11話
ロルグルは、日に日に憔悴していく少女を、片時も離れず看病した。
「もう、私に近寄らないでください」
「うるさい! これは、おれの仕事だ」
何があったのかは、ロルグルには、わからない。けれども、このまま放っておいたら、確実に少女は死んでしまう。
医者に言われた薬を強引に飲ませると、少女の目に、涙があふれた。
「私に、何を飲ませたのですか?」
「薬だよ。お嬢が元気になるための」
「こうして私も、魔に堕ちるのですね」
「お嬢、いつも、おれに言ってただろ。悔い改めろって。それで神に従えば、幸せになれるんだって。だったら、お嬢も悔い改めればいいじゃん」
「神様はもう、私の祈りをお受け取りにならない。私は魔に導かれ、滅びるのみです」
「また信じればいいだろ! 自ら滅びようとするものを、神は救わない。そう言ったのは、お嬢じゃないか!」
「
「はあ? おれじゃなくて、お嬢が信じるんだろ!」
「神様、ごめんなさい。私では、魔に打ち勝つことは、できないようです」
少女の涙を拭いながら、ロルグルは、どうしたら彼女が気力を取り戻すのかと、頭を抱えていた。
ロルグルの言葉は、彼女に届かない。彼女が聞くのは、神の言葉だけ。
ならば――
ロルグルは、覚悟を決めた。
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