06)「初心者もこれで安心! 低階層のモンスターリスト(第二階層)」!

 第二階層~第三階層は、冒険者ギルドの依頼がなければ立ち寄る必要のないフロアです。

 迷宮の最深部に行きたいだけであれば、第一階層→(中層への直通転移装置)→第四階層→(下層への直通転移装置)→第九階層というルートで十分もかからずに下層に到達できるからです。


 それでも全フロアを踏破したくなるのが迷宮ウォーカーの心意気。そこで本誌では第二階層のモンスターリストも掲載いたしました!




 ※編集部:注

「水の絶望迷宮」で地図まで作成されている踏破エリアは第九階層までとなります。

 その第九階層に辿り着き、生還するためには最低でも三等級の実力が必要で、それも六人構成で、各職業クラスで免許皆伝を受けたパーティでなければ難しいとされています。


 ※水の絶望迷宮の最下層は第十階層とされていますが未踏破な上に生還者がいないため、現在も多くの冒険者が挑んでいる最中です。


 実際、一等級冒険者であっても、たった一人で第九階層に挑むのは自殺行為と言わざるを得ません。本誌をお読みいただいている孤独を愛するソロ冒険者ではとても危険、いえ、無謀なので、第九階層に挑まないことをお勧めしつつ、深層の情報は非掲載といたしますことをご了承ください。




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【第二階層】

 ◯ゾンビ

 生ける死体と言われていますが、彼らは迷宮で命を落とした冒険者や商人たちの成れの果てではありません。


 ※迷宮の魔素によって動き出すアンデッド化した者たちはアンデッドヒューム、アンデッドドワーフなど種族名で呼ばれます。


 ゾンビとは魔に魅入られてしまった死霊術師ネクロマンサーが生み出すアンデッドモンスターです。

 その母体となるのは人間の死骸なので、魔素でアンデッド化した者たちと見た目は変わりませんが、それらとは大きく異なり、死霊術師の命令通りにしか動きません。


 また、ゾンビは魔素でアンデッド化した者たちと異なり、肉体の限界を超えた力を発揮します。自分の筋肉が引きちぎれ骨が砕けても緩めないその怪力に掴まれると、まず逃げることは不可能です。

 どうしてこのような違いがあるのか定かではありませんが、迷宮の魔素でアンデッド化した者たちには魂が宿り続けており、肉体の痛みを感じているから無理な力を発揮できないからだ、という説もあります。事実、魔素でアンデッド化した者たちは蘇生魔術で蘇らせることが出来ますが、ゾンビ化させられた者たちは蘇生できません。


 さらにアンデッド化した者たちと異なる大きな点として、ゾンビに引っかかれたり噛まれたりすると、その被害者もゾンビになってしまいます。

 これを完璧に防ぐ方法はないため、ゾンビに傷を負わされたらすぐに帰還し、シュミクテッド教会で聖水の治療と祈祷が必要です。傷の深さにもよりますが、どんな些細な傷であっても時間が経過するとそこから毒が回り、自我を失ってゾンビになってしまいます。


 ゾンビもアンデッド化した者たちも、倒すには首を落とすしかありませんが、その骨は腐食してスカスカなので初心者でも簡単に首落としが出来るでしょう。




 ◯アシッドガスクラウド

 迷宮の中でやたら煙たくなった時、それはアシッドガスクラウドに襲われているのかもしれません。このガスは意思を持っているらしく、冒険者にまとわりついて徐々に体力を奪っていきます。一説によると古代の魔導士が迷宮の魔素で自動生成されるように生み出した魔法生物の一種で、本来の役目は魔導士の研究室にやってくる外敵の排除だったとか……。


 しかし安価な素材で簡単に生み出されるアシッドガスクラウドは大した脅威ではありません。

 火に弱いためランタンや松明を持っていると近寄ってきませんし、薄暗い迷宮で光源を待ち歩かない冒険者はいないので、まず襲われる心配は少ないでしょう。


 むしろ初心者が注意しなければならないのは、偶然にもランタンや松明の明かりが消えてしまったタイミングで襲われた時です。


 初心者がやりかねない失敗としては、このモンスターに襲われている最中に火を付けること。そんなことをすればガスに引火してあなた自身が火だるまになってしまうことでしょう。もちろんガスは一瞬で燃え尽きるので、毛がチリチリになるのを我慢すればいいだけですが。


 参考までに記載しますと、アシッドガスクラウドは太陽の光にも弱いため、迷宮の外までまとわりついては来ません。




 ◯はぐれ冒険者

 本誌読者の皆さんは、冒険者訓練校で戦士・魔導士・僧兵・義賊などのクラスに就き、その職能を生かして冒険者という仕事ジョブをこなして金銭を得ていると思います。これは簿記検定を持った人が事務員になるようなもので至極当然なことです。


 しかし世の中にはそれらのクラスに就いておきながら、冒険者の義務を果たさず、職能を悪事に利用する者たちもいます。

 そういった者たちをひっくるめて「はぐれ冒険者」と蔑視します。


 第一階層の「はぐれ義賊/盗賊」がまさにそれで、他にも「はぐれ戦士/狂戦士」「はぐれ僧兵/破戒僧」「はぐれ魔導士/禁忌術士」といった者たちがはぐれ冒険者の部類です。


 迷宮内で冒険者に襲いかかってくるはぐれ冒険者たちは、もちろん冒険者とは名ばかりでどこのギルドにも参加していませんし、彼らがやることは真っ当な冒険者達を襲い、奪い、犯し、殺すことだけです。


 余談になりますが、迷宮に居着いたはぐれ冒険者たちは徐々に魔素に毒されていくため、中には人としての良心や自我を失って本当にモンスターのようになった者もいます。

 モンスターも彼らを「迷宮の住民」だと承知しているのか襲ったりしないようですね。遠慮はいらないので殺害しましょう。

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