第97話 敵の戦術

「分かりました!23体…。やはり数が増えていますね。エルザスも力を入れてきているということか。

 ゾームの群れにエルザスはいますか?」


「いえ…普通のゾームしか見当たりません…」


「え!?いない…

 前回のメグさんの魔法の傷で、今回はエルザスは出てきていないのでしょうか…」


そのヒロの言葉に、メグが返す。


「エルザスは再生能力を持っていてもおかしくない。

 どこかに隠れて、不意打ちを狙っているのかもしれない」


「確かに…パラサイトスペクターの力で再生能力を得ていても不思議ではないですね…。

 エルザスの捜索を、別途続けるとしても、ただ今は向かってきてるゾームを止めねばなりません!」


ヒロは見張り係にエルザスが付近にいないかを探すよう指示を出し、討伐隊と共に砂埃を上げながらこちらへ猛進するゾームの方へ向かった。



***


「前は不覚をとったが…

 今回は壊滅させてやる」


エルザスは少し離れた場所から、複数のゾームと共に首都シュテリアの攻防を望んでいた。


「相当数のゾームを生み出し、今回は攻め込ませているからな…

 それに、まだ秘策がある…フヘへへへ」


エルザスは、シュテリアの人々が阿鼻叫喚の中に巻き込まれる姿を想像する。

かつては自分を応援し、そして見捨てた人々が命乞いする場面を思い浮かべ、にやけ顔をした。

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