鍛冶室とシンリィ&水流の模擬戦の相手
御影とでじ子は練習場の端まで来た。
「ここだ」
御影は、『元』用具室の扉を開ける。
「・・・・・・」
でじ子は、あまりの光景に開いた口が塞がらなかった。
「拡張魔法で、用具室内の空間を広くし、設備は俺の工房を持ってきた。不備がないか確認してくれ。リクエストがあるなら遠慮せずにいってくれ」
そこには、一流の鍛冶職人が使うような工房、いやそれ以上だった。
それもそのはず、異世界のトップクラスの工房を参考にした、当時の最先端の御影の工房を虚空から取り出し設置した。
舞先生からも、『やりすぎだぞ、馬鹿者』と太鼓判をもらい、鞭を造ったのはご愛敬だ。
でじ子は最初はおっかなびっくりだったが、徐々に興奮しだし鼻息も荒く、色々御影に質問していた。
「凄いでじ、今まで見てきた中で一番でじ」
一℃単位で数万℃まで、あらゆる鉱石を調整できる魔力釜、数ミリ単位で自由自在に長さを調節できるハンマーと魔力と属性を付与することができる小槌。
魔力筆も用途事に何十本も置いてあり、他にも色々かゆいところに届く、すばらしい設備の数々。
でじ子はまるでお伽の国にいるように、まるで夢のような空間だった。
「気持ちは分かるが、そろそろやろうか。まずはどのくらい作れるか確認だ。使い方は教えるが、まずはこれで一本剣を作ってもらいたい。ここの空間は遅延魔法を使って練習場より十倍ほど時間の流れが遅くなるようになるよう入ってから調節したから思う存分作れる」
扉の直ぐ横の壁に魔法陣があり、一~五十倍まで時間の流れを調節できるに設定しており、練習場は外より五倍ほど時間の流れが遅いので、御影は時間がかかってもいいように最大の五十倍にした。
虚空から御影が取り出したのは巨大な鉄鉱石だった。
「はいでじ、がんばるでじ」
腕まくりし力こぶを出して鉄鉱石真剣な目で触った。
「「・・・・・・」」
水流とシンリィは二の句が継げなかった。
それもそのはず、自分たちとはレベルが違いすぎて、瞬殺されるのは目に見えていた。
例え魔法が自分たちの方が上だったとしても、プゥの素早さでやられ、カティナの闘気で吹っ飛ばされるだろうと。
それも言い訳で、本当は怖かったのだ。
本気の戦いを目の前にして、いざ自分の番といわれると足が竦み、ガムテープを貼られたかの様に口が動かなかった。
舞先生が若干失望した目に変わる。
「これが『奇跡の一日』の二人かと思うと聞いて呆れるぞ。まぁいい、こうしよう。お前達二人でここにいる誰かと戦ってもらう。もし勝てば私が知りうる限りの全てを伝授するぞ。無論覚えるまでつきっきりで教える」
その言葉に特に水流の方が目の色を変える。
何故なら舞先生は・・・・・・だから。
「「誰でもいい(のじゃ)」」
「ああ、ここいる人物なら『誰でも』いいぞ」
交戦的に見つめるカティナと美夜、同情するような微苦笑で見るプゥ。
二人は示し合わせるまでもなく決まっていた。
「「眼鏡(じゃ)」」
舞先生はふっと笑い。
「御指名だぞ眼鏡」
「僕の名前は目垣だ。やっぱりこうなってしまったのだよ」
ため息をこぼしとぼとぼと指定場所まで歩く。
「わかっていると思うが、『本気』でやるのだぞ」
「それは分かっているのだよ。全く『無駄』な時間なのだよ。やはり、御影のように大きな体になった方がいいのか、先ほどの場合は威嚇するのは正解か、いや、やはり僕が・・・」
ぶつぶつと考察している種次を見て二人は思う。
この人なら勝てると。
あんなに重かった体が見違えるほど軽くなり、唇も滑らかだ。
「どうするのじゃ」
「まずシンリィが手数で相手を翻弄し、私がしとめる。たぶんそれで終わり」
「了解なのじゃ」
シンリィも同じ様なことを思っていたので、さして反論することなく、臨戦態勢に移る。
両者とも準備万端なのを確認し。
「模擬戦始め」
舞先生が始まりの合図を告げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます