コンビニと駄菓子屋
「せんぱーいお菓子無くなったですよーコンビニ行って買って来るですよー。」
そう言ってリンちゃんは空になったポテトチップスの袋を掲げる。
「知ってる?ここからコンビニまで30分だよ?」
僕もコンビニが歩いて5分とかだったらパシられてあげたんだけどね。
田舎のコンビニは全然コンビニエンスではないのである。
「じゃあ駄菓子屋でいいですよー。キャベツ太郎で我慢するですよー。本当はポテチないから嫌ですけどー。」
リンちゃんはゴロゴロしながら言う。
人に物頼む立場の人としてどうなのだろうか?
というか、近くに駄菓子屋なんてあっただろうか、僕が記憶を巡らせていると。
「駄菓子屋のことなら私になんでも聞け、私は常連だからな。」
部長が本を読むのをやめて、威張った様子でこちらを見る。
「私のオススメはヨーグルとビッグカツだ!」
部長は、自分のオススメ駄菓子を楽しそうに語り始めた。
「私は断然キャベツ太郎ですよー。うまい棒もオッケーです」
リンちゃんも便乗して駄菓子トークを始める。
僕はやっと駄菓子屋を思い出した、確かに昔良く行っていた気がする。
「駄菓子屋は最高なのだ。駄菓子屋のあの空気感、微動だにしないお婆ちゃん、謎のマスコットキャラクター、そしてなんと言っても沢山の駄菓子、あれを知ったらコンビニなど邪道だとわかるのだ。」
田舎にはこうして昔の駄菓子屋なんかが残っていることがある、でも最近は子供が少なくなってきているので潰れてしまう駄菓子屋も少なくない。
僕が少し感傷に浸っていると。
「正宗お前のせいで駄菓子が食べたくなったではないか!今から駄菓子屋に行くぞ!」
部長は、そう言って立ち上がった。
「いや、勝手に話し出したの部長じゃないですか。」
僕が呆れていると。
「私も仕方ないから行ってやるですよー。」
そう言ってリンちゃんも立ち上がった。
リンちゃんも意外と乗り気だった。
「わかりましたよ行きますよ。」
仕方ないから僕もついて行く。
今日の部活は小銭を握りしめて駄菓子屋巡り、懐かしの駄菓子に目をキラキラさせる部長達を見て、僕は小さい頃に戻ったような気がした。
そしてこんな駄菓子屋が無くなってしまって行くことを思うと、ヨーグルが少ししょっぱかった。
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