第43話 ジョセフの中学時代(その5)

 パワーコードを習得したことにより一気に上達していた仁に課題を出すことにした。


 ジョセフが何故ギターはじめてすぐの仁にそんなことをさせるのかというとあいつの才能にジョセフ自身が惚れてしまったからだ。友としてではなくと一緒にギターを弾いている仲間としてだ。


 当然、仁は困惑していたのだがすぐに納得してくれたからよかったのだ。


 それからというもの、仁は学校が終わればすぐにジョージの家に訪れてはジョセフ達と一緒にギターの練習をしておりメキメキと上達していたのだ。


 当然、ジョセフ達は仁と約束した通り学校には真面目に登校するようになった。最初はヤンキーや教師たちがあまりにもしつこく絡んできたのだが二度とジョセフに絡んでこないようにしていたためかジョセフ達はそれなりに安心して登校できるようになっていた。


 「ジョセフ様?」


 リサが可愛らしい声でジョセフを呼びかけていることが分かった。


 そうだ、ジョセフは夢を見ていたのだ。中学生の頃に起きていた出来事に関しての。


 「すまない、過去の夢を見ていてな…」


 「前いた世界の過去ですか?」


 「ああ、まだリサ達と出会う前の世界だ」


 「ジョセフ様たちのいた世界はどんなところなのですか?」


 「あまり俺の心を読んで想像しないほうがいいぞ…リサにとってはストレスにしかならないはずだ」


 異世界人でもあるリサ達には地球での生活は合わないであろうことは大体予想していた。何故ならジョセフのいた世界というのは異世界よりも歪んでいるものを人間は持っているからだ。そのようなところばかりではないが人の心を読めるリサであれば嫌悪感を抱くことは間違いないと思ったのだ。


 「そうなんですね…ジョセフ様のいた世界はそんなに…」


 「心を読んでしまったのか?」


 リサは急に顔色が悪くなってしまい吐き気を催す程にまでであった。


 「はい、とても辛い思いをしていたようですね…例え他の人達がジョセフ様に敵対しても私はそれでもジョセフ様の味方です。」


 「ありがとう、そう言ってくれる味方がいてくれて嬉しいよ」


 ジョセフはほっこりとした顔でリサの優しい心遣いに深く感謝をし、彼女の顔色は再び元気を取り戻していた。


 「ジョセフ様、初めて出会った時よりも笑うようになりましたね」


 「君という女性に出会えたおかげだよ」


 「もう、それって口説き文句ですか?ジョセフ様…」


 「何でそういう発想になるよ?」


 「やっぱりジョセフ様って可愛いですね!」


 「リサよ、君の方が可愛いと思うのだがな……」


 ジョセフはリサのそういう天然な性格も含めて可愛いと思っていた。


 この世界に来てからリサにテレサ、ジンジャー、マリー、アイリスに出会うことができてジョセフは何かいい方向に変わることができるのではないかと心が満たされている気がしたがただやっぱり異世界ってのは食事が口に合わないのが難点だ。まだ異世界に来て1ヶ月も過ぎてないと思うがやはり飯に関してはどうしても好みの味ではなかったけど好き嫌いは言ってられないから今まで飯の味に関して何も語ることはなかったが異世界ファンタジーの世界に夢を見ていた頃をジョセフは懐かしく感じていた。

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