3話
娘の腹痛はすぐに治まり、出血量も徐々に減っていった。
娘は、慌てず騒がず、いつも通りの日常を過ごしている。神の救済を疑わない彼女は、神に願うことすらしない。
どんな状況でも幸福を信じ、神を疑わない。これこそが正しい祈りなのだと、シスターが言っていたからだ。
人が助けを望む時、その人は、不安や恐怖に駆られている。
神を心の底から信じているのなら、不安も恐怖も、感じることはないはずだ。神は、必ず助けてくれるのだから。
ならば、願いを口にすることは、神を疑っていると宣言しているようなもの。神に助けを乞うことは、神が救ってくれない可能性を考えている、という証明にほかならない。
だから彼女は、神の試練を厳粛に受け入れ、祈り続けた。
いつものように、神への信奉と共に起き、神への感謝と共に眠るだけである。
そして、ついに、その時は訪れた。
完全に血が止まったことを確認したシスターが、「おめでとうございます」と微笑む。
娘は、神の花嫁になった。
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