第5話
見知らぬ場所へと飛ばされたしまった烈人たち――。
――現在、烈人は碧によって繰り出される攻撃をひたすら避けている最中であった……。
「このぉ~~!! 避けるなぁ~~!!」
「そんなこと言われても~~!!」
烈人は困惑しつつ攻撃を避けるもその表情はどこか余裕である。その烈人の表情が尚更腹立しく、一掃激しさを増して斬りかかる碧だった――。
……と、その時だった。
烈人と碧の争ってる手前で大きな爆発音と共に爆煙が上がる……。
「わわっ!! な……何が起こったんだ!?」
「何だ!? さっきの敵か!?」
烈人と碧は周りを見渡したが、敵らしきものは見当たらなかった。……ただ目の前いたのは、ロケットランチャーを構えた黄華の姿がそこにはあったのだった。
そして、黄華が笑顔で二人にこう言った。
「二人共~!! 仲良くしなきゃダメですよ~ッ!!」
よく見ると、黄華のその笑顔の目の奥は……笑ってなかった……。
そして、烈人と碧に対して威嚇とはいえ容赦なくロケットランチャーをぶっ放してきた、見た目はヒーローのコスプレをしたような小さく可愛らしい少女の姿に恐怖感を覚えた二人だった。
「それより~~、ここは一体どこなのでしょ~~!? 日本ではなさそうだし……僕が知ってる外国とも違うよ~な……」
そう言うと、黄華はロケットランチャーとガドリングガンに付いている赤いボタンを押す。
なんと! そのロケットランチャーとガドリングガンは自動で小さくコンパクトな腕輪に変わり背に担いでいたバックパックに収納したのだった……。
(今の武器……一体どうなったの!!)
烈人は一人、驚きを隠せないでいた……。
「う……うん……確かに私たちがいた所とは違う所に飛ばされてきたみたいね……」
「そもそも、ここは私たちがいた世界なのかしら? ……なんとなく……別の世界へ来てしまった気がしてならないわ!!」
「ブルーもそう思う~!? 僕もそんな気がするよ~~」
「しかもさ~、なんか僕は懐かしい感じがするんだよね~~気のせいかもしれないんだけどさ~……」
「あのぉ……ちょっといいかな!?」
「ここで話してても
二人の会話に割って入った烈人は提案した。
「何よっ!? 急にまともなこと言っちゃって……まぁいいわ!! それしかないようだし……」
「わ~い!! 皆で探検だね~!! それじゃあレッツゴ~!!」
この世界に住んでる人たちを探して、情報を得よう……。という烈人の提案は、二人にも受け入れられた。
そして三人は冒険へと出発するのだった――。
「……と、その前に!!」
「ちょっといい!? ずっと気になってたんだけど!! アンタのそのスーツ――」
「……納豆臭いって言うか……とにかく!! この国の人たちがいるところに着いたらすぐ洗うのよッ!!」
しばらく装着していて、烈人自身も鼻が慣れてしまい忘れていた。
……この「つ~ん」と鼻につく匂いを……。
しかも年の近い女の子に指摘されたことがとても恥ずかしい上に申し訳ない気持ちで一杯だった……。
「う、うん……なんかごめん……」
「……よ、よ~し!! とりあえず行こうか~~!! ハハハ~~!!」
黄華は……気まずそうにそう言いつつ歩を進めるのだった。
「……ちょっと待った!!」
碧はおもむろに口を開いた。
「無計画に行くのは良くないわ!! しかも全く知らない土地でどこに町があるのかも分からないまま進むのは危険よ!!」
「何か……いい方法はないかしら……」
「……あッ!! それならッ!!」
「とぅッ!!」
烈人は何か思い付いたかと思ったら、物凄い音と風圧と共に姿を消した……。
烈人がいた所の地面にはくっきりと足跡が付いており、二人のヒーローは……まさか!! と思い空を見上げた……。
二人の思った通り、遥か上空には烈人らしき物体が……。二人はギリギリ確認できる程度に見えたのだった。
…………。
…………。
十数秒ほど経ち……ようやくその烈人らしき物体が物凄い早さで地上に降ってきた。
まるでそれは隕石の如く大地を破壊した……。
「……いったたー……着地失敗しちゃった!!」
烈人は破壊された地面の中からほぼ無傷で出てきた。
……むしろ、碧と黄華の方が大きな地面の塊の下敷きになり、土まみれになったりして、被害が大きかったと言えよう……。
「……あれ? 二人は?」
「……こ、ここよ……」
「う……うぇ~、助けて下さい~……」
「ギャー!! ゴメン!! 今助けるよ!!」
烈人は土の塊に埋もれてる二人を急いで助けた。
……その中から助けだされた二人の冷たい視線が烈人に突き刺さったのであった。
そして、すぐに碧からお説教されたことは言うまでもない……。
…………、
「ご、ごめん……」
「それにしても……いつもより身体が軽くて……思ってた以上に高く飛んじゃったんだよね……自分でもびっくりしたよ、ハハ!!」
「……ふん!! せめて飛ぶ前に説明してからやってよね!! ……それで? 町らしいものは見えたの?」
碧は体中に付いた砂埃を振り払いながら、烈人に聞いた。
「そうそう!! ここから北東の方へまっすぐ行けば町っぽいのがあったよ!!」
「それに……南の方は大きいお城があって!! 西の方は海が見えた!! そこも町があったみたいだけど、ちょっと遠いかなぁ……」
「なるほど……お城が……」
(ヨーロッパや他の国でもお城はあったはず……でもこの感じ、ヨーロッパでも他の国でもないような……)
「とりあえず先に北東の町を目指しましょ!! まだ、わからないこの土地でさっきの敵に会ったら何されるかわからないし……まずは近くの町がいいわね」
そう言って碧は先頭に立ち、町へと向かうのだった。
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