一将功成りて万骨枯る。一人の主人公の陰には主人公になれなかった者たち、すなわち敗残者たちがごまんといる。そんな日陰者の敗残者たちも当然自分なりの考えや正義があるわけで、そういうものにスポットライトを当てた物語がもっとあっても良いというのが、私が常々思うところです。
これはそんな敗残者たちの物語。無双する主人公がいるわけでもなく、全員がパッとしない敗残者。だけど敗残者たちにはそれぞれの正義があって、その正義がぶつかり合い、時に喜劇を、時に悲劇を生み出す。だから全員敗残者だけれど、ある意味では全員が主人公。
なんか難しいっぽいこと書きましたが、物語自体はシュールな世界観で読みやすいです。課題図書がフランス書院なところとか。『下連雀離婚式の淫らな夜』ってなんですかそれ。