7話
少年、ロルグルは、下働きをしている。
下働きと言えば聞こえはいいが、実情は奴隷である。危険な仕事、汚い仕事を毎日こなし、ほかの奴隷たちと飯を奪い合い、硬い石床で眠りにつく。
彼には、人としての権利も自由も名誉も、何ひとつ与えられてはいない。
それでも、彼の待遇は、まだ良い方だった。
彼が連れてこられたのは、王城だったからだ。
王城では、奴隷にも朝晩の食事が用意される。
量は足りないし、質も悪いが、必ず食べ物をもらえるというだけで、奴隷としては幸運なのだ。
そして、王城には、彼以外にも多くの奴隷がいる。
うまくやれば、他人に仕事を押しつけたり、ミスを責任転嫁したりできる。自分がやられることもあるが、ロルグルは、それなりに賢く立ち回っていた。
ある日、ロルグルは、隣国から届いた貢物の世話を命じられた。
貢物の中には、生き物も存在する。家畜や愛玩動物、観賞魚、観葉植物に至るまで、実に様々だ。そして人間も、贈呈品に含まれる。
ロルグルは、指示された部屋へ向かいながら、疑問を抱いていた。客人が泊まるための部屋へ行くよう、言われたからだ。
そこは普段、奴隷が近づいていい場所ではない。もし見つかれば、どんな折檻をされるか、想像するだけで足が竦む。
粗相があってはいけない。
緊張しながら開けたドアの先では、美しい天使が微笑んでいた。
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