07)「初心者もこれで安心! 低階層のモンスターリスト(第三階層)」!

 第三階層は「水の絶望迷宮」の中で、冒険者たちから「水族館」と呼ばれているフロアです。

 たまに王侯貴族が騎士や冒険者に守られながら見学に来ることでも有名ですね。


 このフロアは外壁の一部が厚い硝子のように透けており、普段見ることが出来ないクシカル湖の中を垣間見ることが出来ます。


 特に天気の良い日は、湖面から差し込む光と水の中を悠々と泳ぐ魚や半魚人たちを見ることが出来るので、冒険者カップルたちのデートスポットにもなっています。

 そのせいか、ソロ好き冒険者の皆さんに最も嫌われているのが第三階層とも言えます。


 ですが、大丈夫です。「迷宮は、一人でも楽しい」がコンセプトの月刊迷宮ウォーカーはそんなソロ冒険者の皆さんでも楽しめる第三階層情報をピックアップいたしました!




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【第三階層】

 ◯迷宮ウサギ乙一型

 冒険者でなくとも知っている認知度の高いモンスターです。


 動物のウサギに似ていて愛嬌のある可愛らしい外見ですが、実際は「自分を捕食しようと近寄ってくる敵を捕食する」というトラップ型モンスターの一種です。また、様々な環境に適応して数多くの亜種がいることでも有名で、乙一型と甲四型ともなればまるで違う個体のように見えます。


 この水の絶望に生息している乙一型はスタンダードな迷宮ウサギです。特殊な能力は持っていませんが、プルプルと震えてうずくまっているモフモフしたウサギに近寄るとギザギザで鋭く長い前歯を剥き出しにして襲いかかってきます。小型でスピードと跳躍力のある迷宮ウサギ乙一型の前歯は革鎧など簡単に引き裂くほどの鋭さで、その長さは貫通すると致命傷となりますのでご注意ください。




 ◯イビルカピパラ

 巨大なネズミです。例によって迷宮の魔素でモンスター化した動物で、鈍重そうな見た目以上に素早く、そして複数体で襲いかかってきます。その巨体の猛ラッシュはどんなに屈強な戦士がフルプレートメイルを着込んでいても押し倒されるほどですが、イビルカピパラの攻撃方法はその体当たりだけなので、落ち着いて対処すれば冒険者の敵ではありません。


 しかし気をつけてください。このモンスターは強いバイ菌を媒介している可能性が高く、感染すると迷宮から帰還する前に絶命してしまいます。迷宮探索の必需品である毒消し草や解毒魔術を切らした場合は、その場でじっと動かず救助を待つしかないでしょう。




 ◯ジャイアントトード

 透明な壁からクシカル湖の中を眺めていると、音もなくやってきたジャイアントトードに丸呑みにされる……この第三階層の「あるある」ですね。丸呑みにされても強い消化液を持っているわけでもないので、ナイフなどで腹を割いて簡単に脱出できます。直接的な脅威ではありません。


 しかし、丸呑みされるとジャイアントトードの胃液に塗れることになります。それが猛烈な悪臭で、水洗いしただけでは落ちませんしあなたの集中力を低下させるでしょう。

 また、何よりも恐ろしいことにその胃液は鉄製の鎧や武器を腐食させる作用があるため、丸呑みにされたらどれだけ万全であっても帰還して武具の洗浄をしなければなりません。探索中に武具が使い物にならなくなったら、その時点であなたは死を迎えるに等しいのですから。




 ◯ワイルドドッグ

 どこにでもいる野犬ですが魔素の影響で凶暴化しています。鋭い牙で噛み付いてくるだけの単純な攻撃ですが、集団で多方向から襲い掛かってくることと、狂犬病(発症したら薬草や治癒魔術での完治も出来ない致死率の高い病です)を媒介している恐ろしさもあるため、熟練冒険者でも注意が必要な相手です。




 ◯はぐれ僧兵/破戒僧

 はぐれシリーズと呼ばれる堕落してしまった冒険者たちの中でも、僧侶系白魔術を得意とする僧兵たちは難敵です。

 戦士までとはいかないまでも鉄球や鈍器を操る腕力と体力があり、そこそこ硬い鎧に身を包んで、怪我すると自分を治癒魔術で回復させ、逆転呪文で治癒魔術を殺傷に利用してくるからです。


 天神ラウグリア様の教えを破って魔に走った者たちなので遠慮することなく「いつもお布施をふんだくりやがって!」とシュミクテッド教会への日頃の恨みをぶつけるように倒すのがストレス発散にもよいでしょう。


 たまに尼僧も現れますが、堕落しきった毒婦であり、はぐれ者たちに体を売って悦を得る売女なので、こちらも遠慮することなく殺害するべきでしょう。

 決していやらしい気持ちになって迷宮の影に連れ込もうなどと思わないことです。彼女たちは高い確率で性病を保持していますから……。




 ◯はぐれ戦士/狂戦士

 日頃の鍛錬と生まれながらの才能によって戦士になった者でも、堕落して迷宮の住民になってしまうことがあります。はぐれシリーズと呼ばれる人を捨てた冒険者たちの筆頭がその「はぐれ戦士」です。


 迷宮に住み、人間の敵に回ってしまった戦士たちには戒律も美意識も信念も何もなく、ただ人を殺すことを楽しむ殺戮兵器です。しかし人を捨てた時点で戦士としての成長も止まってしまったのか、大した能力は持ち合わせていません。むしろ迷宮の魔素に毒されて以前より衰えているくらいです。

 魔素に毒されると知能も低下してしまうのか、次にどういう行動を取れば最適なのかなどの想像力も働かないようで、戦士としての脅威度は低いでしょう。


 ちなみにはぐれ戦士で恐ろしいのは女戦士の方で、まさに「狂戦士」という別称にふさわしい狂いっぷりで襲いかかってきます。

 見栄えなど気にせず半裸に近い格好で攻撃してくる女性に躊躇するかも知れませんが、油断すると刺殺されるのはあなたです。迷宮では性別・年齢・外見など関係なく、敵対するものを倒さなければ生き残れませんよ。

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