第40話 ジョセフの中学時代(その2)

 アンプのボリュームを10にした状態で鳴らしていたのだがいくら防音設備の整った部屋でも扉を開ければその音が漏れてしまい近所から苦情が来るのでは?と心配するのだが、ジョセフ達はそんなことを気にせずにただがむしゃらに練習をしていた。


 「ジョニー、お前またあの部分間違っていたぞ」


 「細かいことは気にすんなよジョージ、クラシックの演奏家じゃないんだから少しのミスくらい許してくれよ」


 ジョージはジョニーのミスを指摘するのだったがジョニーはヘラヘラと笑いながら話を逸らそうとしていた。


 「ジョニーは勢いに任せている部分が多いからいいんじゃないか?」


 ジョセフはジョニーを擁護しようとするとジョージはムッとした表情でジョセフの方を睨み始めた。


 「そんなこと言って甘やかすからジョニーがミスしないように気を付けないんだよ、丈」


 「ジョニーの言う通り一ミリのミスも許されないクラシックの演奏家みたいにシビアにしてると面白くなくなるぜ?」


 ジョセフはジョージにそう言うと、ジョージは「あぁもう好きにしてくれ」と言わんばかりに両手を広げた。


 「ジョーとジョニーの言うようにリズムやテンポさえ外さなければいいけどアレンジされると演奏をキープできない人もいるから配慮はしておいた方がいいぞ」


 「ジョナサンの言う通りだな、次は気を付けるよ」


 ジョニーはジョナサンにそう言われると反省の色を見せた。流石双子だと言いたいところだけどジョナサンとジョニーはいつもこのやり取りをしてジョニーがまたミスをしてアレンジを加え誤魔化すの繰り返しだ。


 学校では今頃何をやっているんだろうか気になっていた。


 「綾野が勝手に早退したから給食の配分を間違えないように」


 担任が生徒に指示を出し、生徒達は給食の分量を少し多めに入れたりと微調整を行っていた。


 「綾野の奴いいよなぁ、学校ずるけて家で好きなものいっぱい食べてよ」


 「別にいいじゃねえかよ、中学にもなって給食ってのもあれだけど親は弁当作らなくて楽だって喜んでたぜ」


 生徒達はおしゃべりをしながら配膳をしていた。


 「こら、おしゃべりをしないで早くしなさい」


 全てに配膳し終え、担任と生徒達は給食を食べ始めた。


 生徒達は世間話などをしながら給食を食べたり、ただひたすらに黙々と食べ続ける生徒に分かれていた。


 担任は給食を急いで食べ終え、食器を片付けて一人の生徒の方へと向かった。


 「坂本、お前綾野と仲良かったよな?」


 「そうですけど丈の件ですか?」


 「綾野に明日職員室に来るように伝えてもらってもいいか?」


 「ええ、それは大丈夫ですけど多分あいつ来ないですよ…」


 「来ないなら来ないで直接言う」


 担任は坂本仁に伝言を言い残し、教室を後にした。


 「おい坂本、お前先生に何言われたんだ?」


 「丈に明日説教するから職員室に来いって伝えろってさ」


 「お前もホント災難だよな。あいつに逆らった生徒は大抵目つけられて説教されてるらしいぜ」


 他の生徒達は仁の方を見て心配をする人もいればからかうものもいた。

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