第96話 三度目の満月
試作機の3基に加え、兵器は10基完成した。
ゾームは13体まで、熟練の討伐隊がいなくても対応できることになる。
だが、ゾームの数は満月の夜毎に増えているため、討伐隊も予算の関係で縮小したものの、継続して投入している。
結果的に、20体のゾームまでは同時に相手ができる。
それに加えて、ジュドー、メグだ。
ゾーム相手であれば、おそらく負けはしない。
ただただ、エルザスの存在だけがリスクである。
何か、戦略を用いてくると、対応はできるか分からない。
***
月が明るく、煌々と光る。
三度目の満月の夜となった。
城壁の前でヒロたちは陣形を整える。
ヒロはジュドーとメグに真剣な面持ちで話しかけた。
「ジュドーさん、メグさん。
今日は、勝負の日となります。
エルザスを倒さねば、前回の鎧のように兵器を無効化するような策を今後もっともっと練ってくるかもしれません。
奴を倒すことが、このプロジェクトを成功に導く必須条件です。
討伐隊や兵器ではエルザスはきっと倒せません…ジュドーさんとメグさんが頼りです」
「ああ、分かっている。
ゾームなんかに、人を食わせない。
これ以上被害は出さないために、必ず倒す」
ジュドーがそう言った。
メグも、黙ってうなずいた。
静けさの中、城壁の前に立たずむ勇者たちは、祈り、瞑想し、家族を思い出し、各々に心の準備をしている。
その静けさを報告の声が切り裂く。
「ヒロさん、ゾームが来ました!23体です!」
遠視能力をもつ見張り役が、ヒロにそう伝える。
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