10)「エレベーターはゲロ袋必須!」
繰り返しになりますが「水の絶望迷宮」は全十階層(そのうち地図が作成されている等はフロアは第九階層まで)とされています。
本誌の06)「初心者もこれで安心! 低階層のモンスターリスト(第二階層)」!でもご紹介いたしましたが、迷宮の最深部に行きたいだけであれば、第一階層→(中層への直通転移装置)→第四階層→(下層への直通転移装置)→第九階層というルートで移動することが可能です。
ですが!
この直通転移装置というものが大変な曲者であることを知っておく必要があります。
通称「エレベーター」と呼ばれている直通転移装置は、十人ほどが入れる玄室のことで、床には王立魔術学校の講師ですら解読できない魔法陣が描かれており、一定時間(約一分)その狭い玄室に滞在すると、強制的に別のフロアに転移するという仕掛けになっています。
エレベーターとは勇者と呼ばれる異世界人が付けた通称で、本来エレベーターとは「からくり式昇降機」のことらしいのですが、どういうわけか転移魔法陣にその名前がつけられています。
この転移魔法陣は現代の魔術技術では再現し得ない古の遺産なので、我々が操作することは不可能です。
さて、このエレベーター。
初めて利用する新参の冒険者たちは、「水の絶望迷宮」に通い慣れた熟練冒険者たちが全員紙袋を手にしていることを不思議に思うでしょう。
そして転移後にその紙袋の重要性を理解することになります。
それは、この強制転移の魔法がとんでもなく「酔う」からです。
1秒にも満たない転移時間なのですが、到着した矢先に全身から平衡感覚は失われ、激しい目眩に襲われて全員で倒れ伏します。そして寝ても立ってもいられない気持ち悪さの挙げ句、ほぼ確実に嘔吐することになるでしょう。
どうやらこのエレベーターは長い間メンテナンスがされていないせいで転移時に不具合があるらしいのです。
女性冒険者にはこの「酔い」を嫌ってエレベーターを使わず階段で遠回りする人も多いとか。
また、移動先の玄室を出ると、弱った冒険者を襲おうと待ち構えているモンスターや不逞の輩がいるので注意が必要です。
●エレベーターの場所
第一階層から第四階層に移動するエレベーターは、ヒカリゴケがまったく生えておらず、しかも松明や魔術の光をすべてかき消してしまう対魔術紋様がそこら中に彫られている「ダークゾーン」と呼ばれる回廊の先にあります。
慣れた冒険者は目を瞑っていても辿り着ける一本道ですが、初心者は「闇に紛れてこちらの足音を頼りに襲ってくる者たち」に注意してください。特にモンスターではなく、モンスター扱いされている「はぐれ冒険者たち」が危険な相手となるでしょう。
第四階層から第九階層に移動するエレベーターは、第一階層から第四階層に移動するエレベーターのすぐそばにあります。
しかしここを利用するためには、第四階層のどこかにある「青い鍵」が必要です。(エレベーターがある玄室の扉を開けるために必要)
ですがご安心を。
この青い鍵を探すために第四階層をウロウロする必要はなく、そのあたりを歩いているとしょっちゅう落ちています。
これは持ち帰っても売れる品ではないし邪魔な荷物になるから捨てていく冒険者が多いからです。(迷宮探索のマナー的によろしくはありません)
たまに初心者相手にこの青い鍵を格安で販売すると言いながらボッタクリ価格を要求してくる者もいるので注意してください。
●エレベーターの使い方
各エレベーターの使い方は同じです。
床に魔法陣の描かれた狭い玄室に入り、約一分ほど待つだけです。
ちなみに、とある冒険者が「転移している最中に玄室から出たらどうなるのか」を自ら実験したことがありますが、玄室からはみ出た足と手が吹き飛ばされただけなのでご注意ください。
●まとめ
冒険者ギルドからのお達しも出ていますが、初心者諸氏はすぐ忘れてしまうので改めてこちらに記載致しますが、
・エレベータ利用時には必ずゲロ袋を持参する
・転移中に玄室から出ない(死んでしまいますよ!)
・平衡感覚が戻るまで玄室から出ない
・エレベーターで遊ばない
は徹底するようにお願いいたします。
ちなみにエレベーターは帰りにも利用可能ですが、行きよりも「酔う」というのが多くの冒険者の見解です。
人によりますが、帰りのエレベーター利用は嘔吐どころか失禁・脱糞などの最悪な症状に見舞われることもあるようなので、ご注意ください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます