗い部屋で一人、布団で寝転んでいた。


「そういえば、あの人の名前ってなんていうんだろ?」と独り言を呟く...



 すると、玄関の方からドアノブをガチャガチャとドアを開けようとする音が聞こえた


「親父か?」


 いや、今日は帰って来ないって...


 俺はベッドから体を起こして、玄関へと向かう

 ドアの穴から覗くと...


 先程の彼女が俺の家のドアの前に立っていた


 俺は急いで鍵を開ける


 すると、ドアが勢いよく開く


 彼女は走ってきたのか息を切らせていた

 彼女は俺を見ると涙目になっていた

 俺を見るなりすぐに俺に抱きついてきた、いきなりのことで俺は倒れ込んでしまった。


 彼女は俺の胸あたりに顔を置いて嗚咽を漏らしていた。

 そして、彼女の方を見ると右手にはしっかりとくまのぬいぐるみを持っていた


 泣き止んだようで体を起こす。


「さっきの人はどうしたんだ?」


 あ...そうだ、言葉は通じないんだ...


 すると、彼女から綺麗な声が発せられた


「逃げてきました...」


「今...喋ったのか...」


 すると彼女はこくっと頷く


「話せたのか?」


 彼女は小さく横に首を振る


「最初は話せなかったんだけど、少しは話せるようになりました...」


「そんな、簡単に覚えられる物でもないだろ?」


「魔法を使って...」


 俺の思考は一瞬停止して、ポカーンとなった


「ま...魔法?」


「はい...私は魔法を使えるので...」


まぁ、現実的ではないが今は信じておこう...


「じゃあ、最初から使えば良かったんじゃないか?」


「この魔法を使うには、その言語を少しだけでも理解する必要がありますので...」


 今は春だがドアが開いていて隙間風が少し入ってきて肌寒いため、俺は立ち上がりドアを閉めた


「まぁ、上がれよ...」


 彼女は一度ぺこりと会釈をしてから小さな声で

 失礼します...と言ってリビングに上がった


 彼女は何かを思い出したように俺に顔を近づけてきた


「お...どうした...」


「私...あなたの名前...聞いてなかったから、教えてくれませんか?」


「俺の名前は... 咲良さくら 春馬はるま だ」


 俺は自分の名前を言ってから、彼女の名前を聞いていなかったことを思い出す


「君の名前は?」


「私の名前は時雨しぐれです...」


 シグレはニカッと笑ってからばっと深く頭を下げた


「春馬さん...今日は色々と助けていただきありがとうございました」


 俺は彼女に頭を上げるように促した


「ああ、別に良いよ...俺が勝手にしたことだし...」


彼女は太陽のように眩しい笑顔でニコッと笑った


「じゃあ、春馬さんは凄く優しい方なんですね!」


俺は気恥ずかしくなり、後ろの髪を掻いた


「今日はどこで寝泊りするか決めてるのか?」


時雨は俯きつつ答えた


「はい...最初にこの世界に来た時の路地裏で寝泊りしようかと...それかさっきのところに戻るかですね...」


そして、時雨は悲しげな表情を浮かべながら顔を上げる


「さっきの人からは逃げて来ちゃったので、帰ったら怒られそうだから、路地裏ですかね?」


こんな女の子を路地裏で寝かせる訳には...

そして俺は今日父親が帰って来ない事を思い出す


一日くらいなら...良いか...


「なぁ、時雨?」


時雨はどうしました?と言い首を傾げた


俺は恥ずかしくなり頬を人差し指で掻いた


「今日は父親が帰って来ないんだ...だから一日くらいなら泊めれるぞ...」


すると、時雨は目を丸くしてキラキラとしていた


「良いのですか?」


「ああ、さすがに野宿させる訳には行かないしな...」


すると時雨の目には涙が溜まっていた

そしてすぐにそれを拭っていた

涙を拭き終わってから俺の両手を顔の高さまで持っていきギュッと手を握られた


「ありがとうございます!何から何まで!」


「ああ、わかったから...顔が近い...」


時雨の顔は赤くなりばっと手を離し時雨は元の場所に座った


「じゃあ、俺はここのソファーで寝るからあっちにあるベッドで寝てくれ...」


時雨は申し訳なさそうな顔で横に手を振る


「いえ、悪いですよ!春馬さんがベッドで寝てください!」


「いやさすがに客人をソファーで寝かせる訳には...」


すると時雨は照れたように顔を赤くしてもじもじとしていた

そして恥ずかしがっているように声を出した


「じゃあ...一緒に寝ましょう...」


「へ?」


























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