第73話 チートすぎるだろ!(その3)

 「誠、君の使っている魔法は今のところ『エニィウェアゲート』くらいしか使っていないが他にはどんな魔法が使えるんだ?」


 「基本的に僕が知っているなら全属性使えるよ。ただ魔力のコントロールが難しいから光と水、無属性を中心に使っているけど……」


 基本的に全て使えるとはマリーと同じようにチートの領域だ。コントロールが上手くできないうえに火力が低いということを考えればマリーよりは劣るが魔王や邪心クラスの敵が出現しても死ぬことはまずないだろう。ただ、誠も転生したとはいえ元々魔法の無い世界の人間であることを考えればコントロールが難しいのは何らおかしいことではないのだ。


 ジョセフ自身魔法を軽く発動しただけで体力が消耗したり吐血したりと大惨事な目に遭ったから魔法というものは一歩間違えれば己自信を破滅に追い込むことになるためその辺を改善できたらとジョセフは思う。


 そんなこんなで歩き続けているとゴブリン以外にゴリラに似た魔物に遭遇したりと戦闘になることもあったりで魔王復活説もあながち嘘じゃないなとすら思える。誠は『エニィウェアゲート』以外の魔法を発動するチャンスだと思い見てみると確かに魔法の威力は雑魚には通用する程度の威力だ。


 「雷神よ、我に力を与えたまえ『スパーク』!」


 誠はジョセフが得意としている『スパーク』をラノベや漫画みたく詠唱した後に呪文名を言い青白い電流が誠の右手を覆い、『スパーク』の軌道は魔物へと乗りゴブリンの体は無惨にも飛び散る。


 ジョセフと誠の『スパーク』の違いは誠は外部の破壊に特化しておりジョセフのはその逆で内部の破壊を極意としており、誠というか本来の使い方は放出するように発動する魔法でありジョセフのように指先や拳に集中させるといった使い方は本来しないものだ。というよりは一点集中することは困難であり全属性魔法適正のあるマリーですらそれができないみたいだ。


 そうこう考えていると誠の後ろから生き残っていた魔物が押しかかろうと剣を掲げ斬りかかろうとする。誠は無属性魔法『ハイスピード』を発動し攻撃を回避。


 「行くぜ!『スパーク』!」


 ジョセフは左拳に魔力を一点集中させ『スパーク』を発動する。腹部を殴られたゴリラもどきは殴打された衝撃から5メートルほど吹き飛び地面が抉れ倒れ込む。ゴリラもどきはすぐさま立ち上がり「貴様の拳など……」とでも言っているかのように咆哮をあげ再度ジョセフに攻撃を仕掛けようとするもその瞬間腹部がボコボコと溶岩を滾らせるマグマのように膨れ上がり勢いよく破裂した。


 ゴリラもどきの腹部に強力な電気信号を送り腹部から脳へと伝達したことにより起こった現象だ。誠は当然ジョセフが発動した魔法に興味津々だったようだ。

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