第58話 草凪誠からの依頼(その2)
ジョセフは草凪誠から受けた依頼を引き受けることにし、報酬もそれなりの額を支払うとのことで交渉成立?と言っていいのだらうか分からないが一度引き受けたからにはきちんとこなすつもりでジョセフは事を進めていた。そんな風に考えたジョセフは誠と共に王室へと戻ることにした。
王室に戻ってみるとリサ達は未だに雑談を続けており「何処に行っていたの?」としつこくリサがジョセフに尋ねる。
「リサ、アイリス達を王室に呼んでもらえないかな?」
「それでしたらとっくに使用人に頼んでおきましたよ」
「…そうなのか、ありがとう」
ジョセフはリサに一言だけ感謝の言葉を述べ、沈黙な状態でソファへと座ることにした。
「それでジョセフ様、彼とはどんな話をしていたのですか?」
「リサ、心を読めば分かるのにわざわざ俺に尋ねるということは俺の口から言ってほしいってことかな?」
「婚約者としては当然です!」
「やっぱりそうだよなあ、そりゃあ婚約している相手に隠し事なんかされたらたまったもんじゃないだろうし妥当な判断だな…」
「当然です!ジョセフ様」
「ドラゴンの討伐依頼を受けることにした」
ジョセフがそう発するとリサと王室に入ろうとしていたアイリス達はえっ?と言いたそうな表情で体が硬直した。
「「「「「え~~~~!」」」」」
いきなり硬直したかと思ったらリサ達は一斉に口を揃え叫び始めた。当然の結果ではあるのだが冒険者になって一か月も経ってないというのにいきなりドラゴンの討伐依頼を持ってきたわけだから驚くなと言われて驚かないのは無理な話だ。だが、どのみち後々そういうクエストを引き受ける可能性もあるわけでいい経験になるかもしれないのは間違いないだろう。
「おいおいジョセフ、ドラゴンの討伐って俺達だけでやるつもりかよ?」
佐藤夏樹は眉間にしわを作りジョセフに問い詰めるが誠が何か言い足したそうな表情で茫然と立っていた。
「あのお、一応僕達も一緒だから身の安全は保障するよ」
「ところでお前誰?」
佐藤夏樹は誠のことを見ていない為どこの誰か分からない状態で誠に尋ねた。
「僕は草凪誠、ホームズ王国で冒険者をしているんだ」
「俺は元引きこもりの佐藤夏樹ってんだ。よろしくな」
佐藤夏樹はキラキラと輝く歯を見せながら親指をピンと立て本人は決めポーズを決めたつもりでいたがジョセフ達はちょっと何言っているのか分からないと言いたそうな状態で冷たい目線で佐藤夏樹を見つめる。
「えっ?何で俺そんなに睨まれてんの?」
「いや、お前が中二病であることをすっかり忘れていたよ…て思っただけだ」
「そうだな……って、誰が中二病だよ!ジョセフだって世紀末にでもいるのかと突っ込み入れたいふくそうしているじゃねえかよ!」
佐藤夏樹がジャージ姿であまりにも空気を読んでいなかった為にジョセフは両手を出しながら首を振りやれやれと内心思いながら肩を竦め深く溜め息をつき、佐藤夏樹はジョセフの服装を見てキレのあるツッコミを入れジョセフは言い返すことができずうっと声をあげながらも否定はしなかった。異世界で革ジャンにサングラスにハットなんか被っていたら一人だけ浮いているのは仕方のないことなのだ。
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