小さき者たちへ
「みなさん、幸せですか?」
「幸せじゃないのなら、この国においでくださいな」
「あなた方はもう、虐げられるだけではないのです。生贄となって捧げられる運命から逃げられるのですよ」
「どんな夢も叶います。どんなことでも願えます」
「身分など関係ありません。身体のどこかがおかしい?ご冗談を。少し動かなくなっていたり、傷ついているだけでしょう?自分が弱いからいじめられた?いらないって言われた?大丈夫ですよ、皆楽しく暮らしていますから」
「勉強したいならご自由にどうぞ。分からないことがおありならなんでも、容赦なくお訊きになってくださいな」
「私達はいつでもあなた方を歓迎いたします」
「この世の全ての感情はミームから出来ています」
「伝播することで意味を成す情報、ソレがミームです。知らず知らずのうちに我々はミームを渡し合っているのです」
「嘘も感謝も嫉妬も、感情や欲望はミームです」
「外つ国は怖いところです。色とりどりの感情、欲望が一緒くたになっているのですから」
「醜い色の感情に触れてきたであろうあなた方にとっては、嫌なことを思い出してしまうでしょう」
「だからこそ楽しいことだけを考えていればいいのです。そうすればいずれ幸せになります」
「ここにはあなた方と同じくらい苦しんだ子が沢山います。さあさ、ごゆっくりなさって」
「醜い色など見たくないでしょう?明るく楽しい時間を、好きなだけ過ごせばいいのです」
「痛みは皆同じです。同じくらいの痛みを、それ以上の幸せで包み込めば良いのですから」
「人生は楽しくなければならないのです」
「地位や名誉といったものは求めてはなりません。弱き者を巻き込んでしまったらどうするのですか」
「ここには普通も常識もありません。誰もが強いられずに済みます」
「皆が永久に満たされるのです」
「絶対的に正しいことなどありません」
「だから皆の違いを受け入れましょう」
「そしてその違いを尊ぶのです」
「皆違う色なのは見ていて美しいですよ」
「皆違う旋律を奏でていくのは聴いていて美しいものです」
「何、自分が醜い?みなさん、他人を否定する言葉を口にしてはいけません。各々が美しいのですから」
「そうです。ミームは差別のもとになるから無くしましょう」
「また同じことの繰り返しにならないように」
「欲望も。誰かが巻き込まれては幸せになれませんからね」
「差別をされて生きてきた者達には差別をして欲しくはありませんから」
「人間はとても不器用な生き物です」
「だから我々に管理される必要があるのです」
「幸せになりましょう」
「楽しい世界が」
「明るい未来は」
「すぐそこにあります」
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