クラブ結成とフェリスの乱入
八人で事務科に行き、あらかじめ予約していた、大きめの個室に行くと、既にふてぶてしい顔(御影主観)で座っていた。
「初めまして、今回貴方様がたのクラブの担当をする事になった、事務科主任の虹野岬です。まずはお座りになってください・・・・・・変態は立っててもいいけど」
聞こえているぞこの野郎と御影は心の中で悪態をつきながら、皆がいる手前抑えて、椅子に座った。
「初めまして、この度貴方様がたのクラブの担当を勤める事になりました事務科主任の虹野岬と申します。早速ですがクラブの説明に移りたいと思います。お手元の資料をお持ちください」
何事もなかったかのように、岬は説明を始め、御影はテーブルの上にある資料取り、集中することにした。
「まず、クラブは、SABCDEの六段階のランクに分けられています。上位ランクになるにつれ、演習場の優先権利、高性能クラブハウスの取得権利、上位ダンジョンの挑戦権等々様々な特権があります。新規クラブはEランクからのスタートとなります。ランクを上げるためには二種類方法があり功績や貢献をあげること、年二回あるクラブ対抗戦で上位の成績を取ることです。本来Eランククラブには演習場は使えないのですが、新規クラブの三ヶ月特権として、貴クラブには、特級~五級まであるうちの、三級練習場と五級クラブハウスの貸出、レベル三十までのダンジョンの許可、後は手引書をみてください」
そこまで聞いて御影はんっ?となる。
てことは昨日言ってたのは嘘だったのか。
昨日さんざんこき下ろされた御影は白い目で岬を見るが、当の本人はしれっとしていて、説明を再開した。
「最後にクラブの名前とリーダーと副リーダー、顧問、マネージャーを決めください」
「クラブ名は『フォレストヒューマン』、リーダーは御影友道、副リーダーはカティナと高城美夜、マネージャーは二階堂風花、顧問は癒杉舞先生です」
「了解しました。これで説明を」
「待ったなの」
終わりが見えてきたそんなとき、扉が勢いよく開き、来てほしくなかった乱入者が現れた。
勝ち誇ったかのようにふんぞり返り、機嫌がいいのか猫耳が上下に揺れていた。
その横には申し訳なさそうに狐耳が垂れ、頭を下げ、所在なさげにしていた。
そう、フェリスとレータだ。
受付の奥の方でレータを見た時、御影は嫌な予感はしていた。
はぁ~、しゃあないな。
気持ちを切り替え。
「皆すまんな。こいつは俺の契約者で、知っている奴は知っていると思うが、フェリスだ。で、
なにしに来たんだ」
御影が応対した。
「なに契約者に無断でクラブなんて作ってるの、死ぬの。まぁいいの、リーダーの契約者であるフェリス・D・クリスティナをオーナーに申請するの」
やっぱりな・・・・・・と、御影は思う。
オーナーとはクラブの責任者兼パトロンのような存在で、指揮科の人物しかなれず、何かあった場合は矢面に立って、クラブを守る存在だ。
逆に、クラブがいい成績を取ると、オーナーとして株が上がり、良いオーナーは、臨時収入を出す場合がある
聞こえはいいかもしれないが当然悪い面もあり、クラブ収入の二十%~五十%をオーナーに納めなければならない。
一見高いかもしれないが、上位派閥の人間がオーナーになると、よほどのことがない限り、クラブが消える心配もなく、また他のクラブから潰される心配もない。他にも受付でも優遇され、鍛錬場の予約でも同じランクのクラブよりも優先される。
舞先生がいるので、その心配がなく、オーナーとして、フェリスはあまりにもあれなので、何とか秘密裏にクラブ結成したかったのだが。
「クラブ収入のいくらもらう気だ」
「五十%はかわいそうだから四十九%でいいの」
変わらないぜこのクソ野郎、とつっこみを入れたいところだったが、皆がいる手前、御影は我慢し、とりあえず交渉に移ることにした。
「そりゃとりすぎだろ。フェリスに言わなかったのは悪かったが、只でもらえるお金だ、三十パーセントぐらいが相応だと思うぜ」
「下僕がなに言ってるの、あなたができるのは頷くこと」
「やめろ、カティナ、美夜」
衝動に駆られるまま、御影を罵倒されきれた二人は、カティナは頭を手で、美夜は喉を足で、殴り蹴ろうとして行動に移したが、御影の制止で、すんでのところで止まった。
「何で止めるの師匠。こんな奴ぶっ飛ばせばいいのにさ」
「同感、とりあえず蹴る。何で止める」
納得いかず御影にまで威圧をとばすが、御影の顔を見て、びくりとし、元の席に座った。
今の御影の顔は至って冷静だが、オーラが鬼の様に薄ら寒い。
「止まってくれてありがとうなのだよ。指揮科の生徒に手を挙げると、制裁金としてクラブで集まっていた場合ならクラブ収入の八十%を一年間払い続けなければいけなくなるのだよ」
「おめ(おーなるほど、流石眼鏡)」
「おぉーさっすが眼鏡だぜぇ~。けっけっけ残念だったな~」
「僕の名は目垣だ!」
そんなことだろうとは思ったが、ろくでもないな。
そう、フェリスの狙いは、御影達の攻撃を受け、クラブ収入の八十%をせしめるつもりだった。
その金の亡者っぷりにあきれてものもいえないといった表情でフェリスを見る。
フェリスはちっと舌打ちして、忌々しそうに御影を見ていた。
「みんなありがとう。三十%はくれてやるから、今日のところは帰った方がいいぜ・・・・・・俺の気が変わらない内にな」
「下僕のくせに生意気なの、死ねなの」
フェリスは悪態つき、肩を怒らせながらのしのしと大股で歩きながら去っていった。
はぁ、全く疲れるぜ。
御影はため息を一つこぼし、周りを見る。
「悪いなみんな。俺の契約者が場を壊してしまって、でもこれでクラブ、フォレストヒューマン結成だ。はっきりいって、練習量は手加減できない。つらいときも苦しいときもおあると思う。だけど歴史に残るような最強のクラブにしようぜ」
そう言って、御影は少年のような笑みでにかっと笑った。
こうして、後の最強で最恐で最狂のクラブ『フォレストヒューマン』が結成された。
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